表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/42

アンドロイドの認証方法はかんのうてきで

「こういうのにも金をかけてんだな」


 抽選会の入口で渡されたものを見る。画面に数字が記載された、背面が黒い電子板。

 サイズは教本ぐらいのサイズで、ハンバーグが乗った皿ぐらいの重さだ。かなり軽い。

 これ一台で結構いい値段がしそうだ。欲しいけど、流石に貰えねえか。


「チッ……」


 電子板をひっくり返して触っていたら、後ろからぶつかって来た奴がいた。

 そっちからぶつかっておいて、舌打ちまでしてくるとはどこのクズだ?

 顔を眺めてやろうと思ったら、舌打ちをしたと思われるやつはドンドンと人の波に流されていった。

 はっ、ざまあねえぜ。ってか混みすぎだろ……


「はぁ」


 呼吸すらしづらい。抽選会場の広さは、大手企業のブースより少し大きいぐらいしかない。

 どう考えても人の多さに見合っていない会場のサイズだ。もっと大きいところを使って欲しかった。


「すみません」


「あっ、大丈夫っす」


 また人とぶつかってしまった。だが、さっきの人とは違いちゃんと謝ってきた。

 うんうん、大人はこうあるべきだよな。おれも見習おう。 

 ぶつかった時に気付いたけど、周りの服装はどれも高そうなスーツを着た人の姿ばかりだ。

 それに比べて、自分はただのTシャツ。会場を歩いてた時から薄々感じてたが、場違いなんじゃないだろうか。

 あと、身長が高い人間も多い気がする。エリートになると、身長が高くなったりするんだろうか。

 いや、逆か? 馬鹿な事を考えてると、前方からマイクを通したと思われる女の声が聞こえた。


「本日はご来場ありがとうございます! お待たせしました、これより抽選会を始めます。まずはルールの説明です」


 お手元の電子板を見て下さいと言われ、見る。

 先程みた画面と少し変わっていた。数字が浮いてる……?


「今回の抽選会のゲームはビンゴです。ですが、普通のビンゴとは違います! 最初に、数字の配置を変えることができるんです」


 ふーん、確かに普通のビンゴとは違うな。そもそも電子板でやるなんて、初めてだ。

 しかもタッチパネルかよ。いくらすんだ、これ。

 まだ量産は進んだって話は聞かないし、下手したら色付きテレビより高いんじゃねーか。

 あれ、でもそれだけなのか?


「制限時間は3分です。さあ、変えて下さい!」


 本当にそれだけらしい。変えても、変えなくても、そんなに結果は変わらなさそうだけどな。

 ……少しだけ変えとくか。左上の隅にある七二の数字を適当な数字と変える。働けジジイ。

 数字を変えたあと、辺りを見回す。くだらなそうにしてるのが半分、必死に指を動かして、数字を変えてるのが半分ってところか。

 思ったよりも変えてるやつが多いんだな。おれもその一人か。


「残り3、2、1、ハイ! 終わりです。数字は固定されました」


 ねーさんの言葉と共に、数字がビッタリと枠にはまっていた。

 指で数字に触れてみるが、動かない。親機か何かで、この子機に指示を出したのか。

 周囲の何人かはため息をしていた。時間内に数字を変えられなかったんだろうか。そんなに結果は変わらないと思うが。


「さてさて、最後に皆さんお待ちかねの商品の説明をして、いざビンゴッォ! を始めたいと思います」


 発音の良いビンゴって言い方だな。そんなことはどうでもいいか。

 商品だ! 何がくるんだ? ロボット来い!


