学校の七不思議「人体模型」
転校して3ヶ月。人体模型の噂を確かめるため学校に忍び込んだ主人公。呪いの回収方法とは
「〇〇高校の呪いですか」
父の書斎に呼ばれた俺は、〇〇高校というこの地域では文武両道で有名な学校の呪いについて聞かされた。
「そうだ。そこにあの呪いが存在しているという噂がある」
真剣な父の顔を見ると、緊張が走るのは小さい頃から変わらない。あの呪い。俺はその呪いを回収する役目がある。
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父の命で高校に転校して早くも3ヶ月。夏の暑さがまだ残っていて、今日は少し湿っている気がする。
この高校に来てからまだあの呪いの噂は耳にしていない。だが、面白い話を聞いた。
【呪いの学校】
この高校の異名だという。その噂を教えてくれたクラスメイトの話では、この高校にはいくつかの噂があるという。例えば勝手になるピアノや花子さんなどなど学校の七不思議。その他にも都市伝説と呼ばれるものがいくつかあるらしい。
その中で今日は人体模型の噂を確かめてみよう。俺が聞いた噂はこんな話だ。
ーーーーーーーーー人体模型ーーーーーーーーーーーー
その昔、戦争が残っていた時代は臓器売買が盛んに行われていた。特に戦争に行けない女性や子ども、老人や障がいを持つものが狙われていたという。ある村には悠太郎という障がいを持つ者がいた。足が動かず座ったままの生活だった悠太郎の元に男性が訪ねてきた。
「悠太郎さんはあなたですね」
「そうですが、あなたは一体」
男は悠太郎の質問には答えず、布のようなもので悠太郎の鼻と口を塞いだ 。悠太郎は1分もしないうちに眠ってしまう。気がつくと、薄暗い部屋の中でなにかに縛り付けられているようだった
「なんだよ。これ。おい」
そう言いながら上半身を動かしてみるが、起き上がることもできなかった。唯一動かせる顔で見ると、はさみや液体、名前の分からない道具が並んでいるのがわかる。
悠太郎が周りの道具に気を取られていると、いつの間にか訳の分からない者たちが自分の周りを囲んでる。
「ひっ、、、」
そいつらは黙々と道具を持ち、悠太郎に近づいた。悠太郎が抵抗しようとするのと同じタイミングで悠太郎の体は切られていった。
悠太郎の魂は人間を恨み、この学校の人体模型に乗り移った。そして夜中の12時になると自分のなくなった臓器を捜し求めて学校をさまよってるという。
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実際に人体模型を見た人はいないらしいが、俺自身ワクワクしてる。夜中の12時。その時間に合わせて学校に忍び込む。
ポタ、、、、ポタ、、、、ザザザ
しっかりとしまっていないであろう蛇口から、滴る水の音。静かな学校で聞こえる水の音に混じってなにか擦れるような音が聞こえる。
「足音か」
俺はふとそう思った。音が聞こえた方に近づくと、声のようなものも聞こえ始めた。
「なんて言ってるんだ、」
小声で言っているようで、よく聞こえない。俺はそっと耳をすました。
「ねぇ、君。僕と入れ替わらないか」
「はっ?」
耳元で男が囁いたことに気づき、急いで距離をとった。目を凝らしてみるとそこに居たのは微笑みかける人体模型がいたのだ。
((やっぱり、いたんだ、、、、、、))
息を整えようとする俺に人体模型は嬉しそうに近づいてくる。こいつは危ないと本能が伝えてくる。だからこそ、こいつは回収しないといけない。
ポケットから札の貼られた瓶を取りだし、さらに距離をとる。そして、目を瞑り俺は唱え始めた。
「真実に伝えし、世界を守り、悪霊を閉じ込め、、、、、、」
俺の家系に伝わる呪文。唱え始めると人体模型は後ずさりをしながら、何かを訴えてる。体から煙がではじめ
ポンっ
と音がすると同時に俺は蓋を閉めた。そして最後に息を吹きかける。これで人体模型の呪いは回収出来たはずだ。
次の日、学校では人体模型が廊下に転がっていたことが話題となり不審者が来たのではないかと問題になった。その日は午後から休校となり家に帰ることになった。
「早かったな」
家に帰るなり父が話しかけてきた。昨日、人体模型が最後に言った言葉のことを気にしているのだろうか。
「お前らは、死ぬ、」
あの時は俺しかいなかった。だが、複数形で言ったことがすごく気になると父には話していた。
「あの学校はやっぱりおかしいと思う」
そう言いながら父を見ながら言う俺を嬉しそうに見つめる父はサイコパスなんだろうと感じた。
まだまだあの学校の呪いの回収は続きそうだな。
つづく




