part1
はじめまして。M MANです。
短い前書きですが、読んでいただけると幸いです。
この作品は、戦争を題材にしたフィクション作品です。
作中には、戦争の理不尽さや残酷さを描いた場面があります。
僕は、今この現実世界でも、同じようなことが起きているという事実を伝えたくて、
あえて表現を抑えていない場面を含めました。
そのため、作中には理不尽な暴力描写や、性的暴行を示唆する描写
(※直接的な表現はありません)が含まれます。
苦手な方は、読む際にご注意ください。
12月中旬。雪が視界を覆い、目の前は真っ白だ。Y国では珍しい雪。
奥の森林ではY国兵が銃を構え、何かを待機している。兵たちは寒さでブルブル震え、くしゃみをしたりしている。
一人の兵が銃を縦に置き手を口に当てている。
「...ふぅ」
「なんだよお前。怖いのか?」
兵は恐怖で怯えていた。視線がキョロキョロ動き、じっとしていれない。
「血も涙もないんだろ...南連邦軍って...」
「あんな奴ら俺らがぶち殺しちまえばいいんだよ。大丈夫だぜ?ウィリー。」
「ひぃ...」
「それに連邦軍って変態らしいs...」
パァンーー。
銃声が鳴り響き、目の前にいた兵の頭は弾け、ウィリーの顔に血が飛び散った。
白色の雪が、赤く染まっていく。
「...あ...」
「敵だぁー!構えろぉー!」
Y国兵は一斉に銃を構えた。
ウィリーの全身は恐怖で震えている。ウィリーは歯を食いしばって敵の方へと向き、銃を構えた。
沈黙の時間が続く。
構えた方向からはじょじょに足音が聞こえ始めた。
様々なY国兵が恐怖で怯えている。
その時、真っ白の霧の中から南連邦軍たちが現れた。
「うてぇー!」
「うぉおおおおおおお!」
---同じ空の下で---
「ウィリー?早くしないと学校遅れるわよー。」
「ふぁああい。」
「今日もミリーちゃん来てるわよ。待たせないでさっさと行ってきなさい。まったく同じ学年とは思えないわ!」
ウィリーは母親に怒られながらリビングへと降りて行った。そしてドアを開けミリーに言った。
「...今って何時?」
「8時よウィリー。ふふ。寝坊助さんがっ!」
「!ありがと...」
ウィリーは顔を赤らめて戻っていった。
「母さん朝ごはん要らない。行ってきます。」
「はいはい。いってらっしゃい。気を付けてね。」
「ねえねえウィリー。私たち将来結婚する~?」
「な...早すぎるでしょ!それに...まだ付き合って一か月...」
「え~いいじゃん好きなんだから~。」
ウィリーとミリーはいつも同じルートで登校している。家も昔から隣。その縁もあってかいまじゃあラブラブな二人だ。
「!...ねえ。これ見ろよ。南側の壁紙。」
ウィリーが指をさした方には悪趣味な南Y国の壁紙が貼ってあった。
「なにこれ。北国民は死ね...?!酷いわこんなこと...」
「最近ちょくちょく見かけるよなぁ...戦争でも始まるんか?」
ミリーはウィリーの肩をゆさゆさ振り、ウィリーの目の前に顔を近づけた。
「私たちには戦争なんか関係ない!ただ幸せに生きてくだけ。でしょ?」
「...確かに。ごめんn」
ミリーはウィリーにキスをした。そうしてしばらくして唇を離した。
「でしょ?」
ミリーは頬を赤らめながら言った。
「...うん!」
ウィリーも頬を赤らめながら言った。
「...ローラは言いました。こんな長旅飽きるわよ~。そうしてやっと...」
「なぁなぁあのレイって女子、かわいいよな!俺の好み!」
「中休みダーカウやろうぜ!昨日面白いかったし!」
授業中もウィリーのクラスはうるさい。教室の壁には様々なラクガキが殴り書きされ、男子は女の子のお話とか好きな人とか、タイプとか聞いている。それもそのはず、このクラスの評価は下から2番目だから。ちょうどチャイムが鳴った。
