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彼女のチャンピオンベルト  作者: みや文明
2/3

チャンピオンベルトの逃走


由里は早朝、何回目かの呼び鈴の音で目を覚ました。由里はベッドの脇にあるスマホを見た。呼び鈴は今も押されて鳴っている。

「何? まだ五時前じゃない。一体何なの?」

由里がパジャマ姿で自室を出ると、淳実もパジャマ姿で自室から出てきた。

「何?」淳実は由里に尋ねるも由里は小首をかしげて玄関に行った。ドアを開けると片手にキャリーバッグをもって水森が立っていた。

「水森さん?」由里は尋ねるように聞いた。

「匿ってください!」

「何!? ちょっと?」由里は慌てたが、水森が強引に入ってきたので何も出来なかった。

淳実は玄関に入ってきた水森を見て驚き、呆然とした。

「ちょっと待って!? 一体どうしたの?」

水森は感情的に訴えるように応えた。

「ここに来れば助けてもらえるっていうから来ました!」

「助けてもらえるって、一体誰がそんなこと言ったの」

水森は由里の後にいる淳実を見て、躊躇いなく淳実を指さした。指さされた淳実は慌てた。

「え、俺!? いや、俺何もやってないよ!?」

水森はその場にしゃがみこみ、両手で顔を覆いながら泣き声で訴えた。

「ここで匿ってもらわないと富長君にぶっ飛ばされる! ここなら私を救ってくれると聞いて勇気を出して逃げてきたのに匿ってもらわないと酷い目に合うわ!」水森は泣きだした。

由里も泣いている水森をここから出すわけにはいかず、とりあえず、水森を慰め、部屋の中に入れて、テーブルのある椅子に座らせて、落ち着くよう飲み物を出した。飲み物は自分にも淳実にも出した。

「みんな、兎に角、落ち付きましょう」由里は水森に飲み物を進めた。そして、話し合いと言っても、水森は「ここに来れば助けてもらえるって言われて来ました!」の一点張り。このマンションの家主の由里も水森の立場を知っている手前、追い出すことは出来ない。淳実はそもそも居候。口を出す権限はない。いや、それよりもこんなにまじかに水森がいることに事情はどうあれ、どこかトキメキを感じていた。それは由里にもわかった。淳実は話にならない、と。

結局、暫くの間、水森をこのマンションに匿うことにした。とりあえずそれしか思いつかなかった。

水森はなんとか泣き落して居座り着くのに成功した。しかし、これからどうすればいいのか、水森にもわからなかった。水森はただエレベーターの中で小野田に言われたことを実行したに過ぎない。これから先は小野田の指示を持つぐらいのことしかできなかった。

淳実は終始、どこか浮かれていた。水森を富長から匿うためにこの部屋にいるのだが、淳実にとっては同じ部屋に水森がいるという厳然たる事実に気分は高揚していた。今、手の届く処に水森がいる。小野田から買ったフェイスマスクの水森とは比べ物にならないぐらい生の水森は可愛い。生の迫力に直に感じていた。水森の体温も息吹も感じる。それはまさに夢。

淳実が水森と出会ったのは大学の新入生歓迎コンパだった。あの長く辛い受験地獄の果てに待っていたのは天使。水森の可愛さは群を抜いていていた。淳実は水森に瞬殺で惚れた。いや、受験地獄でストイックな生活を否応なしに強いられていた淳実にとって何の免疫もない中での水森との出会いは余りにも過激すぎた。淳実はその瞬間想像した。水森と親しくなれれば、いや、なんとか友人以上の関係になれれば、最高に楽しいキャンパスライフを送ることが出来る、と想いを馳せた。だが、そんな甘い想いを巡らせているうちに水森は一瞬にして手の届かない処へ行ってしまった。水森と付き合うには最強の男にならない限り付き合えなくなってしまったのだ。淳実にとってはそれは受験戦争よりも勝算のない叶わぬ戦いだった。淳実が水森に近づけるのは水森の顔型から作り出したフェイスマスクだけ。しかし、その彼女が今、目の前にいる。飛び付いて抱き締めれば抱き締められる距離にいる。淳実にとってこの状況は考えにもない、あり得ない状況だった。淳実の顔がニヤけてしまうのも無理はない。そんな淳実の顔を見て由里はより冷静に頭を働かせた。

「淳実。富長君のこと忘れてるでしょ」

忘れてる……。

「水森さんを富長君から匿うためにこの部屋にいるっていうこと忘れないでね。しかも、考えることはこれからどうすればいいのか、それも考えなくちゃいけないの。わかる? とっても難題ってことよ」

