Twitterのリプライにうーんとなった件 ~フェミニズムについて~
とくに深い内容ではありませんので、さらっと読んで頂けたらと思います。
奴隷はジェンダー論の専門家ではありませんので、間違いなどありましたら、ご指摘など忌憚なくお願いいたしますm(_ _)m
さて、奴隷は過去に2作ほどフェミニズムに関するエッセイを投稿しています。
フェミニストと呼ぶのをやめよう
https://ncode.syosetu.com/n7162hr/
ラディカルフェミニストが女性を敵視する矛盾
https://ncode.syosetu.com/n2778hx/
上記のふたつなんですが、興味があればお読みください。
さて、そんな奴隷なんですが、それなりに前の話となり恐縮なんですが、ツイフェミを非難するツイートをされた方にたいしてのリプライで送られたコメントを読んでいて、うーんとなったことがありました。
その方のコメントを正確に覚えているわけでは無いんですが。
~フェミニズムは共産思想から産まれたものだから、差別的なのは仕方ない~
といった内容でした。
奴隷自身の抱いた感想は「半分正解で半分は明確な間違いだよな」でした。
他の方のツイートのリプライ欄であまりコメントを否定するような内容を書き込んで荒れてもいけませんし、スルーすることにしたんですが、「そうだったんですねー」のようなコメントが当該リプライにたいして返信コメントされていて、やっぱり、うーんとなりました。
さて、この「フェミニズムは共産思想から産まれた」との発言は何が半分正解で何が半分間違いなのか。
このあたりを解説しつつ、フェミニズムについてのお話をしていきます。
まず、前提として、当該リプライは元々、ツイフェミと呼ばれる方々を非難する内容のツイートにたいしての物でした。ですから、コメントした方の認識が「フェミニズム=ツイフェミ」もっと言えば「フェミニズム=ラディカルフェミニズム」になっていた可能性があります。これなら、正解と言える。
つまり「(ラディカル)フェミニズムは共産思想から産まれた」なら正解なんです。
ですが、「フェミニズム」そのものが「共産思想から産まれた」というならば、明確な間違いなんですね。
フェミニズムは、そもそもはフランス革命、もっと言えばフランス人権宣言に端を発する思想や運動です。
フランス人権宣言では国家の主権は国民にあり、全ての国民は人権を有すると主張しました。
しかし、この国民とは「男性限定」だったんです。
このことで「では、女性は人では無いのか」という女性側からの批判と不満が上がることになります。
欧州の家父長制的な社会構造へのアンチテーゼとともに「女性の公的な権利獲得」を目的としてフェミニズムは誕生した訳です。
ですから、マルクスより、遥か以前にフェミニズムは誕生していますから、「フェミニズム(そのもの)は共産思想から産まれた」は明確な間違いなんですね。
ですが、こうしたフェミニズム(公的領域の権利を求めるリベラルフェミニズム)にたいして、生温いと、そもそも女性は家庭に縛られ、母親であることを強いられる抑圧を受けていると、だからこそ女性は私的な領域においても解放されなくてはいけないという主張が産まれます。
そうした主張の受け皿として、当時、資本主義社会に変革をもたらす新たな思想を唱えたマルクスに期待した層が作り出したのが社会主義的フェミニズム(またはマルクス主義的フェミニズム)でした。
この社会主義的フェミニズムはマルクス自身が支持者の期待に消極的であると判断され、失敗しましたが、これを元により先鋭化した「男性の存在そのものが女性を抑圧している」と考える「ラディカルフェミニズム」の誕生に繋がります。
昨今のツイフェミさんや、海外でフェミファシスト、フェミレイシストと呼ばれるような方は改悪され続けた「ラディカルフェミニズム」の成れの果てと言えますから、「(ラディカル)フェミニズムは共産思想から産まれた」ならば正解と言えるんですね。
という訳で、くだんのリプライは半分正解で半分は明確な間違いなんですが。
そもそも、根本的な理解があった上で、文脈を読み取って初めて「半分正解」と言える内容で、何も知らない人が「へー、フェミニズムって共産思想からできたんだー」となってしまっては、これはただの偽情報です。
リプライした方がどのような意図で書き込まれたのかはわかりませんが、「へー、そうなんですね」の返信にたいして、特にフォローされてなかったので、ミスリードを目的としたのか。はたまた、誤情報を教えている実態をどうでも良いとされたのか、そもそも、ご自身も間違った認識をされていたのか、今では定かではありません。
ただ、やっぱりあの時、訂正のリプライをするべきだったかなーと、うーんとなるんですよね。
フェミニズムは今やアンチフェミニズムやポストフェミニズムを経て第3派フェミニズムが台頭しております。
第3派フェミニズムが目指すのは「自分らしさ」です。
「公的、私的問わず、男に負けない強い女性」がフェミニズムのシンボルでしたが、それは反対に「自分らしく、ありのままでいたい」という老若男女問わず願う、ごく普通の願望にたいして「それは間違いだ」と、固定化した概念を押し付ける新たな抑圧を産み出してしまったんですね。
具体的に言えば、女性の方で、「可愛いもの大好きで、理想的な旦那さんと結婚したら仕事やめて、専業主婦になるのが夢なんだ」という人がいるとして、その人に「そんなのは男の理想に染まった間違った考え方だ。女性は自立して、常に前線でバリバリと男に負けず活躍して、男と対等じゃなきゃいけないの、可愛いなんてクソ喰らえよ」と言うようなもんなんです。
当然、女性の中にもついていけない方はいますよね。反対に男性にたいして。
「男は女性を抑圧する原因なんだから、女性に配慮して、女性が暮らしやすいように気を付けなきゃいけないの」
何て言われたら、それってただの男性差別ですよね。
ラディカルフェミニズムは歪みを抱えたまま、それを修正されることなく伝播してしまったために、レイシズムに陥り、本来なら支持されるはずの女性からも嫌悪されるようになってしまいました。
だからこそ、「可愛いは正義、私らしく生きて何が悪いの」のギャル文化が「フェミニズムの最先端」として取り上げられ、第3派フェミニズムの流れを作ったのは面白いなーと思います。
取り敢えず、可愛いは正義。
猫の奴隷だっていいじゃない、の奴隷がお送りしました。
感想お待ちしてますщ(´Д`щ)カモ-ン