part3
「いやぁ海は最高だなぁ!新米たち!」
勇ましく、大きい声が響く。
ヘリコプター内。援軍が乗ってきたヘリコプターに新米...ウィリーたちが乗せられている。
「はぁ...」
「はぁってなんだお前ら元気出せ!」
空気は地獄そのものだった。
今日の戦闘でウィリーたちの隊は120人中87名が戦死した。
まともにいられないだろう。
「う...うぉええ...」
ウィリーは酔いか吐いてしまった。
「大丈夫か?酔ったのか。まて人だ!」
指を指した方向にあったのは小さな陸と人影だった。
「あの感じ南マンだな!」
援軍は手に機関銃をとった。
風がとても強く鳴る。
「な...なにするんですか?」
「分かるだろう?!殺すんだ!ひゃっふー!」
思いっきり引き金を引いた。
ダダダダダダダダ!
人影はどんどん倒れていく。
クイストが言った。
「あんたよくそんな民間人殺せるな!」
援軍は振り向きながら言った。
「当たり前だろ!南人だからな!最高だぜ!」
ダダダダダダダダ!
クイストはどんどん質問する。
「あんた自分がなにやってるのか分かるのか?!」
援軍は誇らしげに
「的あてゲームさ!」
と威張りながら言った。
ウィリーは険しい顔をして見つめていた。
「おいお前、着陸するぞ銃をしまえ!」
パイロットが激しく怒鳴った。
プロペラに砂がどんどん入っていく。
ヘリコプターはゆっくりと降下していく。
「くそ、風が強いな」
クイストは目の前に手を置いて苦笑いをした。
「じき慣れる!こんなに戦争が長引いてちゃな!ハッハッ!」
北国アジトン州軍用基地。
ここでウィリーたちはこれから暮らしていくこととなる。
もうすっかり日が暮れている。
ウィリーはぼーっと基地の様子を眺めていた。
「おい何万お前は賭ける?」
「200万!」
「えーっとこちらアジトン軍用新聞記者。ご用件を。」
ゴオオオン
「点検完了。明日の飛行訓練はばっちりだ」
「何人殺した?」
「1キル3ヤり」
「ひゃーはっは!冗談だろ?!」
ウィリーは駆け足で近くにいる新聞記者に言った。
「ちょっと...ここってこんな場所なんですか...?」
新聞記者はウィリーを見つめながら言った。
「こんなって?」
「賭けポーカー、殺し自慢、犯し自慢、そんな場所なんですか?」
そういわれた新聞記者は不思議そうな顔をしていった。
「そうだよ...堕落してんだ。そうだ!君ちょっと取材に出てよ!」
新聞記者は目を輝かせている。
「基地初日の新米感想。堕落しているここに一つ言いたい!いいタイトルだ!」
「あ...はい...」
「班で集まれ!すぐにだ!」
隊長の声が大きく聞こえる。
「班長は私に生存者の人数を言いに来い。そしたら部屋がどこかを言い渡す」
「サーイエッサー!」
前に比べて声量がない。喉でも枯れているのか。
ドサ。
ウィリーはベットに荷物を置いた。
同じ班のケリーが呟いた。
「あーあ。たくさん死んじまったよ」
同じく班のエリックも応じた。
「スパイクも、ヒューマも」
「あのゲイはどうでもいいだろ」
横から急に不謹慎な話題を出してきた。
ワイルドだ。
「ヒューマは日系ゲイだ。あんなやつ死んで当然だったのかもな。お前ら何人殺したんだよ」
エリックが答えた。
「俺は2人...」
続いてクイストが
「5人。」
全員言い切らないうちにワイルドは振り切って
「俺は17人だ!お前ら弱いな」
と豪語した。
ワイルドがそういうとクイストとウィリー以外は全員笑い始めた。
「ぎゃはは!そりゃすげぇ!」
ウィリーはじっとワイルドを睨みつけていた。
「いやぁやっぱ一番俺が殺したか!はっはっh」
「そんなんで偉そうにできるんか」
ピタリとワイルドの動きが止まった。
ウィリーが続ける。
「何人殺したかなんて一人で勝手に突っ込んでれば誰だってできるな」
「あ?なんだてめぇ」
「名前通り野生な生き物だな。自然の土に返ってろよ」
「ぶっ、」
と小さな笑い声が後ろからジワジワ聞こえてくる。
バン!
