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ズボラ食道  作者: 斉凛
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ウマカッタ

 私には二人の兄がいるが、上の兄は食にうるさい。めったに美味しいと言わない、実に舌の肥えた人間だと思う。

 そんな兄から馬刺しセットが届いた。馬刺しの本場、熊本・阿蘇からのお取り寄せ食べ比べセット。何が凄いって1頭の馬の色んな部位の詰め合わせになっている所。

 二人でも1度に食べきれず、3度に分けて食べました。

 実は頂いたのは1年前だったのだけど、書きかけのまま放置してました。まだ書いてない所は当時の味を思い出しつつ実食レポート。



 赤身、上赤身、はらみ、霜降り、上霜降り、トロ、ふたえご(あばらの肉)、レバー、心臓、タンの10種セット。

 赤身とか一つ70g位。5ついっぺんに食べると350g。二人で食べてもステーキ1枚づつくらいのボリュームに、お腹いっぱい。

 ちなみに刺身用醤油がついてきて、かなり甘口。九州の醤油は甘いのだろうか?


 しかしこれだけ揃うと味の違いを比べて見たくなる物。

 まず赤身を一口。これがとろけるような味わいでびっくり。生臭みがまったくなく、噛むというより舌でとろけるような味わい。赤身でこれならトロとかどうなるのだろう? と思い口に入れると、しっかりとしたかみ応え。

 当然なのである。魚のトロと違って、肉の脂身は融点が高い。火を入れてこそとろけるものらしい。といっても牛肉に比べれば馬肉の方が融点は低い。

 それでも脂身がサシで入った部位の方が固くてかみ応えがある。

 だから赤身、上赤身が柔らかく、霜降りと上霜降りが噛みごたえあり。はらみはその中間という感じだ。


 ふたえごはとても噛み応えのある部位。いつまで噛んでても、ずっと口の中に残る感じ。でも噛んでいるうちにじわじわと感じる味はとても美味しい。イメージとしてはスルメのように、噛めば噛むほどという感じだ。


 レバーは牛肉から想像してもらえれば近いと思う。今では食べられないレバ刺しは、ねっとりとした濃厚な甘みだ。心臓は適度な歯ごたえが小気味良い感じ。タンの刺身というのは柔らかさと歯ごたえのバランスがよく、焼いたタンとはまた違った味わいだ。


 馬肉の刺身をこんなに贅沢に味わえる事など、もう無いのかもしれない。

 ちなみにこの馬刺にはこんなエピソードがある。


 私の結婚式、父は鬼籍に入っていたため、兄に頼んで一緒にバージンロードを歩いてもらった。当日ドレスを着て挙式のリハーサルを行うのだが、当然そのリハーサルに兄も来なくてはいけなくて、リハーサル前の早めの時間に余裕を持ってきて欲しいと頼んでいた。

 それなのに兄は15分も遅れてやってきた。


「何してたの!?」

「今日届くはずの荷物を待ってたら遅れた」


 妹の結婚式よりも荷物の方が大切か! と憤慨した物だが、その荷物というのがこの馬刺だったのだ。結婚祝いのつもりで奮発してくれたのかもしれない。

 ありがたい事だと思う。

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