表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/42

俺が王様になってやる。覚悟しとけよ

「手、いるか?」


「いい、暫らく放っておいてくれ」


「……わかった。医療班を呼ぶからしっかりと治してくれ」


「へいへい、あんがとよ」


 あー。 

 空が赤く染まってきた。 


 少しの間のあと、砂を踏む足跡が聞こえた。

 そうだ。


「約束、ちゃんと守れよ」

「ああ、もちろんだ。彼女の名は?」

「ヘルヴィ・ヌーイだ。股の緩い女とはぁ、違う。大切に扱えよ」


「ヌーイ……?」

「なんだ、知り合いか」

「確か父の友人で、そんなファーストネームの人がいたなと」

「いいとこのみたいだし、王と関係があってもおかしくねえな」


「ふむ、そうか。…………アンドリュー、あの子のことが好きか?」


 でた。こいつの得意技。会話飛ばし。


「そんなわけねーだろ」

「違うのか。お前が過去のことを話すぐらいだから、そういう存在だと考えていたんだが」

「……ありゃあ、気まぐれさ」 


「安心しろ。私には婚約者がいる、何か起こるということはないさ」

「ま、まて、お前婚約者いんのか!?」

「大会が終わったら知らせようと思ってたんだがな」

「まじか、まじかー」


 ヘルヴィ、すまねえ。こればっかはどうしようもない。


「なんだ、ショックを受けることじゃないだろう」

「別に……用は済んだ。とっとと行け」

「ふう、わかった」


 ざく、ざく、砂を踏む音が徐々に遠くなっていく。


「……待て」


「……どうした」


「俺、大会に出るから。あと暫らくここを離れる」


「……そうか。約束では、もう戦わないんじゃないのか?」

「はっ、俺が守ると思うかよ。

 覚悟しとけ、次は俺が勝って、王様になって、グレイフィス、お前をこき使ってやる」 


「ふっ、それは私の台詞だ。国を変えるために、私の部下として働いてもらう」

「たまるかよ」


「……いつ出るんだ?」


「今日」


「正気、なんだろうな。金はいるか? 扉を壊した侘びだ」

「いるか。じゃーな」


 俺は空に向けて手を振った。


「またな、大会で会おう。……会っていくんだぞ」

 

 ざく、ざく。


 ざく、ざく、という音がなくなった、

 代わりに誰かの声が、俺の耳に届いた。 

・武術国(Military art country)

特徴:

集まれ!化物o(^▽^)o

銃弾なんてなんのその。人間を辞めた人達が多くいる、武術国。

特別な能力はないと思われるが、とにかく一人一人の強さが段違いである。

弱肉強食という国柄がそうさせたのだろうか……

住みたくない国No.1は間違いなく、この国だろう。


王を決める方法も世襲制ではなく、武術の大会により決定する。

力自慢がトップに立つため、時に酷い政治が行われることも。


過去の戦争では終始優位に進めていたが、完全な勝者にはなれなかった。

一つ理由を上げるなら、兵士タイプの人間ばかりで、ロクに指揮官がいなかったことだろう。

戦術・戦略的な戦いが出来なければ、戦争には勝てないことを証明した。


魔法の国ほどではないが、より良い未来になる可能性は低いと思われる。

近々、新しい王を決める大会が行なわれるようだが、

その大会が武術国の運命を決めるターニングポイントになるだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