「私の後ろのスクリーンをご覧下さい!」


 パンパカパッパッパーンという、アホくさい音ともにねーさんの後ろの大型モニターから、映像が出力される。

 

「…………っ!」


 おれは大きなスクリーンに映し出された内容を見て絶句した。

 おそらくこの会場にいる人間の殆どがおれと同じリアクションをしただろう。

 それほど衝撃的だった。まさか一等から三等まで、全てロボットだなんて。


「皆さんの表情を期待してました! ありがとうございます。

 今回は沢山の企業の協力もあり、とても豪華な商品が揃いました」


 今までは一等の方のみに、ロボットをプレゼントという形だったんですけどねーと笑いながら言う。

 そりゃそうだろう。というか今までもロボットをプレゼントしてたのかよ。そりゃ人も集まるわ。


「まずは一等! 最初の一名様に限りますが、今までで一番豪華な商品、マールス社の最新型のハイエンドモデルです!」


 そう、一番驚いたのがこれだ。まさかの未発売商品を景品にするとは……正気の沙汰とは思えない。

 一台いくらすんだよ、あれ。下手したら億、いくんじゃねえか?

 だが、俺の目当てはあれじゃない。ねーさんの説明を聞き流す。


「次は二等! こちらは二名様にプレゼントです。

 ウィグルネス社の原点とも言えるAシリーズを改修した、create(クリエイト)-Aです!」


 まさかのウィグルネス社の製品かよ。でもあそこの製品は全て兵器用だぞ、貰ってもどうすんだ。


「あ、もちろん武器はついてないよですよ、はははー」


 そりゃそうだ。

 というか本当に貰ってもどうすればいいんだろう。兵器用のは重くて家に入れたら、床を壊しかねん。

 いや、そもそもAシリーズとなると、サイズが大きすぎて家に入らない可能性まである。

 でも、何の気兼ねもなく分解できていいかもなー。

 おれは頭でcreate-Aの武骨なボディを分解してる所を想像した。うーん、いいな。


「お次は三等! 例年の一等はこの辺りのロボットが鉄板ですね。

 皆さんご存知! ヤンブーユニオンのhelp-2の最新型ヴァージョンを三名様にプレゼントです」


 これだよ、これ! おれが求めていたのは! 介護用ロボットhelp-2! 

 機能の多彩さ、安定性、コストパフォーマンスどれも優れていて、何度も再販されたヤンブーユニオンの歴代売り上げナンバーワン商品!

 これが一台あれば、ジジイの介護で頭を悩ますことはなくなる。

 見た目はダサイが、老人のサポートをするロボットで、これに勝る商品はないといっても過言じゃない。

 部分的にはhelp-3やマールス社の製品に負けてる部分はあるが、総合力では圧倒的に差がある。

 よし、なんとかこれを持って帰ってやろう。おれのためにも、バアさんのためにも……ジジイのためにも。


「四等は…………で、五等は……です。なんと今回特等も……」


 ねーさんが四等のパーツとかに説明してるが興味はねえ。おれが狙うのは三等のみだ。

 早く始まってくれ。おれは胸が熱くなるのを感じながら、電子版を強く握り締め、ねーさんの説明が終わるのを待つ。


「では商品の説明も終わりましたので、いよいよビンゴを始めたいと思います。レッツビンゴ!」


 ねーさんの声と共に、大きなスクリーンには絵で描かれた回転抽選器が映し出され、回り始める。


「こい」


 おれは、小さくつぶやき自分の番号が出てくることを期待した。




「ジジイィィィィィィィ!!」


 叫んでしまった。夢の三等が……ジジイもとい七二の数字を動かしたばかりにビンゴしなかった。

 ジジイを動かさなければ、働かなければ、介護ロボットが貰えてたのによぉ。

 

「くそぉ」


 壇上のスクリーンに次の番号が表示される。45だ。自分の電子板にその数字は描かれていない。

 近くからビンゴだよ~という機械音声が聞こえた。最後のhelp-2は誰かの手に渡ることが決まってしまった。

 マジかよ、ついてねえ……あと少しだったのになぁ。悔しい。


「はぁ」


 出るか、どうせ四等とか大したことないだろうし。

 ここで時間を潰すより、企業を回ったほうが価値があるだろう。

 おれは出口の方へ足を向け、歩き始める。

 

 人混みが多くて出にくいな、でもさっきよりスペースができてるし何とかいけるか。

 おれは人の波をかき分けながら、歩く。

 おっ、出口か。早く出よう。人が密集してるせいか、気分が悪くなってきた。

 

