文化祭 3
一方俊哉達と対峙する加賀達。その頃職員室では彼らがお茶を片手に面と向き合い、話し合いをしている。
加賀の持論によると文化祭では生徒の悪ふざけが行き過ぎるきらいがあるという。加賀は機先を制する。
「彼らの出し物を頻繁にチェックしとかないといけないな」
加賀一派の教師の一人が同調する。
「そうですね。加賀先生。今のうち検閲でも入れときましょう」
加賀ら一派はまるでお茶を、契の杯でも酌み交わすかのように、一気に飲み干すと、見回りに向かう旨を決める。
加賀達一派がまず足を運んだのは、香月達が稽古している教室。加賀は先制に勝機ありと見たのか、突然扉を開けると中の様子、香月達が楽しげに稽古している様子を窺う。
香月達グループは教師に特別反抗的ではないものの、消火器、放水器騒動や、署名集めなどに奔走したグループだ。自由より管理を尊ぶ加賀の目の敵にされても、ある種仕方がない。
だが意気軒昂とやってきた加賀達が肩すかしを喰らうほど、香月達はみな懸命に和気あいあいと練習をしている。美穂が真っ先に加賀へ気付く。
「あ、加賀先生、こんにちは。何か御用ですか?」
「い、いや。真面目にやってるようで結構」
「そうですか」
美穂はキョトンとして立ち去る加賀達を見送るだけだった。
「何の用だったんだろう? 先生」
「ねぇ」
不思議がる香月と美穂を置いて、次に加賀達が向かったのは、俊哉達男性総勢8人が参加する「お化け屋敷」だった。
加賀は「お化け屋敷」の準備が始まっている教室を前に、咳払い混じりに口にする。
「さて、問題はこいつらだが」
すると加賀の、俊哉達を問題児扱いする熱弁が始まるよりも早く、教室の中から話し声が聞こえてくる。俊哉と健の声だ。
俊哉がまずアイデアを出し、それに健が応える。
「顔面に千切れた腕を付けよう」
「それいいな。じゃあ血で赤く染めてっと」
加賀は息を飲み、一派の先生方に声を掛ける。
「もうこの様子じゃ、悪ふざけが度を越しているのは必至! 一目瞭然のはず。では行くぞ!」
「はい! 加賀先生」
そう一致団結、声を合わせて加賀先生一派が教室の扉を開けると、出迎えたのはグロテスクな化け物だった。悪ふざけ。それはたしかに一目瞭然だったが。
「はい、なんでしょう~。先生方」
化け物は目がただれ、腕がもがれ、その腕が顔面から生えてきている。
その余りに精巧な出来映えに加賀達はこう叫んで散り散りに逃げて行く。
「どわぁぁぁあ!!」
化け物の背後からひょいと顔を出す俊哉と健は、その余りの呆気なさに拍子抜けだ。
「あらら。案外、骨ないのな」
「そだな」
加賀先生一派、そして香月達との攻防、駆け引きも徐々にピークを迎える中、生徒達各々の文化祭の準備は順調に進み、いよいよ文化祭当日を迎えたのである。




