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第24話:劣等賢者はお泊まりする

「大変なところを助けてもらっちゃって……本当にありがとうございます!」


 金髪の女の子は、深々と俺にお辞儀していた。

 さっきはよく見ないまま仲裁に入ったが、控え目に言ってめちゃくちゃ可愛かった。

 顔が整っているだけでなく、胸が大きく、かつスラっとしていてトータルのバランスが良い。


 蒼い瞳に覗き込まれると、不覚にもドキッとしてしまう。


「大したことはしてないけどね。それよりも、咄嗟に彼氏のフリして悪かった」


「気にしないでください。ヒーローみたいでかっこよかったですよ!」


 顔を赤らめながら言うものだから、照れてしまう。


「私、アリスっていいます。明日の高等魔法学院の試験を受けるために王都に来ました。あなたは?」


「俺はアレン。実は俺も受験しに来たんだ」


「じゃあ一緒の学院に通えるってことですね!」


 パーっと花咲かせるアリスだが——


「まあ、合格できればだけどな」


「……そうでした」


 ガクッと肩を落とすアリス。


「それより、さっきのやつは有名なのか?」


「『俺の親父は王国魔法騎士団の隊長で国王ともコネがあるんだぞ』って言っていたので多分……。私は知りませんでしたけど有名なんだと思います」


「ってことは、あいつも受験生か、もしかすると学院生かもな。……まあ、いずれ分かることか」


 そんな話をしている間にも、日は暮れていく。


「あっ、そろそろ宿を取らなきゃいけないんだった。アリス、宿の場所を知ってたら教えてくれないか?」


「宿ですか……?」


「ああ。今来たばっかりで今から探さなきゃいけないんだ」


「うーん、近くに宿はありますけど、今からだと部屋を取るのがちょっと難しいかもしれないですね。もう夜ですし……」


「夜からだと泊まれないのか……?」


「いえ、そういうわけではないんですけど、この時期は魔法学院と魔術学院の受験生が集中しているので今からだと多分どこも部屋が空いていないと思います……」


 マジかよ……。

 準備万端のつもりだったのだが、そこまでは考えられていなかった。

 幸い、念のため毛布くらいは持ってきているので野宿すればいいか……。


 明日試験があって、翌日には結果発表。

 それまでの辛抱だ。


「あの……私が泊まっている宿に来ますか? 一人分くらいなら余裕ありますよ」


「いや、それはさすがに色々と問題あるだろ。寝るだけならどこでも大丈夫だし、気にしないでくれ」


「気にしますよ! それに、何が問題あるんですか? 集団で泊まっている受験生はたくさんいますよ?」


 それはそうなんだろう。受験生が部屋をシェアすること自体はなんの問題もないと思う。

 しかし……同じ部屋で若い男女が一緒に夜を過ごすというのは、かなりヤバいんじゃないか?


 もちろん俺は何もしないが、気持ちの問題だ。


「もしかして、私と一緒じゃ嫌ってことですか……?」


「違う! そうじゃない! むしろ嬉し……じゃなくてめちゃくちゃ助かるけど、アリスは明日試験なんだろ? コンディションを整えなきゃいけないのに、俺がいると落ち着かないだろ?」


「そんなことないですよ。アレンと一緒だと落ち着くし、私……さっきのが怖くて一人の方が不安です」


 かわいい……!

 いやしかし……。


「アレンだって明日試験ですし、野宿なんてしたら明日が大変です」


「確かにそうなんだが……」


「ダメ……ですか?」


 最後のダメ押し……。

 ここまで言われて、首を横に振るわけにはいかないか。


「わかった……ありがとう。お言葉に甘えさせてもらうよ」


「良かった! ゆっくりしていってくださいね」


 その後、アリスに案内されるがままついていき、部屋にお邪魔することになった。

 一人で泊まるにしては確かに広めの造りになっていたので、もしかするとどこかの令嬢なのかもしれない。意外……でもないか。


 高等魔法学院は遠方から受験するだけでも多額の費用がかかる。これ以外にも多額の学費がかかるし、幼少期からの訓練なしに試験を突破するのは難しい。


 試験自体は公正だと言われているが、経済的観点から商人の子供とか、貴族の子供が集まるのはごく自然なことだしな。


 なお、さすがに一緒のベッドで寝るわけにはいかないので、俺は毛布にくるまって眠った。


 雨風をしのげて、ゆっくり休めるだけでも十分。

 なんの問題もなく次の日を迎えることができた。

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