23 昼飯とお節介
城の食堂に着くと窓際の席からボスが手招きしている。
「魔王様、お疲れ様です。私もご一緒してよろしいのですか?」
「やあ、ロセちゃん。もちろんだよ。みんなで食べたほうが楽しいじゃないかぁ。」
ロセルナがボスにお礼を言って席に着く。
「じゃあ、レクラス。僕はボスとダンジョンの話をするからお前はロセルナと談笑でもしてなよ。」
リウィアが来てからソワソワしている部下に的確なパスを出し、僕はボスの方へ向き直る。
「さっきまでの僕とレクラスの話に何か意見やアドバイスを頂けませんか?」
「そうだねぇ。いい感じだったと思うよー。僕も冒険者によって順番が変わるのは面白いと思うし、今のところ特にないかなぁ。」
「ありがとうございます。では4つ目のダンジョンの何かアイデアはありませんか?」
「そうだねー。さっきレクラスも言ってたものだけど、これまでにクルが作ったダンジョンを踏襲するなら、属性、物理、魔法以外だと、知能を試すダンジョンになるんじゃないかなぁ?それ以外ならそうだね。例えば…。」
ボスとの議論は楽しいし有意義だ。
単純に知識が広く、さらに思考が柔軟なのだ。
正確な年齢は知らないけど、少なくとも僕の倍は生きてるはず。
それだけ長い時を生きても、考え方が凝り固まらないのはすごいことだと思う。
「なるほど、ありがとうございます。ボスの話を踏まえていろいろ考えてみようと思います。とりあえず、この後リウィアのところに行ってきます。」
ボスとの話も一段落したところでふと隣に目をやると、想像以上にいい雰囲気の部下たちがいた。
んー、この雰囲気に至るまでの過程が見たかったなー。
まったく、迂闊だった。
当初の目的が、ロセルナといるときのレクラスを見てにやにやする だったということをすっかり忘れてしまっていた。
まあ、ボスとの会話が想像以上に盛り上がってしまったから仕方がない。
あとで詳細をレクラスに聞こう。
レクラスを茶化すために何を言うのが最も効果的かを考えながら、再びボスの方を見ると、優しい目で二人を眺めるボスがいた。
孫を見るおじいちゃんの如き優しい目だ。
ボスは僕の視線に気づくと、外を指さしウィンクをした。
まったく粋な人だ。
僕とボスは食堂を後にした。




