おまけ ~ クリネちゃーん。パパでちゅよぉ。 ~
非常に痛々しい「おまけ」ですが、
お楽しみ下さい。
「クリネちゃーん。パパでちゅよぉ。朝の公務前に、パパと遊びまちょう」
ライカがいなくなった皇帝は、今度はクリネと遊ぶべく、朝早く自室を訪れた。
子供らしいインテリアに、たくさんのぬいぐるみや陶器出来た人形が置かれている。どれも皇帝が、職人たちに作らせたものだ。
「さあ、今日はどんな遊びましゅかねぇ~」
部屋を見回すも、クリネの姿はない。
ふと天蓋付きのベッドを見ると、羽毛布団が盛り上がっていた。
「おや? クリネちゃんはお寝坊さんでちゅねぇ。そろそろ起きないと、教育長に怒られてしまいまちゅよおぉ」
きっとこの状況を見た教育長はこう言っただろう。
"怒られるのはお前だと……"
皇帝はベッドに近づき、起こそうとする。
しかし反応はない。
「さあ、早く起きまちょねぇ。クリネちゃぁん」
声をかけるが、全く応答がない。
――まさか! これが世に言う反抗期というヤツか!
ぶわっと涙を流しながら、天蓋から伸びたカーテンをのける。
「待て! パパが悪かった。今度好きなものを買ってあげるから、パパを嫌いにならないでくれ! お願いだ! クリネええええええ!!!」
布団を引っぺがす。
果たしてそこにあったのは、愛娘の寝姿ではなく……。
丸められた布団だった。
「は、は、はああああああああああああああああああああ!」
皇帝は蒼白となった顔面を手で覆い、叫んだ。
何事かと思い、衛兵が駆けつけてくる。
「どうかされましたか? 陛下!」
ゆっくりと皇帝は身体の向きを変える。
その表情には、絶望が刻まれていた。
そしてぽつりと呟く。
「…………」
あまりに小さかったため、衛兵は聞き逃した。
「もう一度仰っていただけますか? 陛下」
「クリネが……」
「はあ」
皇帝は絶叫した。
「クリネが布団になっちゃったあああああああああああああああ!!」
後にこの事件は帝都中を駆け巡り、皇帝の死後も喜劇の題材として使われたという……。
もうヤだ、こんな皇帝……。
さて、帝国最強編。これにて完結です。
ここまでお付き合いいただいた方ありがとうございます。
次回は第2章ということになるのですが、
その前に宗一郎、ライカ、フルフルの3人が旅立つまでの
1ヶ月間を描いた「外伝」を書かせていただきます。
当初、2、3話で終わるかなあ、と思ってたのですが、
割と調子に乗って書いてしまい、実は帝国最強編と同じぐらいの文量に
なってしまいました(T_T)
外伝第1話はフルフルのお話です。
更新日はいつも通り明日18時です。
今しばらくお待ち下さい。
※ 近況
カクヨム様にも新作を投稿始めました。
よろしければこちらも読んでやって下さい。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054880563884