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その魔術師は、レベル1でも最強だった。  作者: 延野正行
第1章  帝国最強編
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おまけ ~ クリネちゃーん。パパでちゅよぉ。 ~

非常に痛々しい「おまけ」ですが、

お楽しみ下さい。

「クリネちゃーん。パパでちゅよぉ。朝の公務前に、パパと遊びまちょう」


 ライカがいなくなった皇帝は、今度はクリネと遊ぶべく、朝早く自室を訪れた。


 子供らしいインテリアに、たくさんのぬいぐるみや陶器出来た人形が置かれている。どれも皇帝が、職人たちに作らせたものだ。


「さあ、今日はどんな遊びましゅかねぇ~」


 部屋を見回すも、クリネの姿はない。

 ふと天蓋付きのベッドを見ると、羽毛布団が盛り上がっていた。


「おや? クリネちゃんはお寝坊さんでちゅねぇ。そろそろ起きないと、教育長に怒られてしまいまちゅよおぉ」


 きっとこの状況を見た教育長はこう言っただろう。


 "怒られるのはお前だと……"


 皇帝はベッドに近づき、起こそうとする。

 しかし反応はない。


「さあ、早く起きまちょねぇ。クリネちゃぁん」


 声をかけるが、全く応答がない。


 ――まさか! これが世に言う反抗期というヤツか!


 ぶわっと涙を流しながら、天蓋から伸びたカーテンをのける。


「待て! パパが悪かった。今度好きなものを買ってあげるから、パパを嫌いにならないでくれ! お願いだ! クリネええええええ!!!」


 布団を引っぺがす。


 果たしてそこにあったのは、愛娘の寝姿ではなく……。


 丸められた布団だった。


「は、は、はああああああああああああああああああああ!」


 皇帝は蒼白となった顔面を手で覆い、叫んだ。

 何事かと思い、衛兵が駆けつけてくる。


「どうかされましたか? 陛下!」


 ゆっくりと皇帝は身体の向きを変える。

 その表情には、絶望が刻まれていた。


 そしてぽつりと呟く。


「…………」


 あまりに小さかったため、衛兵は聞き逃した。


「もう一度仰っていただけますか? 陛下」

「クリネが……」

「はあ」


 皇帝は絶叫した。



「クリネが布団になっちゃったあああああああああああああああ!!」



 後にこの事件は帝都中を駆け巡り、皇帝の死後も喜劇の題材として使われたという……。


もうヤだ、こんな皇帝……。


さて、帝国最強編。これにて完結です。

ここまでお付き合いいただいた方ありがとうございます。


次回は第2章ということになるのですが、

その前に宗一郎、ライカ、フルフルの3人が旅立つまでの

1ヶ月間を描いた「外伝」を書かせていただきます。


当初、2、3話で終わるかなあ、と思ってたのですが、

割と調子に乗って書いてしまい、実は帝国最強編と同じぐらいの文量に

なってしまいました(T_T)


外伝第1話はフルフルのお話です。


更新日はいつも通り明日18時です。

今しばらくお待ち下さい。


※ 近況

  カクヨム様にも新作を投稿始めました。

  よろしければこちらも読んでやって下さい。

  https://kakuyomu.jp/works/1177354054880563884

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『転生賢者の最強無双~劣等職『村人』で世界最強に成り上がる~』
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