ワイルドが激しくベットを叩いて起き上がった。
「なんだお前。調子乗ってんじゃねえぞ」
班のウイストが
「おい...」
と止めにかかったがもう遅い
ワイルドはウィリーを見ながら言う。
「戦場じゃあ殺すか死ぬかだ。聞いたことあるだろ。死ぬなら殺す。俺は他人の屍を踏んででも生きたいんだ」
ゴン!
ウィリーがワイルドに思いっきり頭突きをした。
「おい...!」
クイストが止めようとし、立ち上がった。
両者睨みあう。
ワイルドが手を出した。
ドン!
激しくワイルドの拳がウィリーの顔にめり込む。
ウィリーの顔は激しく揺れ、血がポタポタと垂れる。
「てめぇぶち殺してやるよ。戦場が楽しみだな。」
ワイルドはそういうと思いっきりドアを開いて外へ出ていった。
ウィリーはずっと下を向いていた。
「ウィリー!貴様は歩兵だ!」
「サーイエッサー」
翌日の早朝。外で大きな声が聞こえる。
今度はライトスインに指を向けていった。
「ライトスイン!貴様は狙撃隊員だ!歩兵となり、狙撃に重心を持て!」
「さー」
今度はリールマインに。
「リールマイン!貴様は工兵となる。その間抜けな顔でよくなれたと思え!」
「サーイエッサー!」
どんどん指を指していく。
「カイル!貴様は特殊部隊に!」
「アイル!貴様は航空部隊に!」
...そして最後に
「ワイルド!貴様は歩兵だ!」
「クイスト!貴様は歩兵の無線担当だ!」
と声が聞こえた。
ワイルドはウィリーを睨みつけながら
「サーイエッサー!」
クイストは心配そうに
「サーイエッサー!!」
とそれぞれ返事をした。
隊長はポケットから地図を出しながら言った。
「歩兵以外は別の基地に移る!工兵はベガサスに!特殊部隊はエイリアに!潜水艦部隊はアーナに!」
「サーイエッサー!」
「というか結局この班は全員歩兵だな。」
部屋内でウイストがつぶやいた。
「歩兵なんて一番下みたいなもんさ。俺は特殊部隊希望だったのによ」
とエリック。
「まぁいいのか悪いのかどうなのか...」
クイストは言いながらワイルドとウィリーを見る。
二人とも距離は長く置いている。
パタパタパタ...
遠くからプロペラの音が聞こえる。
「ヘリが来たな。別の奴らは移動か。」
バタバタバタバタ
激しく砂を奮い立たせながらヘリが降りてくる。
続いて奥からももう3台くる。
「それぞれの部隊の名前を呼んでいるはずだ。自分の部隊を呼んでいるところに乗れ!」
隊長が大声で言うが、いつもに比べて声量が少なく聞こえる。
きっとプロペラの音で邪魔されてるんだろう。
「私は情報部員に行く。みなとはサラバだがな」
隊長がつぶやいた。
バタバタバタバタ...
ヘリが到着した。
「それぞれのところに行け!」
隊長が大きい声で叫ぶ。
ウィリーたち歩兵は遠くから見守る
「お、そういりゃまた会いましたねウィリー君。」
後ろから声がする。ライトスインだ。
「私は神から手を貰えたのでスナイパーとして神から任命されたんだぁ」
ライトスインはとある宗教に入っており、基本的に神を信じて信仰している。
ウィリーは横目でライトを見つめながら
「お...そうなんだな」
と反応した。
周囲の人間は変な目でライトを見つめる。
バタバタバタバタ...
