貴方のことを教えてほしい
綺麗な人が好き
顔とかより、表情とか仕草、特に言葉
パーツなら目が好き
その人の思想や生き方が分かるから
だから貴方の話が聞きたい
教えてくれますか?
◇◇◇
カチカチと古びた音を聴きながら、目の前の彼を見る
「貴方の生き方綺麗。疲れないの?」
「疲れる?」
すごく不思議そうに首を傾げた
目がないから分からないけど、あったなら多分こちらを観察するような感じかな
そう、疲れる
綺麗に生きるのはすごく疲れる
思考を一貫して持ちながら成長して、思想を定めて尚且つ周りを害さずに、歪められないよう適応しなきゃならない
はっきり言ってめんどくさいこと。
それをできるのはなんでなのか知りたかった
「…よく分からないけど、君の理論と違うのは僕の周りに人が居なかったからじゃないかな」
人がいない?…ずっと?
「…うん。いつから存在してるのかよく分からないし、人とか思想とか難しくてそれもよく分からないけど、適応する必要がなかったんだと思う」
「適応する必要がない…」
私もあなたと同じだったら真っ直ぐ生きられたのかな
ふっと少し気の抜けた音が鳴った
「大丈夫だよ。多分君は優しい。僕と話そうとする人間を久しぶりに見た。」
久しぶりなんだ、初めてでは無いのか
少し自分が恥ずかしくなった
こういうところが嫌いだ
優越感とかそんな感情持ちたくないのに
「疲れてるのは君の方じゃないかなと思うけど…周りに合わせなきゃ行けないんでしょ?好きに歩き回れないって言ってたし…音楽も聞けないの?」
「時と場合による、?かな」
自由な時間は少ない
少なくても今は。大人になったら違うのかな分からない
でも、周りにいる大人の人達も子供も関係なく自由そうで、何かに縛られているのをよく知っている。私もそう見えるのかな
「どうやったら自由に生きられるの?」
うーんと唸ったあと、また頭を捻ってから
自立すること?かなと呟いた
じりつ、自立かぁ
1人で生きるのは難しい。けど、沢山の人と生きるのも難しい。それに
「ひとりは寂しいよ」
はっと気がつく
こんなことは彼には言うべきじゃなかったかも
「僕を傷つけたと思ってる?」
苦笑しながら彼は続けた
「…僕のことは嫌いじゃないの?」
うん
「どうして?」
透き通っててて綺麗だから
「そっかぁ…じゃあ好き?」
…好きだけど、もっと知ってからじゃないと軽い気がする
私の言葉に彼は笑った
「なら、僕のことを思う存分教えてあげるよ…ここに居てくれる?」
…え、生活できるの?
「そこなんだね、もちろん。君が良ければね」
ぺこりと頭を下げて返事をしたら、彼はやっぱり笑った