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逃げろ!

作者: 明日朝明日
掲載日:2025/11/03

今すぐ逃げろ! 奴がお前を殺しにいくぞ!

そう、あいつだ。お前を憎むあいつのことだ。

お前を殺し、八つ裂きに遷都する男のことだ。

世界のどこまでも追ってくる化け物のことだ。

このメールが朝起きたときに届いていた。

はあ? 何を言っている? 「逃げろ」? どういうことだ?

僕は憎まれて殺されるというのか? まったく分からない。僕を憎む人間などいるわけがない。

そもそも僕は、あまり人と関わらないように生きてきたのだ。ずっと、ずっとひとりで生きてきた。


そんな僕に、ただの僕になぜこんなメールが届いたのか。迷惑メールだろう。馬鹿なやつだ。削除しておこう。


しかしそれからというもの、人の目が気になってしょうがない。

会社に行くとき、帰るとき、近くのコンビニやスーパーに行くとき。

ありえない、馬鹿げていると分かっているけれど、もしかしたら本当にその男は存在していて、僕を殺そうとしているのかもしれない。

怖くて怖くて、しょうがない。


そんなある日、またメールが届いた。


『お前の居場所がバレた。今すぐに逃げろ! でなければお前は死ぬよりも恐ろしくおぞましい目に遭うぞ。』


僕の居場所が分かった? 僕の居場所が? なぜ?

まずい。まずい。本当にまずい。

いや、そんなわけはない。嘘だ。ただの嘘つきだ。僕は大丈夫だ。安全だ。気にすることはない。馬鹿なやつが僕をからかっているだけだ。


その日の夜、僕はコンビニへ買い物に行っていた。

人のいる明るい場所は、僕を安心させる。

帰ろうとしたとき、道路のはるか向こうに人影が見えた。


誰だろう。――まあ、いいか。


そう思った刹那、その影は僕に向かって走り出した。

全力で、僕だけを見つめて。


僕は叫び、発狂して逃げた。逃げて、逃げて、家まで逃げた。

僕はもう正常ではなかった。

部屋に入り、鍵を閉める。


少し経ってから、ドアを大きく叩く音が聞こえた。

ガチャガチャとドアノブを動かす音も。


――もう終わった。僕は死ぬのだ。いやだ。死にたくない。


しかし、ドアの鍵部分が破壊される音とともに、そいつは――入ってきた。


顔を見ると、まったく知らない人がいた。

その人は言った。


「――あのメールが来てから、俺は狂ってしまった。

メールが言っていた“化け物”とはお前のことだろう。知っているぞ。

お前は俺が会社に行くときも、帰るときも、電車の中でも、コンビニでもスーパーでも、ずっとつきまとってきた。

俺は……お前になんか殺されない!」


その男はそう言って、僕にバットを振り下ろした。







しいな ここみ様の「朝起きたら」企画参加作品です。

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― 新着の感想 ―
 不可解な情報と不気味な現実。されど常識を覆す非日常は直視することを許されない。  狂気に至りきることのない恐怖は現代社会の良識故か。  現代人の平和ボケと疑心暗鬼への耐性の低さがこの作品のテーマなの…
企画の主旨に合っております(*´ω`*)これやったらなんでも『朝起きたら……』に当てはまってしまう先生のとは違うと認定 どんでん返しっぽいラストは面白かったです。でも、描き方に緊迫感がないというか、…
んーっ、この企画のテーマって『朝起きたら○○になっていた』ってやつだからちょっと微妙・・。 うん、朝起きた時に身に起こった出来事ではなくて、自身の体や環境の変化を題材にしないと突っ込まれるはずです。 …
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