「わかってるよ」とは言うものの、淳実はこのままの状態がずっと続けばいいのに、と内心思っていた。

由里には淳実の気持ちが手に取るようにわかるのか、思わず深いため息をついた。

「とりあえず、水森さんは私の部屋に来て。淳実の部屋に行ったら富長君以上のことされかねないわ」

「変な事いうなよ」

「こないだ、マスクにキスしてたでしょ?」

「え!?」

「やけに静かだったから覗いてみた」

「マスク。マスクって?」水森が尋ねた。

淳実は思わず動揺した。

「何で覗くんだよ!」

「勘よ。あ、やってるだろうなって」

「ちょっと待ってくれよ!」

由里は淳実の言葉を遮るように淳実の前に手をかざした。

「でも、まさかこれを好機とみて水森さんに、このマンションに来いって言ったんじゃないわよね?」

「そんなこと言うわけないだろ! 俺は何もやってないよ!」

水森は首をふり淳実を指さしながら「この人が言いました!」と擦り付ける。

「え!?」

「淳実」

「いや、ほんとに俺は何もしてないって!」

「まぁ確かに、淳実にそんな勇気があるとも思えないし、そもそもこの水森さんの状況を利用して、うちに来い、だなんて考えるほど知恵者でもあるまい。まぁ、いいわ。こうなった以上、考えることはこれからのことだからね」

「そうだよ」

「でも淳実。紳士にしてよ。決してボヤ出さないでよ。匿ってることがばれちゃうから」

「わかってるよ」

「じゃ、水森さん。荷物は私の部屋に入れて」由里は水森を自分の部屋に連れて行った。

こうして淳実と由里の二人暮らしだった部屋に、水森が加わって三人暮らしになった。淳実にとってそれはまさに天からの贈り物。何せ恋焦がれている彼女が自分と同じ部屋にいる。部屋の至る所に水森の息吹を感じ取ることが出来る。フェイスマスクを眺め、妄想恋愛をしていた比ではない。これはもう妄想ではない。淳実の心は高揚しっぱなし。その浮かれる心を由里に悟られぬように必死で平静を装ったが由里はわかっていた。わかっていたが淳実が平静に振舞おうとしているのが滑稽でもあり健気に見えたので口やかましく言うことはしなかった。そんなことよりも考えなくてはいけないことがある。このまま水森を匿い続けることはできない。それに水森も大学に行かなくてはいけない。休み続けるわけにはいかないのだ。そのことが由里の頭を悩ませていた。そんな矢先、水森が来て三日目の夜、突然、小野田がマンションに遊びに来た。由里は驚き、玄関先で、「ちょっと待って。部屋が散らかってるから」といって小野田を玄関前で足止めして、部屋の中に戻った。それを見た小野田は思わず薄笑いを浮かべた。小野田には由里たちの慌てようが容易に想像できた。由里と淳実もいつもふらっと遊びにくる小野田を水森がいるからといって入れないわけにはいかない。そんなことをすれば水森は匿っている間、ずっと追い返さなければいかなくなる。由里は水森に小野田の訪問を伝え、自分の部屋から出ないで静かにしているように指示してから、小野田を部屋に入れた。

小野田は部屋を見回した。

「なんだ、別に散らかってないじゃん」

「今、片付けたんだよ」淳実は平静を装いながらはぐらかす。

小野田は淳実たちの心を見透かし、そっちがその気なら、と状況を楽しむことにした。

「玄関に見慣れぬサイズの小さいスニーカーがあったけど?」

由里は微かに表情を歪めた。玄関に置いてある水森の靴のことを忘れていた。

「ああ、あれは、そのなんだ!?」淳実はしどろもどろ。

「ふ~ん」小野田は、まるで推理ゲームでも楽しむように家の中を歩き回った。

「ちょっと何、うろうろしてないでこっちへ座れよ」

小野田はキッチンで食器を見た。

「あれ、茶碗の数、なんか一つ多くない?」

「そんなことないよ!」

小野田は洗面所も見た。

「あれ、歯ブラシが三つあるけど?」

「ああ、それはこないだ友達が来て!?」

「へぇ、俺の知らない人?」

「ああ、俺も知らない由里の友達だから」淳実ははぐらかす。その淳実と小野田をやり取りを静かに見守っていた由里が痺れを切らして小野田に噛みついた。

「何、その奥歯にものが挟まったような物言い。小野田君、ハッキリ言ったらどうなの?何が言いたいの!」

「そうムキになるなよ。俺はただ付き合ってるだけだよ」

「何、付き合うって?」

「いや、なんか、一生懸命、何かを隠すために取り繕ってるなぁって。別に隠したいなら隠してても俺は一向に構わないよ」

由里はその小野田の言葉にカチンと来て自室に行き水森の片腕を引っ張って連れてきた。

「そうよ。隠してるわよ! 特に富長君とつるんでいる小野田君が来たから!」由里は捲し立てた。

小野田は水森を見ても至って冷静だった。冷静だったのは小野田だけじゃない。水森もまた富長とつるんでいる小野田と会うのに嫌がるそぶり一つ見せなかった。

一瞬、四人の間に静寂が過った。

この静寂の中で、動いているのは淳実の小野田と水森を交互に見る瞳と由里の思考だけが動いていた。

小野田と水森。この場で出くわしたのに二人とも平静。由里にとってはそれが不自然に思えた。富長とよくつるんでいる小野田を見れば怖がるはず。しかし、水森は何の反応もしない。

