11 移動と揶揄い
ロセルナを怒らせてしまったことを、海よりも深く反省しながら、中級者向けダンジョンの一つに向かう。
「最近このダンジョンに来る冒険者が多いね。」
「はい、どうやらここの鉱石、新しい使い道が人間の間で流行しているようです。」
「へー。」
「興味ないなら聞かないでください。」
「うん、今から高難度ダンジョン作るんだけど一緒にどう?」
「お、いいですね。ちょうど仕事が一段落したところなんですよ。」
こいつはつっこんでくれないのか。
一緒に来てはくれるみたいだけど。
「ごめんよ、ロセルナも誘ったんだけど来れないみたいで。」
「な、なんで謝るんですか?べ、別にあいつは関係ないじゃないですか。」
実にいい反応。
こういうのを推せるとか、尊いっていうんだろう。
「いや、人数多いほうが楽しいかなって思っただけなんだけど。なにをそんなに慌てることがあるんだい?」
「…なんでもありません。」
実に楽しい。
僕はこう見えて部下の感情の機微には敏感なほうだ。
「にやにやしないでくださいよ。」
「うん、いい加減認めたら?ロセルナ以外みんなにバレてるよ?」
「何を言われてるかわかりません。それより早く行きましょうよ。」
そうだった。
レクラスが面白いから重要任務を忘れかけてた。
「そうだね。たしかあっちの方にいい感じの洞窟があるらしいよ。」