「授業終わりー。ノート前に出しといてー」
「なぁなぁウィリー。売店でなんか食おうぜ。」
エイドが言った。
「おうよ。」
中休み。皆は大体木の陰で話し合うかダーカウをするかだ。ウィリーは木の陰派だ。友達のエイドとともに、パンを食いながら話している。
「んま。なぁエイド。お前出身南ベトナムだろ。大丈夫か?」
「...あんま外では言いたくないけどヤバい状況だね。どうなる事やら。ってところ。南が北を責めてるから、軍事衝突もあり得るし。」
「そうか...」
チャイムが鳴り、授業が再開したが、ウィリーは軍事衝突の事しか考えてなかった。
「それじゃあ発音しよう。How many books do you have?繰り返して。」
「How many books do you have?」
「次はこれ。How many times have you been there?」
「How many time have you been there?」
「time "s"だぞー。」
みんな英語をしゃべってたがウィリーは窓の外を見ていた。いつもと同じ空・雲。ウィリーにとっては少しいつもと違う雰囲気だった。
(戦争でも起きたらどうするんだよ...本当に。)
学校が終わり、ミリーとウィリーは話しながら帰ってた。
「ウィリー。明日お祭りあるらしいし、一緒にいこ!」
「いいよ。どこでやるんだ?」
「あそこの公園!ホラ、準備してるよ。」
指をさした方向には汗をかきながら重そうな木材などを運ぶ大人たちの姿があった。
「本当だ。じゃ、約束だな。」
「やった!楽しみ...」
その時、道の端っこから大きな声が聞こえた。
「ヒュー。お二人さんお似合い~!」
端っこにいたのは中学生2人組の近所では有名ないじめっ子だった。
「なによあんた。気持ち悪い」
ミリーはいじめっ子を睨みつけていった。
「なになにウィリーくーん。君の彼女?かわいいねぇ。おててつないでてあらまー!キッスもしたのかぁ?あ...もしかしてヤっちゃった?」
いじめっ子は笑いながら言ってくる。ミリーは震えた声で怒鳴った。
「うるさいわねぇ!このド変態!あんたたち何なの?手繋いだっていいじゃない!自分に恋人ができないからって、女に飢えてるくせに!」
「無視しようぜ...ミリー。こんな奴ら怒鳴ったってどうにもならないよ...」
いじめっ子は更にからかってくる。
「ラブラブ~!ヒューヒュー!」
ミリーはとてつもなく怒っていたが、ウィリーに連れてかれた。半ば引きずられた状態で。
「ミリー...別にさ、俺ら変なことしたわけじゃないし、無視すればいいよ。無視」
「でも、ムカつかない?ヤった~?とか、本当に気持ち悪い!吐き気がするわ」
「でもな、逆にあいつらには恋人なんていないし、惨めだと思えばいいよ。」
「惨めねぇ...」
ミリーは少し考えてから大きな声で言った。
「確かに!ワハハ!あいつら惨め!フフッ!」
ミリーは家の前についたから、足を止めてウィリーの方を向いて言った。
「また明日!」
ウィリーも大きな声で元気よく言った。
「ああ!」
ウィリーは更に大きな声で言った。
「また明日!」
ウィリーはミリーが玄関に入ったのを見ると、その場で笑い始めた。
「...いいな恋人って。可愛いし、なにより一緒にいて楽しい。いいな。」
そうしてウィリーは笑顔で上に向いた。大きく息をふん!と吹いてからスキップで家に向かった。
「ルン、ルルルルルン。ランランララン。お、見えた!」
家が見えてきた。いつも通りの家だ。
「ル、ルルルン、ルンルン!ルルルr...ん?」
何か大きな影が空から落ちてくる。ウィリーの体全身を巡って影は下りていく。
「なんだこれ...」
ウィリーは上を見上げた。その瞬間目の前が真っ暗になった。
ドォン...
