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ぷろろーぐ
あの頃、私の世界は混沌としていて、白と黒が混じりあい灰色が世界を支配していた。
あの時、なにかをしていたら何かが違っていたのか。
今でも分からない。
けれども、間違いなくその出来事は私を傷つけた。
あゆみを止め、停滞を望み、変化を恐れた。
そして世界は日々形を変え、私は取り残される。
私の心は、永遠を望み絶望に蝕まれてゆく。
真綿にくるまれるように暖かな場所で、私は目を閉じる。
もう少しだけ……このままで。
立ち向かう勇気も。
助けを求める勇気も。
今はないから…………。