表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なろう主人公の孫  作者: 叫べチーズ
0章
9/42

-9- 酒の飲みすぎ注意報

「修行、修行か…」


全員と解散した後飲み屋でライドはのんだくれる。


「あいつらあんなに強いなんて思わなかったぞ…たく。ズルすんなよなぁ」


火酒をあおり、天井を見つめる。


「ジジィはアレよりもっと…」

「すごかったですよ」


隣にセレスが座る。


「どわっ、お前いつから」

「さっきです、店の外からライドが見えたので。あ、私もこの人と同じもの」


ジャーキーを噛みながらセレスを見る。


「なっ、なんですか。じっと見つめて」

「お前のパーティーのメンバーも今日のアレくらいスゴイのか?」

「ライド…かなり酔ってますね。言葉が抽象的すぎます。…ええ。少なくとも

弓使いは、あのミストって子以上ですね」

「マジか…俺が避けてきた世界はこんなにファンタジーな世界だったのか…ん?

マーリンは?」

「彼女は…あの場で明言は避けましたが、あの“見せてくれた”魔術自体は

大したものではありません。中級炎魔術の出力を彼女の魔力でブーストした

結果ですからね。中級までなら即時詠唱ができるのもわかります」


ライドはセレスの言葉を酔いのせいか半分理解していない。


「でもあの転移魔術といい・・・彼女は、もっと、底知れない何かを持っている気がします…

…なんちゃって!ただの勘なんですけどね」

「ふぅん。まぁアイツラをパーティーに加えた俺が偉いってことだな!ガハハ!」

「はいはい、ところで修行はどうするんですか。三日なんて適当な事を言って…

どうせアテもないのでしょう?」

「うぐっ…なかなか痛いところを突きおる…」

「ふふん」


セレスは自慢げに自分の胸をたたく。


「貧乳?」


酒瓶がライドの頭を割る。酒瓶も割れる。


「うごおおおおおおおおおおおおおお!」

「私を頼れってことです!同じ前衛なんですよ!」

「でもお前明日は平日ジャン。パーティーでなんかあるだろ」

「そりゃ真昼間からは無理ですけど…夕方からなら、その…開いてますから」

「何でモジモジしてんだ。トイレは後ろだぞ」


酒樽が頭と融合する。


「痛いんだけど」

「明日!夕方ライドの家まで迎えに行きますから!どうせ寝てるでしょう!」

「なっ!俺がまるでプータローかのような言い草。俺だって朝からおきて

ジャンジャンバリバリお仕事してるっつーの!」

「どうせ賭場でしょ!」

「ちげーから!」


言い争いの後酒の飲み比べで二人は完全に酔いつぶれ千鳥足で家に向かう。


「うわ!ライド!酒臭いぞ!」

「ううう…い…っつう…リン…俺は今体を魅了の魔術にヤられちまってる…

トイレまでつれてって・・・おぼおおおおおお」

「おい!吐くな!きたねー!」


目を覚ますとライドは覚えのない感覚。


「ん…?」


床だ。俺は紛れもなく床で寝ている。


「痛ぅ…なんで俺床で寝てるんだ?」


怒涛の二日酔いがライドの脳を揺らす。


「水…」


廊下からライドは机の上のコップを飲み干す。


「ぶほえ!火酒じゃねーか!」


頭痛は止まないものの目は覚めた。

ベッドで二度寝と言う気分でもないな、と視線をベッドにうつす。

そこには最近知り合った自称“親友”が


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・e?」


ライドは痛む頭を回転させる。


「なんで?なんで?なんで?いや、昨日は間違いなくセレスと二人で飲んで…

コイツはいなかった!よし。コレは幻想だ」


もう一度見る。


「いるじゃん!!!!!!!」


パーティー内での男女関係はシビアだ。

嫁持ち子持ちですら同じパーティー内の男女には気を使う。

なぜなら共に死線を越える彼らには強い絆が生まれる。


男だけ、女だけのパーティーであるならまだしも混合パーティーであると

恋仲に発展しやすいことは言うまでもない。

しかし発展したが最後、そのパーティーがうまく運用される方が稀である事を

ライドは知っていた。


嫉妬や独占欲、浮気心、様々な邪念が渦巻き崩壊していくパーティーを幾度となく

見てきた!

いや、この男は面白がってそう発展させてきたのだ!


(その俺が!こんなポカをやらかすなんて!!)

