『ヨモギ』 『卒業アルバム』 『運命の再開』
お久しぶりです。
再開がたぶん誤字なので“運命の再会”という解釈で書きました。
『ヨモギ』
『卒業アルバム』
『運命の再開』
* * *
部屋の掃除をしていたら懐かしいものが出てきた。
ーー卒業アルバム
ページを開くとやはり懐かしさが胸に広がった。
当時はまともな青春時代を送ってないと思っていたが今、こうして思い返してみると青かったな、と感慨深くなる。
しかし碌な思い出が無い。毎日同じ事の繰り返しだった。そんな日常の中に幼馴染みに振り回されるというスパイスがあったがあれはどうにも強すぎた。僕の人生には効き過ぎた代物だった。
しかしこうしてアルバムを開いて当時の彼女を写真の中から探してしまうあたり今の僕も変わらない。
今も彼女の事が好きなのだ。
毎日登下校を共にした。
成長していく彼女を間近で見ていた。
幼い頃にした約束を今も覚えてる。
二人で通い詰めた駄菓子屋さんは今はもう無い。
アルバムを開いたことにより掃除を中断された僕は息抜きに散歩をすることにした。
埃っぽさから解放されて大きく息を吸う。ヨモギの匂いが胸一杯に広がった。もう春が近いようだ。
そこには無いと分かっていてもあの駄菓子屋へと足が向かう。
見慣れた後ろ姿を見つけてドキリとする。
そんなはずがない。
頭ではそう思うが体は言うことをきかない。
立ち竦む彼女の腕を取り顔を確認する。
僕の記憶よりも少し大人びた、しかし変わらない驚いた表情の彼女の顔がそこにあった。
もしかしてこれは運命の再会ってやつだろうか?