武器の選定
わたしは『フォートレス家』という帝国貴族のお屋敷にいた。もちろん名を聞いた事くらいはあった。ただ、騎士出身の家柄と聞き、あまり興味はなかった。
戦いよりも花を愛でる方が好きだし、ただ穏やかな毎日さえ過ごせればそれで良かった。だからこそ隣国の豪商貴族であり、資産にも余裕があるヒッグスを選んだ。
いつも紳士な対応で怒るなんて一度もなかった。あの優しい顔は偽りだったの……? どうしてあんな残虐な事を平気で出来るの……? 到底信じられなかった。
「……大丈夫かい、ローズ」
「いえ、なんでもありません。それより剣を教えて下さるのですよね」
「ああ、いいとも。けどね、剣にも“種類”があるんだよ」
「種類、ですか」
「うん。一般的な片手剣の『ショートソード』、両手剣の『ロングソード』。ショートの方は軽量で俊敏な動きが望める。ただ、その分の火力は落ちる。
ロングの方は両手剣だから両手が塞がるけど、その分の火力はアップするよ」
「へ、へぇ……」
さすが帝国が認めるパラディン様。
お詳しい……というか、剣にそんな種類があるだなんて思わなかった。
「女性の場合は『レイピア』とか『フランベルジュ』とか『カトラス』もいいかもね」
すごく生き生きと説明してくれるイクス様。彼がこんな瞳を輝かせて本気で教えてくれるのなら、わたしも本気にならなくちゃと思った。
「分かりました、イクス様のおすすめでお願いします」
「本当かい。じゃあ~…、うん、ローズにはこれだな」
こ、これは剣なの??