「ビンゴだよ~」


 気が抜けるような声が近くから響いてきた。

 ちっ、また誰かが当てたのかよ。気分が更に悪くなったぞ。

 おれは、Tシャツの袖で汗を拭う。


「特等を当てたラッキーな人は、壇上の近くにいるスタッフのところまで来てください~」


 特等? そんなのまであるのか。ってかなんで三等の次に特等なんだ。


「ビンゴだよ~」


 また間抜けな声が近くで聞こえてきた。

 

「君、当たってるんじゃないか?」

「えっ?」


 おれの肩を叩き、話しかけてきた人の顔を見る。

 さっきぶつかって、謝ってくれた人だ。


「何がっすか?」

「特等だよ。電子板を見てみるといい」


 そう言われ、見てみる。

 

「あっ」


 見事にビンゴしていた。




「ソワソワしすぎじゃろ」


 ジジイが食後のコーヒーを(すす)りながら、そう言った。


「あ、あん? ソワソワなんてしてねーよ」

「アンドリューが、なんて一言も、言ってませんーー! 恥ずかしいやつじゃのう」


 くすくすと笑いながら、ジジイは机をバンバンと軽く叩く。


「この野郎! やるか!?」

「ひょえええ、こわっ! 老人虐待だ! バアさん、アンドリューがおれをいじめてくる!」


「あなたもそれぐらいにしてあげなさいな。今日届くんでしょ?」

「ああ、スタッフの人が今日の昼には届くって言ってた」


「この一週間ずっとそわそわしとったからのお、ロボットだといいな」

「そうだな、ロボットだといいんだけど」


「ロボットが来るのを想定して店を閉めたんじゃから、アンドリュー、来なかったら、わかるな?」

「わかんねーよ」

「アメイジング・ボスと呼べ!」


「……わかった、それぐらいならいいよ」


 おれはため息を吐く。

 本当、ロボットだといいな。特等だし、ショボイもんじゃないとは思うけどよ。高級部品とかもありえそうなのが怖い。

 スタッフの人が言うには、とにかく凄い、絶対に驚きますよ、とは言ってたけど何が送られてくるんだろう。

 期待と不安が胸を渦巻く。まさかビックリ箱とかじゃねーよな。まさかな。


 大型車両が近くを通る音が聞こえ、不意に消えた。これは。


「あら、来たんじゃないの? アンドリュー」

「そうかもしれねえ」


 おれは、席を立ち上がる。


「ロボットにしろなんにしろ、弄って壊すんじゃないぞ。アンドリュー」

「わかってるって。おれがいいって言うまで、下に来るなよ」


 おれは焦る気持ちをそのままに、下の仕事場へ急いだ。




「失礼しますー」

「ありがとうございました」


 おれは配達員に頭を下げる。

 遂にきた! 黒色の丈夫そうな箱を眺め、拳を握り締める。

 この高さ間違いなくロボットだ! しかも最新のものに違いない。

 最近のロボットは人間と変わらない高さのものが主流だしな。昔は性能の問題で大型にせざるおえなかったらしいが。

 それにしても横幅も小さいな。箱の状態でこれだと更に小さいのか。ロボットの進歩を感じるな。


「ふうー、開けるか」


 唾を飲み込んだあと、おれは箱を開けるため、付属されてたドライバーでネジを取っていく。

 箱一つ開けるのに、この手間。間違いねえ。

 

 二十本近いネジを取り、いよいよあと一つだ。この一つを取ればいよいよご対面か。

 手が少し震えているのを感じた。柄にもないな。

 

「よし」


 最後の一つのネジを取る。

 あとは箱を開けるだけだ。開けるぞ、開けるぞ。

 おれはジジイ達がいないことに感謝しながら、箱を開けた――――




「なんだ、こりゃ」


 なんだこれ。嘘だろ。なんで箱の中から、“人”が出てくるんだ。


「お、おい大丈夫か!?」


 おれは、目を閉じた少女の体を揺する。


「お、おもいっ」


 全然体を揺することができなかった。

 どうなってんだこりゃ……

 おれは少女から手を離し、一度姿を見てみる。

 身長はおれより、少し小さい。百五十後半ぐらいだろうか。肌の色もとても白い。見た目の印象はまるで人形のようだ。

 

