スイーツ・マイノリティ
お久しぶりです。
今回は甘い物について作者が思う事を語ります。
私情がはさんだないようになりますが、お付き合いいただければ嬉しいです。
よしながふみさんの書いた『愛がなくても喰ってゆけます』という漫画にこんなやり取りが出てくる。
主人公「普通の食事に比べると、甘い物の好きさ加減は7割くらいだ」
友人「それでも普通の食事が、人の百倍ぐらい好きなんだから、ひとよりはかなり好きな方なのよ」
この主人公の気持ちに凄い共感する。甘い物が嫌いな訳ではなく、むしろうるさいぐらいこだわるが、それ以上に食事とかの方がすごく好きだし、甘い物を食べなくても平気だ。
人間食事をしないと生きて行けないが、おやつはなくても生きて行ける。
そして甘い物は高カロリーである。好きでもなく、食べる必要もないものを食べて太るのは、納得いかないのだ。
だから本当に好きな物だけをたまに食べるくらいが私はちょうどいい。
以前活動報告には書いたが、ミスドの定番商品が今年リニューアルしたらしい。年に1〜2回くらいしかミスドに行かない私は、まだ食べていなかった。
行くと大抵オールドファッション1つだけ頼む。ドーナツなんてカロリー高くてお腹にたまるものいくつも食べられないし、一番好きな商品だからだ。
このオールドファッションもリニューアルしたらしいが、ネットで評判が悪かったので、ちょっと心配しながら今日食べに行ってきた。
1年ぶりぐらいだが、食べてはっきりと違いを感じた。
まず以前より生地がしっとりしている。オールドファッション特有のぱさぱさ感が和らぎ、ほろっとした感触だ。そして重めだった食感が軽い。味付けはそれほど前と変わってないが、食べた時の感触が大きく変わったように思う。
想像してたほど悪くはなっていないが、これは好みの問題だなと感じた。
多分日本人の多数派は新オールドファッションの方が美味しいと答えると思う。でも昔からのオールドファッションファンはたぶん前の方が美味しかったと思うだろう。
私は昔のオールドファッションの方が好きだ。
なぜそう思うか。私は日本人の甘い物の好みについて考えてしまう。
日本で代表的なケーキと言えば、ショートケーキ、チョコケーキ、チーズケーキあたりだろうか。
ショートケーキはメイド・イン・ジャパン。しっとりふんわりスポンジに、たっぷりの生クリームとイチゴ。こういうタイプのケーキはヨーロッパでは珍しいらしい。
チーズケーキもベイクドより、しっとりレアやふんわりスフレの方が人気が高いし、チョコケーキぱさぱさがりっとした感じより、しっとりクリームな方が好まれるだろう。
ヨーロッパのお菓子というとスコーンやショートブレッド、マドレーヌやマカロンなどのように、クリームのない焼き菓子タイプが主流。
それに比べて日本のケーキの方が華やかで、しっとり、ふんわり、甘いというのが好まれるようだ。
しかし私はヨーロッパタイプの、悪く言えばぱさっとした、重たくどっしりとして、でも酸味や香ばしさの効いた、お菓子の方が好きだ。
日本人にも少数派だが私と同じタイプの人がいると思う。
そしてそんな少数派のニーズに応えていたのが、昔のオールドファッションだと思うのだ。
ミスドもお店だし、多数派の好みに合わせて改良するのは分かるが、私みたいにどっしり重たいお菓子が食べたい派のためにオールドファッションは昔のまま残していて欲しかったなと思う。
しっとり、ふんわり、モッチリが食べたい人は、他のドーナツを頼むのだから。
ミスドに限らず、各種ケーキ屋やコンビニスイーツは多数派の喜びそうな物ばかりが並び、私の食べたくなるようなお菓子はどんどん消えていく。
寂しいなと思いながらも、いつかどっしり重たいお菓子が流行し、マイノリティで無くなる日を私は夢見ている。




