第39話:劣等賢者は困惑する
◇
なし崩し的にルームメイトがアリスとフィアに決まってしまった。
他に決まる宛もないし誘われるのはありがたいんだが、美少女二人と同棲するということになる。
それも、数日じゃなくて三年間。
羨ましいと思う者もいるだろうが、俺は自分を保っていられるか心配だ……。
まあ、二人が俺を恋愛的な意味で好きになることなんて万に一つもないだろうし、何かあるわけがないんだが。
「ここよ! 近くて便利で綺麗でしょ?」
「想像していたよりまともな家なんだな……」
もともと一人暮らしをするつもりだったらしく、既にフィアが契約をしていたらしいので、特に変更はせずそこに住もうという風に話は進んでいた。
学院から程よく近くて買い物へのアクセスもしやすく、築年数が新しい理想的な物件だ。
家賃もべらぼうに高いわけではなく、多少高いが予算内に収まる。
それだけじゃなくフィアが決めたくらいだからどんなトンデモ物件かと思いきやちゃんと普通で安心した。
「私をなんだと思ってるわけ!?」
「それがご主人様に対する言葉遣いか?」
「旦那様は私をなんだと思っているのかしら? ぷんぷん」
「いやぁ……もうちょっと普通でいいんだけどな」
ガチャ。
家の中へ入ると、まずは玄関。その先に三部屋。それとリビング・ダイニング・キッチンという造りになっていた。
いわゆる3LDKというやつだ。こいつもともとこんな広い部屋で一人暮らししようとしてたんだよな……。
俺なんて一人暮らししてた頃はワンルームだったんだぞ。
これが社会の闇というやつか。
「一部屋ずつ使うって感じですよね。……わぁ、広いです!」
アリスが一番手前の部屋を開いたので、覗いてみる。
ベッドと机、椅子のみの殺風景な部屋だったが、それだけに広いのがよくわかる。
俺たちがこの前まで泊まっていた宿の1.5倍くらいはありそうだ。
「じゃあここがアリスの部屋ね。その隣が私の部屋。以上!」
「いやいや、俺の部屋は!?」
「あー、このシェアハウスは二人用なの……ごめんね。お詫びに私の部屋に住まわせてあげるから許して!」
「いやいやもう一部屋あるだろ!?」
なんで微妙に俺ハブられてんの……?
もしかして男女差別ってやつなのか……?
「でもそれだと……」
「何か問題があるのか?」
「私とアレンが別の部屋になってしまうわ」
「それが目的だから! むしろ同じ部屋の方が問題だから!」
「確かに……それは由々しき問題ですよね。間を取って私の部屋にアレンが来るというのはどうでしょうか?」
「アリス話聞いてた!?」
……とまぁ、こんなことがあったが、無事にそれぞれの部屋が決まった。
その後は、俺とアリスが宿泊していた宿の契約を今日限りで解除する手続きをしたり、食材を買いに行ったり、カーテンやカーペットなど必要なものを買い揃えたりとバタバタ続きになるのだった。
新作短編を投稿いたしました。
お気軽に読んでいただけると嬉しいです。
劣等紋の超越ヒーラー 〜「お前の回復魔法が必要なんだ」と頼んできてももう遅い〜
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