8 合成と天然
「まあ、そう落ち込まないでくださいよ。あの冒険者たち、前回よりいい装備持ってきてたみたいですよ。」
「そうだね…。じゃああとよろしくね…。」
「元気出してくださいよ、クルさん。そのうちもっと強い冒険者たちも現れますから。」
レクラスはなんて優しいんだ。
「そうだね。お前の言うとおりだ。じゃあ僕帰るから。」
うん、悔やんでもしょうがないな。
彼らは初見の魔物に対して慎重なタイプだったんだ。
仕方ない、仕方ない。
今回は、ボスキャラのヒントも道中にちりばめたけど、彼ら二回目ですいすい進んじゃうから見てなかったんだもんね。
一回目のときから結構ギミック無視してたもんね。
あ、そうだ。
また扉壊されたんだった。
どうやったらちゃんと開けてくれるんだろうなぁ。
肩を落として城に戻ると僕は強い既視感を覚えた。
「何考えてるんですか!どうしてあんな奇天烈な魔物をあのダンジョンに入れる気が起きるんですか?あれ中級者のダンジョンですよ?あんなもんが居たら誰だって逃げ出すにきまってるじゃないですか!」
今日は褒めてくれないのか。
元気がいいのは良いことだけど。
「前も褒めてません!それに元気だからじゃなくて、怒ってるから声が大きいんです!」
なんでこの子は僕の考えてることがわかるんだろう?
そういう能力だったっけ?
「悪かったよ。次は普通のグリフォンにするよ。」
「そもそもどうやってあんなキメラ作ったんですか?キメラ嫌いじゃありませんでしたか?」
ロセルナまでそんなことを言うのか。
「あの子はキメラじゃないよ。ああいう生き物。お前の言う通り、僕はキメラが好きじゃないし、そもそも僕はキメラを作ったことなんてないよ。」
「どこであんなの見つけたんですか?」
「なあ、あんまりあんなのとか奇天烈とか言うなよ。かっこいいじゃんあの子。」
「とにかく、変なこと試すんなら上級者のダンジョンにしてください!いいですね!」
「でも、上級者のダンジョ…。」
「でもじゃありません!」
「はい…。」
おかしいな。
僕がダンジョンの責任者のはずなんだけど。