「男女に友情なんてない!!!!」


ライドは壁に頭をたたきつける。


「まて、リンが気を利かせて家に泊めただけかもしれない」


ゆっくりとミストを見る。

やわらかそうな薄褐色の肌。

女性らしい曲線部へとつながり


「おい!!!!!!こいつ服きてねえじゃねえか!!!!!!」

「ライド、うるさい」


後ろにリンがたっていた。


「あの…リンさん…」


リンは抱えていたライドの洗濯物を床に落とす。


「ラ…ラ…ライドの浮気者ーーーーー!ハゲーーーーーーーーー!!!」

「待……俺はハゲてねえーーーーーーーーー!」


ついに入り口で硬直した後15分が経過していた。


「う…ん…」


もぞもぞとシーツが動きむくりとミストがおきあがる。


「ふ…ああ。やっと来たか、ライド」


シーツが落ちる。

ライドは手で顔を覆う、当然指と指の間からしっかりと視界は保たれていたが。


「バカっおまっ!」


彼女はノースリーブの肌着で寝ていただけであった。


「何を大騒ぎしていたのだ?」

「聞かないで…」


安堵から地に手を突き過呼吸のライド。


「さ、じゃあいくか」

「行くか…ってどこにだよ」

「何言ってるんだ、お前が個人で修行するから色々教えてと頼んできたんじゃないか。

今からでもいいと言ったのに、急に床で寝始めるから仕方なく儂もまってたんだぞ」

「…そう?か…」


全く記憶にないがどうやらそう言う事らしいと察するライド。

窓の外に目をやる。


「茜色の朝日が目に染みるぜ」

「もう夕方だぞ」

「うそおおおおおおおおおおおおおおお!?」


時計を確認する。


「30分以上アウトじゃん!」


外出用の準備を高速で行う。


「もう行くのか?」

「行くよ!」


嬉しそうなミストの表情とは裏腹にセレスの怒り狂った表情が脳裏によぎる。

すると廊下から人の気配がし


「マズイ!家まで乗り込んできやがったか?!お前は待ってろ!」


半分尻を出した状態で廊下に飛び出る。


「ライド君。私を待たせるとは何事だ」

「マジかよ」


目の前には眉間にしわを寄せたマーリンが立っていた。


「君が深夜に急に私の研究室に押し寄せて…その」


マーリンが口籠り頬を赤く染め、目を合わそうとしない。


「んんんんん!?俺昨日何してたんだ!?」

「…言わせたいのか?」

「いや、いい。聞きたくねえ。何の約束をしていたかだけ教えてくれ」

「そんなに聞きたいのか…?」


反応は相変わらずだ。


「ちょとまって!?約束すら言いにくいことなのか!?」

「いや、いいさ。君が知りたいなら…皆こういうことは人に知られたがらないのだがな…」

「マジか?昨日の俺どれだけプレイボーイだったの?なんか怖くなってきた」

「ライドー?」


入り口から階段を登った先の廊下にいるライドに聞こえる。

この声は間違いなくセレスのものだ。


「うひあっ!?」


咄嗟にマーリンの手を引き宿の空き部屋に連れ込み口を左手で塞ぐ。

彼女はむーむー言いながら顔を真っ赤にして暴れる。


「頼む!少し協力してくれ!」


暴れる身体を抑えようと壁に押さえつけ右手で腕を抑える。

マーリンは涙目になりながらライドの胸を押す。


「すまんすまんすまんすまんすまんすまんすまんすまん」


口で呪文のように謝罪。

マーリンは茹蛸のようになり頭から煙をふいている。

そういえばコイツは“あんな”店にいるくせに男に全く触れずに育ってきた、いや人に

全く関わらずに過ごしてきたせいで全く免疫がなかったのかもしれないなと気付く。


「丸焼きになる覚悟をしよう」


一先ずのライドの方針が

“セレスを居留守でやり過ごし、ミストを放置し、マーリンから状況を聞き出す”

に決定。


「いいか、マーリン。聞いてくれ。正直俺は昨日の記憶が殆どない。そこでだ、お前に

まず何を頼んだのかから聞きたい、オーケー?」


目を回していたマーリンは何とかコクリと頷く。

そっと左手を離すとねとりとマーリンの唾が垂れる。


「うわ、きたね」

「なんだと貴様があっ」


背に持たれていた壁がドアであることを認識した時にはもう遅かった。


「ライドならしらないz…」


とリンが言いながら開けたドアから地面にマーリンとライドが倒れる。


「うええ!?なんでライドケツ丸出しなんだ!?」

「いや、これは!」


起き上がり、皆の視界に真っ赤のマーリンが


「ライド…あなた…」


蒼白のセレス。


「親友……ケダモノー!」


弓を構えるミスト。


「待て、誤…」

「「「死ねーーーーーーー!!!」」」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