21 会議と四階
「それで何か御用ですか?」
「なんだいクル? 用がなきゃ君たちに会いに来ちゃダメかい?」
なるほど、教えてはくれないようだ。
「とんでもないです。ボスは何かダンジョンのアイデアありますか?」
まあ、教えてもらえないからといって詮索する気もない。
必要なら教えてもらえるだろうし、そうでないなら知る必要はないということだろう。
「そうだねー。今のところとくにないかな。順調みたいだし。何か困ったことがあったら教えてよ。僕も一緒に考えるから。」
「ありがとうございます。それじゃあレクラス、1~4は僕がメインで、5階層は君がメインで作るのでいいかな?」
「はい! お任せください! まず初めに1~4階を何に特化させるかを決めましょうか。」
「そうだね。どんな風に4つの異なる性質にしようか。」
「一番単純なやり方だとやはり属性ですかね? 基本的な根源属性の火、水、土、風の魔物をまとめるのがわかりやすいんじゃないですか?」
確かに、普通に考えるとそうなるよね。
人間の魔法使いが扱う魔法は基本的に根源4属性に氷と雷を加えた6種類。
「確かに4属性すべてに特化したダンジョンはないね。でも、それだと少し単調かな。属性特化ダンジョン自体は既にいくつかあるからね。だから属性以外のことで種類の違うものを作りたいね。でも、方向性はそんな感じだね。」
「そうですね。確かに属性で縛ると物理特化にはあまり関係ないですもんね。」
でも、そうやってつぶれる案を出してくれることもありがたい。
今後のアイデア出しも洗練されていく。
レクラスもそれをわかっているのだろう。
本当に優秀な部下だ。
「そうだね。じゃあ、魔法特化、物理特化の2つを軸にしようか。」
「そうしましょう。」
「よし、2つは決まったね。あとの2つはどうしようか。1つは異なる属性を持つ魔物たちで幅広い属性への対応を見るようにしたいかな。他に何かあるかな?」
「そうですねー…。いっそ魔物を配置せず、頭脳だけで先に
進める階層があっても面白いんじゃないですか?」
「ふむ、確かにそれは面白いね。ただ、どうだろう。物理にしろ魔法にしろ、ある程度の攻撃力がある奴らだと無理やり通っちゃうと思うんたよねー。」
「あー、確かにそうですね。先日、普通の魔法施錠式扉は中級者でも破壊可能だって判明しましたね。魔法や素材で耐久力を上げても、優れた剣士や戦士には破壊される可能性が高いですね。」
どうしたものだろう。
ロセルナからもらった既存の高難度ダンジョンと、そこに来た冒険者たちのデータに目を落とす。
正直今までに挙げた魔法耐性、物理耐性、属性範囲の3つのダンジョンでも大概の冒険者は攻略不可能だろう。
それらのダンジョンを攻略できる者たちは何が苦手なんだ?
「よし、一旦休憩しよう。そのあと最終階層の話をしようか。4つ目の特化ダンジョンについては何か思いついたらそのときにまた考えよう。」
「そうだね。おなかすいたよ。」




