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なろう主人公の孫  作者: 叫べチーズ
0章
11/42

-11- 修行はつらいよ

「ここは、体育館か?」

「ええ、市民用に開放されていますからね」


体育館の鍵を開け、中に入る。


「新たな体育館が出来てここは取り壊し予定なんです」

「格好の修行場ってわけだな」


セレスは木刀をライドに渡す。


「その木刀に自分の魔力を共有できますか?」

「魔力を共有って・・・どうやるんだ?」


真顔でセレスを見る。

セレスは困ったように頭をひねると


「う~んコレばかりは感覚的なものですからね。二輪車に乗るように感覚で掴むしか・・・」

「こう言う時魔術の授業学校でちゃんときいときゃ良かったって思うよ」


木刀にライドは思い切り力をこめる。


「ふんぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ!!!!」


力いっぱい握るが、握力をこめすぎ逆に手が痛い。


「痛ぅー!」

「力をこめるって感じではないんですよね・・・なんというかこう・・・ひゅば!っと!」

「ひゅば・・・でできるか!説明へたくそすぎるわ!」

「う~ん・・・あれです、ゆびぱっちんする感覚です!」

「どうゆびぱっちんするか、わからんのに真似しようがないだろ・・・」


セレスは悩む。

ライドは変わらず続けるが、実感はまるでない。


「ライドって自分の魔力感じられますか?」

「どう感じるんだよ」

「こうやって・・・ああああダメです・・・自分のボキャブラリーの無さに死にそうです」

「お姉さま!いますか?!」


体育館の扉を金髪ドリルが勢いよく開ける。


「おえっ・・・ライディーン・デュランダル・・・」

「おえ、じゃねえよ。どういう教育受けたら出会いがしらにえずけるんだよ、ドリランド」

「テトラ!!!!!!!!です!!!!!!!」


そういえばコイツのクラスは何なのだろうと気になったがその思考をぶった切るように。


「お姉さま、次の作戦会議にシリウスが呼んでますわよ」

「そう・・・」


気まずそうにこちらをチラリとみる。


「いってこいよ、そっちが本業だろ」

「・・・ごめんなさい。早めに切り上げて戻ってきます!」


セレスはパタパタと走り去る。


「さて・・・賭場でもいくか」


腰をあげると目の前の影に気づく。


「サボりか?主様」

「その呼び方はやめろ・・・ライトニングはどうした」

「へばってしまったよ、まったくスタミナが無さ過ぎるぞあの男」

「その台詞だけきくとエロいな」

「ニャあっ!?」


前の一件からわかっていたがライドはマーリンの弱点は下ネタだと察した。

しかもかなり低レベルの。


「なぁマーリン。魔力ってどう感じるんだ」

「・・・な、なんだ。セレスの奴そんなことも教えていなかったのか。

この間私の調合した薬を飲んだ時の事を覚えているか?」

「あのステータスチェックの?」

「そうだ、あのときの体の高揚感を覚えていないか?感覚、だけで言えばアレだ」

「ああー・・・ただ感覚の記憶ってすごい曖昧だよな・・・」

「そら」


マーリンが小瓶を投げる。


「前と同じ調合の薬だ」

「危なくないヤツだろな」

「もちろん」


ライドは薬を飲む。

飲んだ瞬間喉が熱く、体がポカポカと火照ってくる。


「おお・・・飲んですぐ効果あるぞこれ、やっぱヤバい薬じゃ・・・」

「失礼なことを言うな、町の承認にも流してるんだ」

「まっとうな商人だろうな」

「・・・」

「そこで黙るなよ!?」


体を覆う魔力の感覚。

木刀を眺める。


「・・・・・・・・・」


眺める。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


食い入るように見る。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!!!!!!!!」


穴が開くほど


「おおおおおおおおお~~~~~・・・!!!」


見る!!!


「カアッ!!!!!!!!」

「・・・」

「可愛そうな実験動物を見るような視線をやめろ」

「すまない、そこまで才能がないとは」

「傷口を抉るような台詞もやめろ!!」


マーリンが魔道書を取り出す。

軽く何か呪文を唱えると手に光が灯る。


「これだけのことだ。原理は魔術師でも基本は同じなんだよ。

この魔道書を自身の一部と捕らえる・・・と考えるよりこの魔道書にも

“それ”固有の魔力が流れている、その木刀にも」


マーリンはライドの木刀を手に取る。


「二つの川の流れが合流するイメージ、私はそんなイメージを思い浮かべながら」


木刀にマーリンの魔力が加わったのが感覚的にわかる。


「こんなかんじだな」

「おお!」

「あとはコツを掴むまでやってみるといい」

「・・・二日後の俺に期待だな」

「君ならやれるよ」


マーリンが言う。


「ありがとよ、ライトニングのところにいってやれよ」

「奴もここでやらせるか・・・ああ、その前に言っておきたいことがある」

「なんだ?」

「あの・・・ミストといったか、彼女“ギフト”まで昇格させているぞ」

「なんだそれ?」

「昨日セレスが言っていただろう、クラス4への条件だ。

セレスは彼女を過小評価しているようだがね」

「・・・マジ?」

「マジだな」

「この二日でお前らを追い越してやろうと思ったのに・・・ハハ」

「ふっ・・・君ならやれるさ、なにせデュランダルの孫だからな」


ライドは体育館に大の字に寝そべりたどり着くべき壁を思い知る。

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