目の前で家が爆発した。物凄い音とともにウィリーの心の中は真っ白になった。近くの家からラジオが聞こえてくる。
[緊急速報です...ただいま南ベトナムからの爆撃情報が入りました...]
「...は?」
ウィリーの口から思わず出た。ラジオは繰り返し流れ、ウィリーの心は完全に真っ白になった。
[繰り返します]
また影が降りてくる。今度はウィリーの真上からだ。
[ただいま南ベトナムからの爆撃情報が...]
「...え...あ...」
ドォン!...またウィリーの目の前で爆発が起きた。今度は破壊されたコンクリートがウィリーの顔面に当たった。
ガツン!と強く当たり顔面から血が流れてきた。ウィリーは意識を失いその場に倒れてしまった。
[繰り返します。ただいま南ベトナムからの爆撃情報が入りました。直ちに避難をしてください。]
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「う...うう...」
ウィリーは気を取り戻してきた。まだ目は半分しか開いていない。
「あいたた...は!」
目を覚ましてあたりを見回す。
すると、ウィリーは何も言えなくなった。
上から建物の灰が落ちてきても、じっと立ってることしかできなかった。
「え?」
あたりの状況は最悪だった。飛び交う叫び声。何も言わずに建物の下敷きになっている人。水を求めるが干からびて死んだ人。
「ああ...ああ!あなた!」
「水ぅ...水ぅ...」
「うぁあ!腕!腕!どこだ?!どこだ?!うぁああああ!」
ウィリーはただ、見ることしかできなかった。
「お母さん?!お父さん?!どこ?!」
返事はなかった。
瓦礫の山の向こう。
崩れた屋根の下に、動かない二つの影が見えた。
「あ...」
足が、動かなかった。ただ、泣くことしかできない。
「ああ...母さん...父さん...」
「ウィリー?!」
後ろから誰かが名前を呼ぶ声が聞こえた。ウィリーはとっさに目を大きくし振り向いた。
「...ミリー!大丈夫か?!」
ミリーは泣きそうな勢いでウィリーに飛びついた。
「よかった...私...一人ぼっちになるかと...!」
ミリーの言葉だけでも何となく察しできただろう。そんな時、もう一回警報が街に鳴り響く。
街の上空を戦闘機が通過していく。そうしてまた爆撃が始まった。
「逃げろ...!」
ドォン!
さらにもう一回。
ドォン!
爆発するたび悲鳴は鳴り響き、鳴き声が増していく。
「いや、そんな...ああ...あなたぁああ!ああああ!」
「たずけで...いばだ...じにだくな...」
一瞬にして日常は地獄へと変わった。
ライルとミリーも、同じことを考えていた。
「なんで...?」
ミリーの声は震えていた。
そんな時、上空を一つのヘリコプターが飛んで行った。
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無線の音が砂嵐に近い音を立てている。
[こちらB班。対応どうぞ。]
「ああ、しっかり聞こえるぜ!」
[了解。これから、突入を開始する。抵抗してきた者は殺せ。突っ立ているやつも殺せ。我々の邪魔になるものはすべて殺せ。北国民は残酷な血を持っているからな。容赦するな。]
「くー。楽しみだなぁ!」
燃えている森にもの凄い風が吹いてくる。空にはヘリコプターが今にも到着しそうな勢いで降下をはじめている。
[こちらC班。目標位置に到着。合図を待つ。]
「いいか?!容赦するなよ?!」
プロペラの音が、重くなっていく。
「殺しまくれ!とにかくな!」
[射程位置到着。ターゲットがいれば無線をよろしく。]
[ひゃっほぅ!祭りだ祭りだ!]
森は砂まみれになった。
[分け前は取っとけよ?首と女。]
「相手は北国民だ!油断するなよ!」
[B班位置につきました。]
[上空班目標位置につきました。掃射準備完了!]
ヘリコプターのドアが開く。重く、重く、
「さぁ準備はできたか?!」
[できてます。]
[きたきたきたぁ!]
