20 会議と概要
「なるほど、これなら確かに冒険者たちの様々な種類の強さを見ることが出来ますね。単純な強さだけでなく苦手分野への対応力も問われます。でも、階層ごとに相手の系統が決まってるのは対策しやすいように感じます。」
「んー、やっぱりそうかな?」
「はい、単純に総合力の高い魔物を配置するのが手っ取り早いと思います。」
「まあ、それはその通りなんだけど…。普通に強い子たちを配置するだけじゃなくて、難しい中にも攻略しやすい筋を残したいんだよね。」
「そういうものですか。」
「そういうもの。」
城に戻るとレクラスが二日酔いから回復していたので、ダンジョン建設の会議をすることにした。
そこで僕は先ほど思いついたアイデアをレクラスに話して、ブラッシュアップしている最中だ。
「それなら、探知器からの情報からパーティの得手、不得手を判断して一番攻略しづらい順番に入れ替わるようにするのはどうだろう。さらに、普通なら下に行くほど難度が上がるところを、各階層の総合的な難度を同じくらいにして、端から最終階層の迫力を味わえるダンジョンっていうのはどうかな?」
「それいいですね! でも、せっかくなら最終階層は特別感を出したいところですね。」
「そうだね。1~4階層を入れ替え可能な各分野特化ダンジョンに、最終階層を超高難度にしようか。」
やっぱり誰かと話をしながら考えるのは良いものだ。
いい感じに方向性が定まってきた。
1人で考えるのと比べるとアイデアの広がりが違う。
さらにその相手が優秀な人材であるから文句のつけようがない。
部下でありながら忌憚のない意見をくれる彼らには本当に感謝している。
そんな風に感心していると、不意に後ろから肩をたたかれた。
「なかなか面白いダンジョンになりそうだね。」
「あれ、どうしたんですかこんなところに。珍しいですね、ボス。ていうか、いつ入ってきたんですか?」
「レクくんがヴァルの悪口を言ってたあたりだよ。」
「魔王様! 俺そんなこと言ってはないですよ!」
「そうかだったね、言っては、いなかったね。」
「うっ…。」
「ボス、僕の部下をいじめるのはその辺にしてやってください。それで何か御用ですか?」