離陸し始めた。
ヘリは次第に空高く飛んでいく。
ライトはヘリを見つめながら言った。
「あんなのろまでよく撃ち落されないな...」
とつぶやくと手の形を銃の形に変え始めた。
手の先にはヘリがある。
ライトが言い始めた。
「んーバキューン!ばきゅんばきゅん~」
ウィリーは少しながらライトから離れてヘリを見守った。
「バキュ~ン!ズドンズドン」
ジャーンジャジャーン、ジャッジャジャーン。
ジャーンジャジャーン、ジャッジャジャーン。
「get your motor runnin'...んたたたーん、たたたーん」
陽気なリズムとともにラジカセ片手に歩いている歩兵がいる。
ここはアジトンの半分崩壊している街だ。
車はまぁまぁの頻度で走っており、街中に売女が立っている。
歩兵はよく見るとウィリーとクイストだ。
クイストが陽気に歌っている中ウィリーは険しい顔をしてクイストを見る。
「Head out on the highway!...たたたーん...」
「Looking for adventure...んーあっ!」
「And whatever comes our way!」
「もうやめとけよクイスト...」
ウィリーに歌うのをクイストは半ば強制的にやめさせられた。
まだ音楽は流れている。
「なんでだよ...いいだろ」
「今の状況考えているのか...?」
[Yeah, darling gonna make it happen♪]
ウィリーは困惑しきった顔でクイストを見つめる。
「俺ら歩兵になってから1か月...なんも戦場には出てないけどしっかりしなきゃダメなんじゃないか...?」
クイストはウィリーの肩をトントンと叩いて言った。
「戦争っていつ死ぬか分からないじゃねえか...だから俺は好きにしてもらってんだよっ」
[Fire all of your guns at once♪]
クイストは続けて
「処刑前に好きなメシを食えて好きな女とヤれるときにやらないのを選択してるようなもんだ」
と説教じみた感じに言った。
「んー!I like smoke and lightning...」
「本当に死んでも知らんからなー!」
ウィリーはクイストの耳元で叫んだ。
「いいさ!そのころにはやりたいこととか全部終わってらぁ」
クイストは笑顔で答えた。
ウィリーは不思議な顔をして歩いて行った。
「あいさつは抜きだ。早速今回の作戦を教える。いいか!」
「サーイエッサー!」
作戦会議にはウィリーと同じ班全員が揃っている。
それにプラスちょこちょことだ。
「私はカールだ。今回はこのエリアBを確認しに行く。前年に北軍が占領したが、そこからの通信が途絶えた。情報部員が出発したきり帰っても来ていない。」
ウィリーはなんとも言えない表情でカールを見ている。
「ただし、航空部隊がそいつらを見破った。彼らは8人組のチームで固まっている。」
「いいでしょうか。」
後ろでワイルドが立ち上がった。
「だったら航空部隊が攻撃すればいいじゃないですか。」
「最後の無線でそう語っていた。」
カールはワイルドが言い切る前に言い放った。
「相手は機関銃持ちだ。絶対に油断は禁物だ。」
カールはクイストに指を指した。
「お前は無線係で通信部隊との連絡をとれ」
「サーイエッサー!」
次にウイストと見たことないボスマンという奴にに指を指す
「お前は工兵だ。戦車は手配してある。工兵は現在別任務中だから臨時でお前らにやってもらう」
「サーイエッサー!」
カールは前を向いてでかい声で言った。
「銃は全員指定されているものでだ。いいな?!」
「サーイエッサー!」
「初任務の奴もおる、面倒はしっかり見ろ!」
クイストはラジカセをベットの上に思いっきり置いた。
壊れるレベルで。
「初任務だ!怖さと緊張がすげぇな...」
「俺は怖さしかねえよ」
ウィリーは不安そうな顔をしながら言った。
その時
「はっ、クソヘタレが」
ワイルドが横から入るように会話に乱入してきた。
「お前はいつもビクビクしてんな。前にパイロットぶち殺した時もそうだ。」
ウィリーは憎しみの目つきでワイルドを睨んだ。
「あ?」
「俺は見ていたがあんな殺すときに泣きわめくバカはいねぇよ」
ワイルドはベットに座り込みながら偉そうに言っていく。
「ビクビクビクビク死にかけのネズミみてぇに」
ウィリーは少しだけ間をおいて言った。
「...その死にかけのネズミにすらなれないのがお前なんじゃないのか?」
ブッと吹きだす音が後ろから聞こえ、くすくすと微かに笑い声が聞こえる。
「黙れヤリマン」
ワイルドは即座に返した。
...ブッ!