「なんかスカート短くねえか」


 あと少しでパ、パンツも見えそうだ。っておれは何を考えてんだ。

 頭を振って、馬鹿な考えを捨て、彼女の特徴的な部分を見る。

 存在を強く主張してくる銀色の髪。こんな色の髪初めて見たぞ……

 

 箱をどけて、後ろ姿を見てみる。特別変わったところは……ん?

 なんて言うんだこの髪型、ツイストされたこの髪型も多分初めて見る。洒落ているというべきか。

 それにしても、気を失ってるのに何でこんなにしっかりと立てているんだ。

 おれは脳裏に、ある可能性が浮かぶのを感じた。まさかとは思うが……

 

「おーい、起きてくれ」


 それから何度か声をかけたが、うんともすんとも言わない。

 こりゃマジでそうなんじゃないか。でもそんな技術力がどこの会社にあるっていうんだ。

 そうだ、彼女が人間じゃないとするなら、箱の中に――


「あった」


 箱の中から、説明書が出てきた。

 どこの会社が作ったものだろう。ページを捲ると、エッジ社の名前が出てきた。

 あそこが!? そんな技術力があるとは思えねえ。

 いや、でも、そういや、ベンクトさんが状況を打破できる製品を開発したとかなんとか言ってたな。

 これがそうなのか、確かに状況を打破できるかもしれない。

 おれは答えを得るために、ペラペラと説明書を見ていく。

 

