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第27話:劣等賢者は試験を受ける③

 あれはもしかして……いや、もしかしなくても詠唱魔法というやつではなかろうか。


 王国中のエリート候補を集める試験で詠唱魔法……?

 いやいや、俺が知らない画期的な詠唱魔法の可能性もある。

 静観してみるとしよう。


 呪文とともに飛び出した火球がヒョロヒョロとした勢いで的の中心からやや逸れて着弾。


 ぽふっ!


 っと可愛らしい音を鳴らせて爆散した。


 ワッと俺たちのブロックで歓声が上がった。


「いきなり高得点だぞ! 78点!」


 その受験生は満足気な表情でガッツポーズを取り、二発目、三発目も続けて放った。

 どれもこんな感じの点数だったのだが、凄い方らしかった。


「よし、じゃあ次の——」


 と、こんな流れで二人目が定位置についた。


「アイスボール!」


 またもや詠唱魔法。

 さっきの受験生よりもやや威力が弱めで、精度もさらに酷かった。


 これを魔法と言って良いのか……? というレベルだ。


 ぽふ……!


 氷球が的に着弾し、落下して消滅する。

 うーん……。さっきのが78点だとしても、これはさすがに0点だろうな。

 さっきのも酷かったが、今回はもっと酷かった。


「うーん、精度が悪いな。50点!」


 ええ!?

 驚愕の声が漏れそうになってしまう。


 いったいあれのどこに50点をつける要素があったんだ……?

 採点基準ガバガバすぎないか?

 試験官の目は大丈夫か?


 様々なことを心配していると、いつの間にか二発目と三発目も終わったらしく、次の受験生の名前が呼ばれた。


「次、アレン・エルネスト」


 思ったよりも早く俺の番が回ってきたみたいだな。

 定位置に着いて、魔法の準備を始める。準備と言ってもどんなプランで魔法を組み立てるか考えるだけなのだが。


「始め!」


 合図があったので、とりあえず『フレイムディザスター』を使ってみることにした。

 獄炎の炎で魔物を焼き切る用途で開発した自作魔法なのだが、遠くから発射して的を当てる試験らしいのでちょっと改変してある。


 手の平サイズに圧縮した炎球を発射し、着弾と同時に爆発するというもの。

 かなりの高圧縮をかけてあるので、爆発した時の破壊力には期待できる。


「な……詠唱なしで魔法を使うだと!?」


 試験官のおっさんは何を驚いてるんだ?

 こんなの普通だろ?


「よっと——」


 炎球を発射すると、光を超える速度で的に着弾し、煌く。


 ドゴゴゴゴォォォォン!!!!


 俺たちのブロック以外にも粉塵が飛び、的の周りは戦場の跡のように荒れ果てていた。

 うん、まあこんなもんだろうな。


 これがまともな魔法というものだ。


「な、な、な、なんだと……お、俺は夢でも見てるんじゃないか……!?」


 試験官がかなり狼狽えている。

 大丈夫だろうか。


「それで、点数は?」


「あっ、ええと……速すぎてどこに当たったのか見えなかった。威力は……ダメだ、オリハルコンがバッキバキで全くわからん……」


 なんだそれ……。


「点数はつけられん。こんな無茶苦茶な魔法は想定していない!」


「じゃあやり直せばいいのか?」


「いや、それは……」


 なぜか、口ごもってしまう。

 駆けつけてきた他の試験官と相談の上、告げられたことは——


「暫定0点。ただし不利になるような処遇にはしない。貴重なオリハルコンをこれ以上壊されちゃ敵わんから、技能試験はこれで終えてくれ」


 とのことだった。

 先に試験を受けた二人に比べれば遥かにマシな魔法を放ったつもりだったので、0点はさすがに酷いと思ったが、まあ不利にならないならいいか。


 さて、次は最後となる実技試験だな。

 さっきはちょっとしたトラブルに見舞われたが、切り替えていくとしよう。


 ヒソヒソヒソヒソ……。

 割り当てられたブロックから少し遠ざかると、何やら俺のことを話す声が聞こえてきた。


「あんなの人間技なのか……?」


「そういえばアレン・エルネストってもしかして……!?」


「無詠唱魔法なんて実在するのか……」


「とにかく凄すぎる!」


「チクショー! 見れなかった!」


 陰口はあまり好きではないのだが、悪口ではなさそうだし……まあいいか。

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[気になる点] ヒョロヒョロの速度の攻撃魔法なんて実戦では何の役にも立たないだろう。 とは言え戦闘経験の無い、お金持ちや貴族の子供の実力なんて物凄く低いだろうしな。 実戦経験豊富な冒険者上がりの貴族で…
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