15 説教と宝箱
「お疲れ様でした。」
「ありがとう、ロセルナ。いい経験になったよ。新しいダンジョン作りにも活かせそうだ。ところでロセルナ、一つ質問をしてもいいかい?」
「なんですか?」
「どうして僕は部下に棒でグリグリされてるの?」
「自分の胸に聞いてください!」
そう言われても心当たりがない。
冒険者たちにも楽しんでもらえた自負はある。
一体、なにがよくなかったんだろう?
ロセルナの怒りの正体を突き止めるため、僕は今日やったことを思い返してみる。
件の初心者ダンジョンに着いた。
ここは、1階層のみで3~6時間ほどで攻略可能なダンジョンで、ボスとして小さめのトロールを配置していた。
先日、そのトロールが倒されたため、新しく捕まえなくてはいけなかったのだが、迂闊にも忘れていた僕はダンジョン新設作業を中断して、こうしてここに来る運びとなった。
せっかく考えがまとまってきたから、早くダンジョン作りに取り掛かりたいけど、ロセルナの機嫌を直すためには仕方ない。
棒でグリグリされたくないし。
初心者ダンジョンの一番奥の部屋に着くと、鉱石の入った宝箱が一つあるだけで、主不在のその部屋はがらんとした印象だ。
冒険者たちが付くのは昼過ぎごろになるはず。
それまでにどの魔物に化けるか考えなくては。
無難なのは今までここにいたトロール、その前にいたオークやゴーストっていうのも普通にアリだ。
でも普通じゃつまらない。
かといってそれらよりもあまりに強い魔物ではまたグリグリされるのは目に見えている。
そこで僕が出した答えは……。
「なんでミミックなんですか!?」