勉強会 4
ケーキ争奪戦テスト。ルールは簡単だ。制限時間の間に十問問題を解き、正答率が一番高かった人の勝ちだ。
「よっし! スタートォ!」
夏樹の掛け声を合図に、ノートに向き合う五人。香月達は頭を悩ませて、そして時に滑らかにシャープペンを走らせていく。
時計を刻む音が響く中、七転八倒する香月達。やがて一足先に十問問題を解き終えていた夏樹が時計を止める。大声をあげる夏樹。
「はい! 終了! よっし! これは多分私の勝ちね」
「まだ分からないわよ」
美穂も夏樹に張り合う。香月がみなへゆったりと勧める。
「じゃあ答え合わせ。始めましょ」
香月に促されて答え合わせしていく五人。様相はどうやら夏樹が頭一つ抜きんでているようだ。
全員の答え合わせが終わり、夏樹が人一倍大きな声をあげる。
「よっしゃあ! 八問正解で正答率八十%! 私の勝ちね」
誇らしげに勝利宣言する夏樹に朱美がぼそりと告げる。
「あっ、残念。夏樹。私、九問正解で正答率九十%だったわ」
「げげんっ!」
夏樹が両手を交差させて驚く。だが夏樹には奥の手があった。朱美の先の言葉を引き合いに出すという奥の手が。
「まぁ、でもケーキはケーキだしね。何を食べたって」
そう夏樹が言い終えるか終えないかの内に、夏樹の意図を察したのか、朱美は素早く自分のケーキを決めて、手に取る。
「よっしゃ! ベリーミックスいただき」
「あっ、それ狙ってたのに!」
夏樹は手を差し伸ばして悔しがる。何と屈辱的にも美穂に次いで三番手に甘んじた夏樹は、モンブランを手にして零すしかない。
「仕様がない。私、モンブランね」
少し肩を落とす夏樹に桜がこう耳元に囁く。
「でも、夏樹さんの作戦、大成功でしたね。みんな頑張って」
「うん。それもそうね! まっいっか」
そう夏樹が気を取り直すと、各自選んだケーキを前に五人は声を揃えるのだった。
『いただきまーす!』
その頃俊哉と健はまだゲームセンターにいた。いい加減、痺れを切らした健が俊哉に告げる。
「なぁ、そろそろ帰ろうぜ」
すると俊哉は、健が痺れを切らした理由など分からずに、深刻な表情で彼に伝える。
「それより健。大変なことが起こった」
「何」
俊哉のシリアスな様子に健は親身になって訊く。俊哉は厳かな口調で顔を覆う。
「メッシが負傷してしまった」
その能天気な返事を前に健は呆れるしかない。
「ゲームだろ? それは」
リオネル・メッシ。パロンドール四年連続受賞。FCバルセロナを率いるストライカー。彼なしで二千年代のサッカーはなかったと言われる。




