クッキング黒歴史
前回私の非常識な料理についてお話ししましたが、さらに酷い黒歴史について語ってみようかと思います。
あれはまだ、私が十代の頃。休みの日の昼間。お腹がすいたので一人分のご飯でパスタでも作ろうと思ったのです。
最初の予定ではペペロンチーノでした。ベーコンと玉ねぎときのこの入ったペペロンチーノを作るつもり……だったんです。
冷蔵庫をあけて食材をチェック。
ベーコンが無い。仕方が無い、ハムにしよう。
玉ねぎが無い。仕方が無い、長ネギにしよう。
きのこがシイタケしか無い、仕方が無い、シイタケを使おう。
この時点で失敗を想像できなかった私を叱ってあげたい。しかし恐ろしや10代の自分。食材を切って、さあ炒めるぞ……と思って油を探したら、オリーブオイルが品切れでした。
オリーブオイルが無い。仕方が無い。ごま油にしよう。
それでもペペロンチーノという、当初の目的を忘れていなかった私は、鷹の爪を探したのですが、見つかりませんでした。
鷹の爪が無い。仕方が無い。ラー油にしよう。ラー油だって辛いし…ごま油と相性良いし。
味付けはシンプルに塩こしょう……でしたが、できあがったのは、代用しすぎちゃった結果、ペペロンチーノのはずが中華風パスタになってました。
微妙な不味さでした。食べられなくもないけど、美味しくもない……という感じです。
皆さん、代用もほどほどにしましょう。(誰もここまでバカな事はしないと思いますが)
さて私の料理黒歴史はこんな感じですが、もう1つさらに恐ろしい父の料理黒歴史のお話。
父は元々料理なんて全然できないし、和食ばかり食べて生きてきました。それなのにある程度の年になってから、急にパスタ好きになり、パスタを自分で作るようになったのです。
といっても、最初はパスタを茹でて、市販の混ぜるだけソースを絡めるだけでした。
そこまでなら失敗は無かったと思うのですが……父は悪い方向に進化してしまったのです。
その日のパスタには、具材が3種類くらい入ってたと思いますが、私の記憶に残っているのはえのき茸だけです。父はオイル系のパスタを作るつもりだったようです。
これは……後から聞いた父の調理法。
まず、フライパンにオリーブオイルをたらします。そこに具材を入れて炒めます。ここまではまともです。
が……ここからが異常だった。
父の迷言に「バターは油ぢゃない。調味料だ」という言葉がありました。そこで父はバターを投入してさらに炒めました。これだけでも結構凄い油です。さらに追い打ちをかけるように父が手を付けたのは、市販のオイルソースの元。瓶にはいった、パスタに絡めるだけのオイルメインのソースです。
それを炒めた具材にかけて味付け完了。ゆであがったパスタに絡めて完成です。
私はそんな父の調理など知らずに、「多めにできちゃったから食べるか?」と言われ、何の覚悟も無くそのパスタを口にしました。
一口目で衝撃が走りました。えのき茸を噛んだら油が溢れ出てきました。当然です。オリーブオイル+バター+オイルソース……なのですから。しかもきのこは油を吸います。えのき茸が油まみれになっていたのです。
私が一口で胸焼けをおこしそうになったパスタを、父は美味しそうに食べてました。その時私は10代。父60前後……。父の胃袋が異常です。あまりの衝撃に調理法を聞いて絶句しました。
以来「父の料理は絶対食べない」と固く心に誓いました。母の料理はとても美味しく、それを長年食べ続けたはずの父の味覚がこんなにおかしいのは理解不能です。
未だにあの時の油まみれのえのき茸のトラウマのせいで、他のきのこは大好きなのに、えのき茸は食べる気になれません。
この父にして、この子あり……ですね。




