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なろう主人公の孫  作者: 叫べチーズ
0章
8/42

-8- 仲間が強すぎた

「いよいよ実践だなぁ!オイ!」


どこかで聞いたことのあるセリフをはきながらライドは丘の上に立つ。


「無駄にやる気だよね、お前・・・」


ライトニングはげんなりと答える。


「ライド!」


後ろからセレスが走ってくる。


「セレス様!!」


直立!

一気にライトニングのやる気ゲージが振り切れる。


「どうした?」

「カオテッィクゲート侵攻の日付が決まりました、7日後の早朝より侵攻開始します」


ライドは自分のパーティーを見る。


「不安しかねえな、こりゃ」

「今更なんですか!もー!」


台詞では怒ってはいるが共にダンジョンへ挑めることがよほど嬉しいのか顔は緩んでいる。


「それで、ゴールドタグ最上位冒険者様が最下級パーティーにアドバイスでもくれるのか?」

「変な見栄張らないでください、私達は確かにライドに戦略レベルのアドバイスはもらってますが

一つ一つの技やモンスターへのミクロな対応は圧倒的に上です」


セレスがパーティーを見る。


「だから私も同行します」

「テレレー。セレスが仲間に加わった」

「変なナレーションいれないでください」


いつも通りの掛け合いをしていると明らかに不機嫌になっていくオーラ。


「ライド、コイツは誰だ」

「そうか、お前は知らないんだったな。現勇者様だよ。セレス、

コイツはミスト。し・・・親友だ」

「ふぅーん・・・こいつが・・・」


ミストがまじまじとセレスを観察する。


「はん、デュランダルとは比べ物にならないな」


嘲笑。

ビキィッっと“何か”が立つ音。


「ほ、ほぉ・・・その上から目線・・・さぞ貴方は腕が立つんでしょうね・・・?」

「無論だ。ライドは私が守るからな」

「ほ、ほ、ほーーーう・・・」

「すまない、おくれてしまった」


目の前に青白い閃光が走ったかと思うとマーリンが現れる。


「余裕で遅刻だ」

「謝ったではないか」


セレスは目をこする。


「転移・・・魔術?何者なのですか彼女」

「期待のホープだよ」


グダグダな開始。


「さて、じゃあ今日の目的を確認するぞ。今日狩るのはこの一帯にいる

モンスター、なんでもいい。

スライム種もいればウルフ種、夕方になればアンデッド種も出てくるだろう」


出てくるであろうモンスターの表を全員に見せる。


「大体の攻撃パターンの対応表を作ってある、個々の力を確かめたいのは勿論だが、

このパーティーでの立ち回りってもんを覚えていくぞ。

はぁ、マジメなこといったから疲れちゃったよ・・・」


セレスが気がつく。


「ライド、そういえば貴方武器は何で戦うんですか?」

「俺は・・・これだ」


腰からぶら下げていたものを見せる。


「なんですか?この武器」

「ああ、最近ダンジョンの上層で発見された“あっち側”の武器だろうな。

“カタナ”って言う武器だ。もう鍛冶屋にはテンプレートのオーダーはしてあるから

いくら壊しても大丈夫だな」

「新しい物好きは相変わらずですね・・・どうせまたぼったくられたのでしょう」

「バカ、・・・たった5万サンドだ」

「ごっ・・・マジかよ!ライドそんな金あんなら僕に金返げふぅ」

「さぁいくぞ!」


木陰にスライム種を発見する。


「いいか、基本的に俺達の方針は1対多だ。ミストが弓で敵をひきつける、

あたればベストだ。あたらなくても気にするな。

俺が前衛で敵に切り込み。お前らに攻撃させないようにする。

中衛はミストお前だ、他の敵がこちらに来ないかの観察と臨機応変に敵への攻撃。

俺が射線にいるだろうから位置取りを気をつけてくれ。

最後にお前ら後衛は魔術で敵の体力を削るor妨害を頼む。

回復魔術は俺が何か大打撃喰らったときにでも入れてくれ。

大まかにはこんな感じだな、欲を言えば前衛をもう一人ほしいところだが・・・」


皆が方針を理解し、頷く。

