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その魔術師は、レベル1でも最強だった。  作者: 延野正行
終章 異世界最強編

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プロローグ

いよいよ本編再開です。

よろしくお願いします。

 サリスト王国。


 超大国マキシア帝国がカーナラスト大陸の最西端に位置し、【最西の舌】という意味を持つニルビコーザ半島を主に領土を持つ王国である。


 その歴史はトラヴィア西極海を挟んだエジニア王国との戦いだった。


 エジニアはトラヴィアの通商自由と、肥沃なサリストの土地を求め侵攻し、サリストはエジニアの鉱物資源を目的に海を渡った。

 時に停戦し、友好的な条件を求めて交渉することもあったが、王権が変わるたびに覆され、両国のいずれかが宣戦を布告し、互いの領土を侵略しては、取り返していった。


 もっぱら戦争をしていたため、歴史編纂にかける時間も労力も金もなく、一体いつから戦っているのかすらわからないほどであった。


 その戦争を止めたのが、皮肉なことにモンスターと呼ばれる異世界の生物が現れたことによるものだった。


 両国とも自国に置けるモンスターの対処にかかりきりになり、暗黙の停戦時代が始まった。

 以来、60年――。

 サリストとエジニアは、多少の小競り合いはあったものの、大隊規模に置ける戦闘は行われてこなかった。


 サリストはこの機に乗じ、かねてより親交が深かったローレスとムーレスとの新たな三国条約を結び、同盟の強化を図った。

 同時にローレスとマキシアが押し進めていたギルド政策にも賛同し、兵の一部を推薦し、良質な冒険者を育てる土壌にもなる。

 こうした反応は、サリストの国王や議会が、来るべきエジニアとの戦いため、兵力の強化もあったのだと言われている。


 国力も増強し、万全の構えをもって、エジニア対策を備えた。


 ――はずだった。


 つまり、サリスト王室と軍が全く予想しなかった事態が起こったのである。


 RPG病という奇病の発生により、国の機能が完全に停止してしまったのだ。


 こうした病原の発生は、サリストに潜伏していたエジニアの間者も知るところになり、すぐに本国が知るところになる。


 エジニアは奇病のパターンを分析し、冒険者であればRPG病は問題ないと判断。

 まだ内政を充実させるべきという意見を持つ貴族たちを封じ込め、60年ぶりの侵攻を再開した。


 サリストと同じく、冒険者として育てた兵は上陸後も問題なく侵攻。モンスターを蹴散らしながら、サリスト領内に侵入する。

 だが、かけつけたマキシア軍に足止めを食らわされる。


 だが、それは予想の範疇だった。


 エジニアは用意していた兵器を投入する。

 カーナラスト大陸東端にあるウルリアノ王国で確認された魔法兵器。



太陽の手(バリアル)】である。



 サリストまで遠征したマキシア帝国軍は半壊。

 かろうじて、ローレス領内まで逃げることが出来たものの、司令官代理ロイトロスは重傷を負う。


 勢いに乗ったエジニア軍は、そのまま王都ロダルを攻めた。

 この時、すでにRPG病の蔓延は終息していたが、極度の栄養失調状態に陥っていた兵たちに、防衛能力を求めることなど出来なかった。


 何百年という戦争の長い歴史の中で、何万分の1の時間だけで、エジニアは悲願であった王都ロダルを占領したのである。


第1話も更新済みです。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] バリアルって女神が存在とか概念とかを殺したんじゃなかったんですか?
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