「く...くくくく」
笑い声が絶えまなく続く。
ウィリーとワイルド以外のみんなだ。
「何が面白んだ全員絞め殺すぞ」
ワイルドは全員を睨みつけて言った。
「わーはっはっは!」
逆に笑い声は増していく。
「黙れくそニガ野郎!」
「ギャーはっはっは!」
ワイルドが強く当たっても笑い声は増していく。
「ファックユー!ゴミ野郎どもが!」
「こちらからもファックユー!ネズミ以下...ギャーはっはっは!」
ウイストが中指を出しながら言い放った。
「ギャーはっはっは!」
ガサ...
ガサガサ...
基地から少し離れた位置にはでっかい山がある。
山の向こう側は海一面で広がっており、南民が住んでいるところとはだいぶ距離がある。
「あそこか...?」
黒い影が山の近くにある茂みの中を、ガサガサと音を立てて歩いている。
進路は基地に一直線だ。
「なぁリーダー...」
「そうだ。あってるぞカイ」
ガチャガチャ
銃と銃がぶつかり合う音が鳴り響く。
「あまり喋るな。音は意外にも基地に聞こえる」
「了解...後ろの班たちもついてこれてますね。」
影は後ろを向いた。
後ろには何人もの数の影がひっそりとついてきている。
「ここらでいいだろう...」
先頭にいた影は動きを止め、後ろに聞こえるくらいの声量で話始めた。
影は...南軍たちだった。
「ここがアジトンの北軍基地だ。合図があり次第攻めに入る。」
「サーイエッサー」
「幸運にも口を割ってくれた奴がいたからだ。我々は神に恵まれている!」
リーダーはそういうとドサッと何かを放り捨てた。
「この無能な北軍のお陰でな」
「う...うう...」
ドサ!
地面に強く顔が当たった。
北軍は震えながらも南軍の下から見上げる。
その顔は憎しみと殺意を持っている。
「哀れな北軍だよ君は。仲間の位置を軽々と教えっちゃったんだしな」
「ぐっ...」
リーダーはそういうと手元から地図を出して言った。
「ありがとうだな」
北軍はリーダーを睨みながら言った。
「俺の隊はそんなヘタレたちじゃないぞ...ウィリー、ライト、クイスト...それぞれ強い個性がある。お前らをぶち殺せたんだからな...」
そういうと北軍は咄嗟にピストルを出した。
パン!
リーダーの隣にいたカイに当たった。
「が...がはっ...」
ドン!
カイは喉から出る血を抑えながら地面に叩きつけられた。
「!!」
ガチャッ!
後ろにいた南軍たちは一斉に北軍に銃口を向けた。
「撃つな!」
リーダーは後ろに合図を出し、銃を伏せさせた。
「リ...リーダー...だずげで...」
「中々良い度胸をしてるじゃぁないか」
リーダーは北軍を見つめながら言った。
「ちょっとは隊長らしい所あるじゃん。エドワード?さんよ」
「が...じびばぐ...」
隣でジタバタとカイが暴れている。
「それで、君にはとある事をさせてもらうよ...」
リーダーはそういいながら銃を隣に向けた。
「リ...リーバ...」
ダダダダダン!
隊長は驚いた顔でリーダーを見つめる。
「ああごめんな。うるさかったもんで」
リーダーは隊長の耳元に口を近づけた。
そして小さい声でつぶやいた。
「!!!」
隊長は震えながらリーダーを見上げる
「できるよね」
リーダーは満面の笑みで立っていた。




