表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
香月  作者: keisei1
65/81

勉強会 3

 転じて佳境に入る香月達の勉強会。美穂と香月のエキサイトは加速する一方だ。美穂は解き明かした問題に納得して、香月に伝える。



「そうか。ここはこう解釈すればいいのね」


「なるほど、なるほど」



 香月も美穂の解答に感心している。夏樹はその様子を見て、してやったりの表情で問題をスラスラと解いていく。

 熱気の籠もる香月の勉強会。そこへ一際涼しげな風が吹く。香月の部屋をノックする、香月の母、沙織の声。



「いい? 香月」


「いいよー、お母さん」



 香月がそう返事をすると、沙織はお茶菓子を持って部屋に入ってくる。勉強道具を机の隅に寄せるみなへ、楽しげに沙織は伝える。



「さぁ、勉強尽くしでもちょっと疲れるでしょ? ケーキでも食べてひと休みしたら?」


「ありがとう。お母さん」



 沙織はケーキをみなに持て成すと、香月のお礼に「いや、いやー」と手を振って、部屋を出て行く。



「それじゃあ、いただきまーす」



 真っ先に口を大きく開いて、香月がケーキを食べようとしたその時、夏樹がまたも何かを閃いたのかこう提案する。



「ねぇ。ちょっと待ってみんな。こうしてただケーキを食べるのも面白くないじゃない?」



 朱美はゆったりと自分のペースで物事を進めるのが好きだ。ケーキを食べるのに面白くも面白くないもないらしい。朱美は小首を傾げる。



「別に。面白いんじゃなぁい? だってケーキはケーキだもの」



 夏樹は朱美の言葉にもどかしげだ。



「だぁー。分かってないわね。朱美。スウィーツへのこだわりは女子にあって当然でしょ?」


「まぁ、それはそうだけど」



 夏樹の熱論に朱美は若干、鬱陶しげだ。さっさとケーキを食べてしまいたい朱美を横目に、夏樹はこう言ってのける。



「いい? ここに五種類のケーキがあるでしょ?」


「うん」



 元旦は晴れやかな日だ。雅やかな日でもある。どんなアイデア、提案にも「うむ、苦しゅうない」といって懐深く構えるのが慣習の日でもある。だから香月は興味深げに頷いた。


 夏樹はその香月の手拍子を合図に誇らしげに言い放つ。



「今から問題集を解いて、一番成績の良かった子が好きなケーキを選べるっていうのはどう?」



 凧揚げ、コマ、双六。娯楽の王道の日でもある元旦は、遊び好きでもある。真っ先に香月が同意する。



「いいね! それ」



 香月が乗じたのを確かめると、夏樹があらためてみなの意思を確認する。



「どう? みんな、やる?」



 勝負を持ちかけられて黙って引きさがる美穂ではない。彼女は一度大きくストレッチをして応える。



「よっし! やりましょう。ただやるからには文句はなしよ」


「OK! 決まりね」



 夏樹は左手でガッツポーズを作って喜んだ。桜も嬉々として賛成のようだ。こうなると多勢に無勢。静かにケーキを嗜みたい朱美もやむなくと言った調子で同意する。



「仕様がないわね。やりましょ」


『よっしゃあ!』



 最後の最後まで渋った朱美が重い腰をあげたのを見て、四人は声をあげた。こうしてケーキ争奪戦テストが始まったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