 百ページ近い説明書にざっと目を通して、ため息と共に言葉が漏れてしまう。


「アンドロイド……かぁ」


 AR-0(アンドロイド・ゼロ)、史上初めての存在であろう、アンドロイドだ。

 ロボットでありながら、人間に近い外見と行動がおこなえるアンドロイド。

 構想自体は何度も聞いていたが、実現には随分遠いという話だったはずだ。

 重量の問題や言語の問題、あと心の問題、他にも様々な問題があったはずだ。

 説明書を見る限り、それをある程度は克服したのが、この少女、いやこのロボットということか。

 重量に関しても他のロボットと比べれば、かなり軽い。……おれじゃ動かすのは中々大変そうだが。


 それにしてもこの見た目だと弄りにくいな……仕方ねえか。壊すのもいやだし、やめておこう。

 弄りてえ、改めてアンドロイドの姿を見る。本当に人間の少女にしか見えない。

 どんな感触なのか気になり、腕に触れてみる。この弾力にこの柔らかさ。人間の肌触りとなんら変わりがない。

 本当にロボットなのか? ……試してみればわかるか。


「起動ってどうやってさせるんだ」


 説明書を見ると、どうやら頭の後ろに小さなスイッチがあるらしい。起動させる方法の隣に小さく注意書きが説明されていた。

 起動すると同時に、このアンドロイドの生体データや現在地のデータがエッジ社に送られるらしい。

 まあ、当然それぐらいはするだろう。

 何か問題があると社員がすっ飛んで来るらしいけど、なんで抽選会の商品になんてしたんだよ。頭が逝かれてるとしか思えない。

 でも頭が逝かれてるおかげで、手に入れられたわけだし、感謝しとこう。


「それじゃ早速……」


 アンドロイドの後ろの髪を持ち上げる。……こういうの何だかドキッとするな。

 相手はただのロボットだし、気にする必要なんてないのに、はぁ。

 ジジイに見られたら何て言われるだろうか、ロクなことは言わないだろうな。

 おれは自分の髪を撫でる。

 アホらしいし、とっとと起動させてしまおう。


「どこにあるんだ」


 おれは頭を隈無く探す。あった。

 本当に小さい、それに皮膚の色と同化しているせいで余計わかりにくい。

 意識して探さないとまず見つからないな、こりゃ。


「…………」


 おれは起動スイッチを静かに押した。

 そうすると、カチっという音と共にガガガという音が聞こえる。

 大丈夫なのか、これ……? おれはアンドロイドの正面に体を動かし、顔を見てみると、先程とは違い、青い目を開いていた。


「AR-0、起動しました」

「おおおっ、すげえ」


 まるで人のような声が、静かな店の中に響いた。

 これが……ロボット。信じられねえ。

 おれが呆けていると、アンドロイドは表情を変えず、こちらを見ながら喋りだした。


「マスタ設定を行います。私の口の中に、指を一本ずつ入れて下さい」

「はっ? 何言ってるんだ」

「認証に必要です」


 そう言い、アンドロイドは黙りこくった。

 マジかよ……おれは説明書を見ると確かにそう書かれていた。

 セキュリティだか、なんだかの為らしいが、指を口に入れるってなんか……くっ。

 それに十本全部入れる必要あるのかよ。


「はぁ、わかった。入れるよ、口を開けてくれ」

「あーー」


 おれの言葉に反応し、口を小さく開けた。

 よ、よし、入れるぞ。俺は人差し指を慎重に口の近くへ持っていき、


 入れた。


「にょわあああああ、なんじゃこりゃ」


 おれは口の中の感触に驚き、つい指を抜いてしまう。


「認証できませんでした。もう一度お願いします」


 人の口の中に指を突っ込んだことはないが、わかる。

 このアンドロイドの口の中は、人間とほぼ変わらないんだろう。

 なんだよ、あの感触、気持ち悪いとかじゃなくて、むしろ……

 ああああ、やめよう。未知の体験とだけでも思っていればいい。それだけでいい。


 無心だ、無心でいこう。おれは汗を拭いながら、もう一度右手の人差し指を口に入れる。


「ん」


 ぱくっとおれの指をアンドロイドが咥えた。

 あーーなんだよもう。早く終わってくれ。

 おれはダラダラと汗を流しながら、足をもじもじとさせてしまう。

 わかる。今のおれ最高に気持ち悪い。


「認証成功。次の指をお願いします」

「はい……」


 おれは解放された指を眺めた。口から糸を引き、テカテカとしていた。これがかんのうてきっていうのかな

 ぬめっとした感触が蘇りながら、次の指を入れた。天井を眺めてることにしよう……




「最後にマスターの名前を教えてください」


 やっとここまで来たかという気持ちだった。

 少女、アンドロイドの口に指を突っ込んでから一時間近く経っていた。

 細かな設定が多すぎる! 髪型はどんなのが好みですかって必要な質問か? 

 もういい、とっとと終わらせよう。それでちょっと休むことにしよう。


「アンドリュー・M・ロイドだ」

「アンドリュー・M・ロイド様、これからよろしくお願いします」


 恭しく頭を下げてきた。表情は依然無表情だが。


「呼び方はアンドリューでいい」


 それにしても、本当にアンドロイドなのか。受け答えがロボットと変わりない気がする。

 まさか、見た目と声だけ変えたってことはないと思うけど……そういや説明書に学習していくって書かれてたし、成長するにつれて人間ぽくなるってことか。

 後でちゃんと説明書を読まないとな。


「わかりました、アンドリュー。何かご命令はありますか?」


 首を傾げながら聞いてくる。

 こういう仕草は人間と変わらないな。それにしても命令か、あっそうだ。

 おれは店の外を指差しながら、


「店先にあるゴミを捨ててきてくれるか?」 

「わかりました。あのゴミを消滅させます」


 消滅? と疑問を浮かべているうちに、スカートのポケットから何かを取り出した。


「おい、何をする気だ――――」


 店の外へ向けて、小型の何かを構える。

 止めようとするも時すでに遅し。


「発射します」

「……えっ?」


 冷たい声が聞こえたあと、

 爆発音と共におれの声はかき消された。



 

 


 


 



機械編はスピード重視で書きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