映像
「まずはどうやって生徒からの指示を集めるかだ・・・が。」
葵が頭を掻きながら正孝にシャーペンの先で指しながら言う
「そもそもスタート地点が0などころかマイナスからスタートだから俺達は。」
終も苦笑しながら葵の意見に同意する
「なんせ正孝の万引き事件の冤罪を解かなきゃなんの話にもならんからなぁ。」
終は困った表情を浮かべながら言う
「そもそもあの映像を誰が撮り、誰が公表したかだ。だが、お前はそんな万引きをした覚えがないと・・・。」
「あぁ。した覚えがない。」
「あの映像か・・・。一度見たことあるんだが、どうにも映像に不可解な点がありすぎるんだ。
一度見ただけでも覚えてるくらいだからよっぽどなものだ。」
葵は映像のことを思い出しながら口を開く
「まずあの映像の撮影された角度だがな、店内の監視カメラからの映像じゃなかった。何者かが携帯のカメラだかなにかで録画したような感じだった。」
「そしてだ、どうも名取とは背格好が違うようなか気もした。名取の身長が170cmくらいなのに対し、映像に映ってたやつはざっと150cmくらいに見えた。どう考えても合わない」
葵は淡々と映像の内容を話す
「あとは盗んだ商品だが・・・もし仮に名取がしたとするならちょっと違う物なんだよな。
盗んだ商品ってのは女物の化粧品だった。
名取が盗むにしては考えられない。」
正孝は下を向き黙っていた
しかし両拳を握り怒りに震えていた
「まぁお前がそう思うことも予想できていた。
だが話すしかなかった。お前を知ってるやつなら簡単にわかるような問題だが、映像を初めて見させられたやつらはそうはいかない。
誰もがお前がやったて感じるだろうさ。」
「そんな・・・じゃあ正孝は。」
終はなんともいえない声をあげる
「結局誰かが作って陥れたんだ。お前の立場をお前の存在を・・・お前の心を、陥れたんだ。」
正孝は無言で立ちあがり葵と終を交互に見た
「どうすればいいんだ俺は。」
「まずはこの映像を入手する、そしてその不可解な点を洗い直す、しかないだろうな。
今はそれが先決だ。」
正孝、終は無言で葵を見つめた
「それさえすませれば後は簡単だ。いくら俺達が劣勢であろうと勝ちは名取に自然と歩み寄る。」
「・・・映像はどこにあるんだ。」
正孝は静かな口調で言う
「あの映像を見せてきたのは確か・・・あいつだ。」
そう言って″あいつ″の名前を伝えた
正孝はその言葉を聞いて不適な笑みを浮かべた