中からは軍用の服を着て、手にはライフルを、ポケットには爆弾を詰め込んでいる奴らが出てきた。
「用意!」
一斉に銃を構える。銃を構えた方向には燃えている街がある。軍たちは汗をかき始め、夕方の太陽に照らされる。神々しく光る彼らは今、銃の引き金を引き始めた。
「GO!」
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ダダダダダダ!
銃声が鬼のように街に響き渡る。様々な人たちが一斉に撃たれ、その場に倒れこんでいく。
「嘘だろ...?!」
ウィリーは目を大きく開き、口をアワアワ動かしている。ミリーも同じく。
「こっちだこっち!ミリー!急げ!」
ウィリーとミリーは高いビルの影に身を伏せる。街には軍の影が何体もある。
「ひやっほう!死ね死ね死ね!」
「許してください...!この子は私の唯一の家族なんです...!」
親が悲鳴みたいな声をあげる。軍はその場に立ち止まる。
「ほう。」
「怖いよ...ママ...」
「お願いです許してください!お願いしますぅうう...!」
軍はじっと見て言い放った。
「邪魔だ通れない。」
「きゃあああああ!」
「どけ!やだ!死にたくないんだ!」
「ああ!ママァア!」
悲鳴をあげ、市民は泣き叫びながら逃げていく。だが軍はそれをなんとも思わず撃ち込んでいく。
ダン!ダダダダダン!
銃声はやまずになりつづける。
「ミリー!このビルに隠れるぞ!」
「...あ...ああ...」
ミリーはそんな状況を前にまともに喋れなくなっていた。目は一方に惨劇の方を向き、首は少し横に曲がっている。
「おい!ッチ...」
ウィリーはミリーを半ば引きずりながらビルの中へと入れた。ビルはボロボロで今にも崩れそうだ。
黒い灰が、上から降ってくる。
「な?階段上って一室に入ると、安全だぜ?」
「...うん」
ミリーは少し正気を戻してきている。
「何人いる?」
「...24人です...」
集合住宅の在民は整列させられ、強制的に並ばされている。これから南への軍介入推薦だ。
「24かぁ」
軍はそういうと間を少しおいて言った。
「多い。」
ダダダダダ...
「おいおいお前取りすぎだよぉ~」
「24人も一気に!ひゃーはっはっは!」
無慈悲に軍は死体に銃弾を撃ち込んでいった...
「わーはっはっは!」
「やめて!お願い!」
「追いかけろぉ追いかけろぉ!」
3人の軍がとある女性を追いかけている。女性は必死に走るが軍はどんどん近づく。
「楽しいことしようぜ!はっはっは!」
距離はもう50cmくらいに縮まった。
「きゃーーーー!」
ビルに、ものすごい悲鳴が響いた。そして笑い声が同時に聞こえてくる。ウィリーは歯を食いしばりながら壁に拳をぶち当てた。
「くそ...くそぉ!」
ウィリーは悔しさで涙が出てきた。
「なんでだよ...なんでだよ!」
ミリーはポツンと見ることしかできなかった。
「くそっくそっ...くそぉお!う...うう...」
ミリーはウィリーの肩に手を置いた。
「あなたが悪いわけないじゃない...みんな分かっている。これは正しくないって...分かってるはずよ...」
「ありがとう...ミリー。少し落ち着いたよ。」
「うふふ。私も。」
外からは悲鳴。血なまぐさいにおい、銃声、そんなものしか聞こえない。
「これから...どうする?」
ウィリーは不安げに聞いた。これから何が起きるか分からないし、死ぬかもしれない。
ミリーはウィリーを見つめていった。
「大丈夫よ。二人なら、きっと大丈夫。」
「...確かにな。」
コッ...
「ねえ今の音なに?」
コッ...
「え?」
小さい足音がビルの中を巡る。その足音は徐々に大きくなっていっている。
「...見てくる。ミリーはその場にいてくれ。銃声とか悲鳴が聞こえたら逃げろ。わかったか?」
「え...でもウィリーが...」
コッ...
