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なろう主人公の孫  作者: 叫べチーズ
1章
18/42

-3- 始動

「はぁ」


セレスは物憂げな顔で窓の外を眺める。


「お姉さまいかがいたしました?」


テトラがお茶を注ぎ、こちらに持ってくる。


「ハーブティーですが、よろしかったでしょうか」

「ええ。ありがとう。テトラ」


お茶を啜り、作戦概要を見る。


「10階層の主“ルキウス”の再出現が迫ってきましたわね」

「ええ、今月は10階まででよかったかしら」

「はい。40階層の主の再出現も勇者デュランダルの手記によれば3ヵ月後、他も被り

ありませんわ」


「魔物の活発化・・・気になりますね」

「はい・・・わたくしも明らかにモンスターの強さが増してるように感じます。

その・・・力強さとかではなく、学習している・・・とでもいいましょうか」

「それは私も同意見です」


外は子供の笑い声や、井戸端会議の様子。


「守りたいですね」

「勿論ですわ」


セレスは作戦室を出るとローガンを見かける。


「ローガン、どうしたのですか?」

「ん?おお、セレスか。」


彼は花束を持って、その状況には似つかわしくない難しい表情をしていた。


「ジークに追い返されたよ」

「・・・そうですか」


ジークは前回の侵攻で片足を無くしている。

言うまでもなくもう最前線には立てず補給部隊にすら復帰は難しい。

その事実が彼を苦しめているのだろう。


「無駄に年ばかりとってきたが、こういった場面での言葉が未だに思い浮かばな

いな。どれだけ俺であればよかったかと思ったことか」

「・・・ジークの件はリーダーである私の責任です。貴方が思いつめなくても」

「はは、セレスにまで励まされてしまっては、もう立つ瀬がなくなってしまう」


ローガンは空元気に笑う。


「花束を、貸してください」

「行くのか?かなり不安定だぞ、アイツ」

「いいんです」


セレスは覚悟を決め、病院へと向かった。


――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――

―――――――――


「何しに来たんですか」


開口一番に出てきた言葉。

病院の中庭で弓を構え、的を射るジーク。


「俺はまだやれますよ」


何も言わせる気がない、その言葉にセレスは何も言い返せない。


「ライドを・・・誘ったらしいじゃないですか。俺が抜けるから、ってことですよね」

「違っ」


ジークの目は濁り、セレスの言葉は届かない。


「いいんです、俺を笑いにきたんでしょう。俺をクビにして」

「あなた、いい加減に・・・!」

「近づくな!」


ジークは自嘲気味に笑う。


「アンタはいつだってそうだ、清廉潔白でいたがる。」

「私は・・・ジークに感謝しているのです・・・」


今自分が彼を傷つけずに言える精一杯の気持ちを頭を下げ伝える。


「それって、俺が用済みってことでしょ」


ジークがコップを投げつける。


「自分が悦に浸りたいだけだろうが!クソッ!」

「ジーク!」


テトラの声。


「心配だから見にこれば・・・セレス様、行きましょう」

「ダメです、彼に、彼はこのままでは」

「あんなやつに構ったっていいことありませんわ!」


テトラがセレスの腕を無理やり引き、病院を出る。

テトラはセレスと向き合い肩を掴む。


「アイツの言ったこと、気にしちゃダメだからね」

「テト、ラ・・・」


セレスの涙を拭い、泣き止むまで彼女を抱きしめ続けた。


――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――

―――――――――


「ふむ、空気が悪いな」

「誰に向かって話してるのかにゃ」


“ウィクトーリア”ハウスの一室で机に豪快に足を乗せ、中空を眺める男。

その誰に向けたかもわからない発言をめんどくさがりながらも拾う女。


「英俊豪傑の集う、この“ウィクトーリア”らしくもない青臭い臭いがしている」

「だから・・・」


男は真っ黒な特徴的な皮材質の帽子を深く被り、煙管を吸う。


「次の侵攻、余を失望させてくれるなよ」

「誰に向かって話してるのよー!」

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