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偽書『愚帝と僭王、畜生と議長』  作者: 宿木マコト
大敗のアルバリウス
31/74

終局

「そなたの名は忘れぬ」

アルバリウスは跪き、地に突き立てられた友の剣の前で呟く。立ち上がり、言う。

「クロード、そなたはこの後どうするのだ。そなたさえ良ければ、帝都に来ぬか。それなりの立場は用意するつもりだ」

クロードは少し間を置いて答える。

「申し訳ない、殿下。いや、もう陛下だったな。俺は一度、街に帰る。その後のことは、そこで考えさせてもらいたい」

「無理強いはせぬ。だが気が変わればいつでも帝都を訪ねて欲しい。そなたの街、確か小川の街、であったな」

クロードは静かに笑う。

「人は水なしでは生きられぬ。だから大抵の街の横には大なり小なり、川があるものだ。それなのに俺の故郷がなぜ、小川の街と呼ばれるか、知っているか」

「それは、その小川が美しいからであろう」

「そうではない。他に何もないからだ。珍しくもない川がある、それだけの街だ。だが俺はそこであいつと出会い、共に拾われ、共に育ち、共に暮らした。御館様には拾って戴いた御恩もある。だから、帰ろうと思う」

「そうか」

 森丘の国の木々は疎らに赤く、色づき始めている。秋が近づいていた。

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