ウィリーは切羽詰まった声で怒鳴った。
「いいから!」
その声は少し泣き声が混ざっているようで、とても震えていた。ウィリーの目には汗と涙と震えが見えた。
コッ...
「...わかったわ...」
ミリーは小さくうなずき、ウィリーはドアを開けた。
ドアノブの音が重く、ギシギシ言う。
コツ...
ウィリーは静かに階段をゆっくり降りていく。手には入り口近くにあった切れ端が鋭い棒を持って。
コツ...
階段はメシメシ鳴り響き、ウィリーの恐怖が増していく。
コツ..
ガラン!
突然ものすごい物音が響いた。ウィリーはびっくして立ち止まってしまった。
音が聞こえたのは、この近くだったからだ。
「誰だよ...出て来いよ...!チキン兵がよぉ...!」
とても小さくウィリーはつぶやく。
とても弱そうに。
目の前には階段の曲がり角がある。ウィリーは恐る恐る進んでいく。
「ああ...あう...あれ?」
進んでいくと玄関の方に戻っていた。
「え...気のせいだった?」
疑問を感じながら引き返す。ウィリーの目はうろきょろしている。
「ミリー。誰もいなかったぜ?聞き間違いなんじゃ」
言いながらウィリーは部屋に入った。
「それに、恐怖でおr...」
ウィリーの目の前には信じられない光景が目に合った。
床を見ると血の海が見える。
目の前には軍とミリーがいる。
ミリーはズタボロにされていた。
「お...まだ生き残りがいた。」
外からは耐える間もなく悲鳴と銃声が聞こえてくる。その音は部屋に響き渡り、ウィリーの体に振動して入っていく。
「あ...ああ...」
「てっきり軍かと思ったのになぁ~声が聞こえたし部屋に来るとこのメスガキがいたしよぉ~騙されちゃったし~」
軍はウィリーを睨み、血まみれのナイフを舐めながら言った。
「ズタボロに殺してやったよぉ」
軍の後ろにはミリーの変わり果てた姿が見える。
「お...お前...」
ウィリーは震えた声で小さくつぶやく
軍はナイフを片手に軽そうに言った。
「まぁ命令だし君も殺すけど。」
ウィリーの体は一瞬にして凍りきった。
「どんな殺し方にしようかなぁ...あ!逃げないでね銃で殺すのは面白くないし。ズタボロにしたり燃やしたりしたけどぉ...男の子だしなぁ」
ウィリーは逃げれなかった。震えたまま恐怖で立ち尽くしていることしかできなかった。
目から涙が落ちてくる。
「まぁ定番の目ん玉刺しでいくか。北のオス目ん玉売れるぞ~!」
軍は近づいてくる。ウィリーはただ、その場で震えて軍を見つめることしかできなかった。
外から大きな声が響いた。
「退散だぁ!政府が動き出した!見つかる前に逃げろ!」
ちょうど退散命令が下された。軍は外を睨み、ウィリーに言った。
「くそっもう少しだったのにぃ...おいガキ。今日は見逃してやるよ。まぁ殺し飽きたし、いいか」
軍はウィリーの頭の上に手をポスっとおいて、その場を去って行った。
ウィリーはただ、変わり果てたミリーの姿を見ることしかできなかった。何分も、何十分も...
何時間も...
気づけば夕方になっていた。ウィリーはミリーをずっとただ見つめて動かなかったが、やっと動き出した。
「外...外は...?」
ゆっくりゆっくり階段を下りていく。
玄関につき、外に出た。
「...あ...ああ...」
街は異常な光景だった。
誰一人音を立てない。ただ道に血まみれで転がっている。
壁・家・車・すべてが血だらけだった。
「う...うう...」
ウィリーは街の真ん中で動きを止めた。
「あ...うあああ!」
ウィリーは膝から崩れ落ちるように座り込んで叫んだ。
「うあああああああああああああああああ!」
誰にも叫びは聞こえない。反響しても聞こえない。
ウィリーはただ、泣き叫ぶことしかできなかった。
街にいるのはウィリー一人だけだったから。
part2に続く...




