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正子の正体とは?

狭間江正子、54歳。 


「ラブマート木下」パート勤続6年目。

午後3時、お客さんは橋本さん、ただ一人。

大きな谷にあるこの村は過疎化が著しく進んでいる。


お客がいないレジなんてはっきり言って暇でしかない。

正子は昼下がりの暖かい日射しを浴びながら、大きく伸びをする。

仕事をするのは別に好きなわけではないが、お給料をもらっているのに何もしないでいるのは

それはそれで心苦しい。

正子はバックヤードに行き、品出しの内容を確認した。

A4の紙に書かれた品出しの商品を見て、正子は顔をしかめる。

そこに書かれていたのは、生活用品。

生活用品というのはトイレットペーパーやティッシュなどを指す。

その中でもラブマート木下売り上げ№1は殺虫剤だ。


この小さな田舎の町は周りを山に囲まれているから、とにかく虫が多い。

自然が豊かすぎて国指定の天然記念生物や絶滅危惧種までいる。

毒をもっている生き物もいるから村の人は家に何本も殺虫剤をストックしている。


はあー、とため息をつきながら正子は品出しに向かう。

殺虫剤は正子の敵。いや、狭間江一族の敵だ。


狭間江という苗字は「はざまえ」と読む。なぜ殺虫剤が敵なのか分かるだろうか?

はざまえの「ざ」と「ま」を抜くと、「はえ」が残る。

もう分かっただろう。

え?まだわからない?

そんな読者の皆さんに大ヒントをあげよう。

はえをカタカナに直してみると?

はえ=ハエ

そう狭間江一族とは、ハエの一族なのだ。


今からさかのぼること約1300年前、

正子のご先祖様の中で自由奔放なハエがいた。

ハエである事に疲れた「彼」(←ハエを彼と言って良いのかは不明だが)は、

平安の世1の陰陽師と言われていた安倍晴明に無理を言って頼み込み、人間の姿にしてもらった、という話が代々伝わっている。

そんなこんなで狭間江一族はハエの身でありながらも人間の世界で生きているのである。


正子はハエを殺す存在である殺虫剤を忌々しく見ながら棚に陳列していく。

週に3回パートに入る以外、正子は特にこれといってすることは無い。

正子は平凡などこにでもいるおばさんライフを過ごしている。

だが正子には最近大きな悩みができてしまった。


ハエという身を隠し、人間という仮の姿で生きてきた狭間江一族。

しかし1300年という時を超えて人間の姿になるための術を更新する日が近づいているのだ。

令和という世になって、陰陽師という職業は存在しない。

かといって巷にいる占い師に安倍晴明と同じ術をかけられるのか。第一、占い師に頼むとしても何と言って相談するのか。


「私たちの一族ハエなんですけど、人間の姿になるための術をかけてもらえますか?」

とお願いするのか?

そんなお願いをした暁には狭間江一族にマスコミの取材が殺到するだけで、何の解決にもならない。

現代の占い師に安倍晴明ほどの力があるとは到底思えない。


期限はあと1週間。

この期限を過ぎると、ハエの姿になってしまう。

もともとはハエだと言えども、生まれた時から術をかけられているので現代の狭間江一族の中で「ハエ」になったことのある者はいない。

だから飛ぶことも、壁に止まることもできない。

ハエの姿に戻ってすぐに死んでしまう可能性もあるのだ。


それだけは何としても避けなければいけない。

、のだが問題は何も解決方法が見つからないのだ。




読者の皆さんならどうしますか?

読んでくださってありがとうございます!

まだ投稿し始めですが次話も読んでいただけると嬉しいです

良ければコメントもよろしくお願いします。

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