チラリとセレスを見、コイツがいればな、と思いがよぎるが振り払う。


「よし!まずはあのスライムでやってみるぞ、多対多になってしまった場合

の説明はまた今度するか。この辺りのモンスターならそうなっちまっても一人で倒せる

レベルのはずだしな。」


各々が返事をする。


「ミスト、頼む」

「うむ」


弓を構えるとミストは瞳を閉じる。


「【エンチャント】スリザス・ウル・スリザス」


詠唱と共に突風。


「おま、魔術を付与してッ?!」

「壱ノ矢!」


地が抉れスライムが弾け飛ぶ。


「え、ええ・・・スライムって弾けると“ああ”なるんだ・・・」

「どうだ?儂は役に立てそうか?」

「う・・・うん、そだね」


予想以上の力にドン引くライド。


「さ、気を取り直して」


ミストを一旦木の上に隔離。


「俺、小石でもぶつけてスライムつれてくるからお前ら魔術使ってくれ」

「おう」

「ああ」


ライドは草むらからスライムに向かって小石を投げつける。


「ひょっとして俺のこの投擲でスライムがはじけ飛んだり・・・」


普通にスライムの頭(?)に当たりこちらに敵意を感じる。


「あぁ、やっぱ俺って凡人・・・」


敵を見据えながら臨戦態勢を維持しつつ後退。

ハンドサインで攻撃を促すと


ズ ゴ ォ オ オ オ ・ ・ ・ ! ! !


「あぺっ」


およそ直径1メートル程の火球と肌が焼ける熱気。


「死ぬわ!!!!!!!!!!!!!!!!」


何が起きたのかおおよそ察したライドがキレる。


「いや、マーリンは強いのはわかってたよ!」


ライトニングも呆然としている。


「ちなみにお前魔術使った?」

「まだ詠唱中だったけど・・・」

「だよな」


なんとなく悲しみを分かち合う。


「あいつらチートじゃねえの?」


セレスに指差し感想を尋ねる。


「うーん、確かに威力は強力でしたけど、総合的に見ると・・・

パッと見はシルバータグのランカー、といった印象ですね」

「え?マジで?ジジィどんだけ凄かったの?」

「だから、デュランダル御爺様はすごいっていっつも言ってたでしょう!」

「わかった、わかったよ」


今にも勇者デュランダル伝説を語り始めそうになったので話題を切り替える。


「俺みたいな前衛って何が強さの指標になるんだ?剣で大地を割るとかか?」

「もちろんそれができるに越したことはないのですが、前衛は主に守りですね、やっぱり。

モンスターの妨害やモンスターの足止めの上手さでしょうか。

それに加えて必殺の一撃を持つことによるプレッシャーで相手を動けなくする・・・そのあたり

でしょうか。前衛はモンスターへのダメージは二の次ってパーティーが主ですね。

勿論前衛を増やしてモンスターをタコ殴る方針もあるようですが、単純にモンスターの表面積

の問題もあって大型モンスター以外は大体前衛2人構成が主ですね。」

「なるほどな・・・今までの狩りとは大違いだぜ・・・」


他メンバーに色々と教えるつもりが逆に自身が教わることばかりで

もどかしさを感じるライドであった。


「さて、お前ら・・・というかミストとマーリンの強さは十分わかった」


最初の丘に集まり緊急会議が始められた。


「セレス曰く、マーリン、ミストはシルバータグ上位クラス、

ライトニングはまんまシルバータグ中堅クラスだそうだ」

「ライド君、重要なことが抜けているぞ」

「・・・」

「君は何クラスなんだ?」

「ブ・・・ブロンズ中堅・・・」

「あーひゃひゃひゃはひゃひゃはははは!ラッライドウヒヒヒおほほほ!」

「ライトニング!てめえ!笑っている場合じゃねえぞ!」


後頭部を殴ると寝てしまったかのように沈黙した、不思議だ。


「流石にこれじゃマトモにパーティーとしての機能を果たせねえ。ってことで三日くれ。

修行期間だ。それを経て通常ダンジョンで改めてパーティーでの活動をしよう」

「異議はないよ」

「うむ!」


正味3時間も滞在せずチーム『フェニクス』は丘を離れた。

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