静寂を破るように小野田が口を開いた。

「なるほどね」

「なるほどねって、それだけか!?」

「それだけって、それだけだろ」

「いや、富長に報告するとか、なんかあるだろう?」

「報告した方がいいのか?」

「それは困る!」

「だろうな」

淳実は呆気にとられた。

「なんか、邪魔みたいだから、また出直してくるわ」小野田はそう言って、玄関に向かい、部屋から出た。

「ちょっと、小野田君に事情、説明してくる」由里は淳実と水森にそう言って小野田の後を追った。部屋には淳実と水森の二人だけが取り残された。水森は俯いた。淳実は気を使って言った。

「大丈夫だよ。由里がなんとか言い聞かせてくれるよ」淳実は水森に言うも、水森の気にかかっていることは違っていた。なぜなら水森にここに来るように命じたのは小野田。

〈小野田君、何をしに来たんだろ? 私に何か言い来たのかな?〉


由里はエレベーターを待っている小野田に声をかけた。

「小野田君、ちょっと待って」

小野田は由里の方を振り向いた。由里は小野田に近づいた。由里は率直に尋ねた。

「彼女にここに来るように仕向けたの。小野田君でしょう?」

「なんで?」

「水森さん、小野田君のこと全く警戒してなかった。それに、前から思ってたんだけど、なんか小野田君が富長君と一緒にいるの、正直どこか違和感ある。中島君はベルトのことしか考えてないから一緒にいるのはわかるけど小野田君はちょっと違うかな。少なくとも淳実と富長君は真逆。付き合う相手が違いすぎる」

小野田は由里の洞察力に感心し、微笑んだ。

「もしかして水森さんと付き合ってる?」

小野田は一笑したところにエレベーターが到着しドアが開いた。小野田はエレベーターに乗った。

「由里ちゃんも乗って」

由里も乗り、小野田は一階のボタンを押した。ドアが閉まった。

「付き合ってないよ、っていうか、俺は淳実のように水森のこと、なんとも思ってない。いや、思ってないといえば噓になるかな。多少は意識するところはある」

由里は小野田を見た。

「水森は俺と異母兄妹なんだ」

「異母兄妹?」

「ああ」

「淳実は知ってるの?」

「いや、知らない。誰も知らないよ」

「水森さんは知ってるんでしょ?」

「いや、知らないんじゃないかな」

「じゃ、なんで小野田君は知ってるの?」

「世の中にはおせっかいな奴がいて、知らなくても良いことをベラベラしゃべって来る奴はいるんだよ」

エレベーターが一階に着き、二人は下りた。そして、マンションの外に出て、二人は立ち止まった。

「俺の母が妊娠しているときに親父が浮気したんだ。その時の浮気相手との間に生まれた子供が水森だ。それを人の心を逆なでするように何かにかこつけて言ってくる奴がいたんだ。俺や母を煽って、別れた親父からなんとか金を無心しようと。親父は金持ちだったから尚更だ。そいつはヒルのように俺たち親子に吸い付いてきたよ。俺は全く相手にしなかったけど、母はどこか傷口を広げられ、なんか不幸のまま死んだなぁ。母が死んでからはずっと忘れていたよ。大学で水森のことを知るまではね。まさか同じ大学に入学していたとは思ってもみなかった」

小野田は、何気なく水森がいるマンションの階を見上げた。

「水森を巡り男たちが争い、挙句の果てに水森が自業自得で不幸になっていく姿を見た時、正直、いい気味だと思ったよ。でも、そう思うことで俺もまだ母じゃないけど、どこか引きずっているのかな、と思って。それからかな。逆に水森を助けたら、ほんとに親父とも何もかも縁が切れるんじゃないかな、って。富長に近づいてなんとか水森を救おうと思ったのはそれからかな。でも、どうせ救うのなら俺が矢面に立つのではなく、水森のことを好きな男に矢面に立ってもらい、そいつに救ってもらうのがいいと思ったら、なんてことはない、淳実が傍にいた」小野田は笑った。

由里は黙って聴いている。

「あいつだけだよ、水森のフェイスマスクを買ったのは。他の水森のことが好きな男にもそれとなく誘ったけど、みんな富長のことを怖がって断ったよ」

「じゃぁ、淳実と富長君を戦わせるの?」

「戦わせやしないさ。ただきっかけになってもらうだけだよ」

「きっかけ?」

「水森が富長から逃げて三日経った。富長はもうぶちぎれてるよ。水森にスマホも何もかもブロックされて相当腹立ってる。それに水森に逃げられたことがばれて、水森に三行半されたって陰口叩かれ、相当腹立ってるわ。まぁ仕方ないよな。ベルトだけあっても肝心の水森という可愛い子がいないんじゃ、やっぱり意味がない」

「そうなの?」

「そりゃもう血眼だよ。血相変えて探してるよ。俺も探せって言われたよ。もう、これ以上、長引かせるのは良くない。今が頃合いだ」

「頃合いって?」

「富長を呼ぶ」

「え!? 呼ぶってここに呼ぶの!?」

「ああ。いけないか?」

「いけないわよ! ここに呼んで淳実を富長君と戦わせるの? 淳実にそんな富長君と向き合う勇気なんてないわよ。淳実は人と喧嘩するようなことなんて出来ない人よ!」

「させないよ。でも、富長を止めるきっかけとして、成り行きでいいから一発ぐらい貰ってもらうかな」

「そんな、可哀想よ」

「わかってる。でも、富長を止めるためにはどうしても富長と少し争ってもらわないと」

「争うって!?」

「大丈夫! 必ず止めるから。ちゃんと策はあるから」

「でも、血相変えてる富長君に詰め寄られるんでしょ? 淳実、ビビってきっと何も出来ないよ」

「いや、何も出来なくていいよ。富長が何かする前に止めるから。ほんと形だけ争ってくれればそれでいいんだ」

「ほんと? それで大丈夫なの? 辞めさせることなんて出来るの?」

「出来る。出来なかったら俺が富長にやられるよ」

「小野田君、富長君に勝てるの?」

「勝てるわけないじゃん。喧嘩で終わらせるつもりはないし、喧嘩じゃ、いつまでたっても堂々巡りだ。それに由里ちゃんだって水森をこのまま匿い続けるわけにはいかないだろ。大学も休ませるわけにはいかないし」

「そりゃ、まぁ」由里は納得したが、ふと気が付いたことを小野田に尋ねた。

「じゃぁ、もしかして、今日ここに来たのは確認するために来たの?」

「富長は出来上がってるし、こっちの確認をね。もう丁度いい頃合いだよ」

「あっきれた」

「でも由里ちゃんが察してくれたお陰でやり易くなった。明日の夜、富長がここに来るように仕向ける」

「え!? 明日!」

「いたずらに長引かせても意味がない。こういうことは早いとこ済ませた方がいい」

「このこと、淳実や水森さんにも言った方がいいの?」

「いや、言わないで。その方がマジに出来るし、言ったら二人とも逃げる」小野田は苦笑した。

「でも、淳実は詰め寄られるのよね。淳実、マジで怯えるよ。あんまり水森さんには見られたくないよね。そんな姿」

「まぁ、仕方ない」

「なんか可哀想」

「可哀想だけど、淳実もそれで水森が自由になれれば本望だろ。自由になる手助けをしたと思えば」

「でも、結局、それだけで、水森さんとは付き合えないんでしょ。やっぱ可哀想」

「そんときは、由里ちゃんが慰めてあげてよ。由里ちゃん、淳実のこと好きだろ?」

「え!?」由里は素っ頓狂な声を上げた。

「あれ、違う。一緒に住んでるし」

「違うよ。幼馴染というか兄弟のようにいつも一緒にいたから」

「あ、そうなんだ。俺はてっきり好きで一緒にいるのかなって思った」

「違うよ。でも、やっぱ兄妹ね」

「何が?」

「水森さんにも言われたわ。付き合ってるのって」

「いくら幼馴染でも、一緒に住んでれば誰でも思うよ」

「そうかなぁ」

「でも、明日、方を付ける。だから、由里ちゃんも覚悟しといて」

「わかった。なんか怖いけど」

「大丈夫。必ず上手く終わらせるから」

「わかった。小野田君を信じるわ」

小野田は由里に別れを告げて家路についた。

由里は、暫く夜空を見上げた。

「でも、ほんとに上手くいくのかな?」


「密告があった」

小野田がジムでベンチプレスをやっている処に富長が傍に寄ってきて一言言った。突然のことだったが、小野田にはわかっていた。そう仕向けるように動いたのは他でもない小野田自身。

小野田は富長に尋ねた。

「どこにいるんだ?」

「実友淳実という男の家にいる」

「実友淳実? 淳実は俺の友達だ」

「なんだ、知らなかったのか?」

「全く。で、どうするんだ」

「行くに決まってるだろ」

「行ってどうする? 俺の友達だぞ」

「悪いが吊るす。見せしめだ。まだ思い知らねぇ奴にしっかりわからせてやらないとな。このベルトの暗黙の了解っていうのをはっきりわからせてやる」

「……」


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