週末の肴
今日久しぶりに母に会いました。花嫁の母が着る留め袖のレンタル探しに付き合ったのです。
「あなたの結婚式の事、兄貴に言ったのよ」
ああ、葬式にテンガロンハットとブーツでやってきた、和製カウボーイな伯父様ですね。服装以外はちょっと陽気でお茶目ですむレベルですが。
「そしたら結婚式にもテンガロンハットとブーツで行くって言ってたわよ」
はあ!! ……いや、我々新婦側親戚一同は慣れてますからいいですけど……。相方の親族にどん引きされないか、不安な気持ちでいっぱいです。
「ヨーロッパでは正装に帽子を被る物だから、いいんだっていいわけしてたわよ」
ヨーロッパの方々もテンガロンハットはないでしょう……。自分の着る服を気にしすぎて、私が催促するまで親戚に結婚式の連絡をし忘れていた母といい、似たもの兄弟ですかね……。
母の爆弾発言にどうしたものかと思案しながら、今日はもつ煮をコトコト煮込んでいました。
相方は次の日が休みの日以外、基本的には酒は飲まない。(裏を返せば次の日休みなら飲むわけですね)
そんな我が家では週末に肴はかかせません。
鍋の季節だからでしょうか。モツ鍋用のモツが売ってたので、つまみらしくモツ煮しました。オーソドックスな感じです。
モツは一度お湯と酒で煮て、ざるにあけ良く洗う。またお湯と酒と一緒に煮て、臭み消しに青ネギと生姜を刻んだ物をいれてコトコト。
大根、ニンジン、こんにゃくを入れて、味付けは甘いの嫌いなので、砂糖はなしでみりんだけ加えます。しばらく煮てからしょうゆを入れてしばらく弱火でコトコト。
ある程度味がしみたら最後に味噌で味を濃いめに調えて、火を止めてから仕上げにごま油をたらり。
このごま油が意外にききます。モツの臭み消しと、美味しそうなごまの香りが食欲をそそる。
煮物の基本でご存じの方も多いと思いますが、煮物はゆっくりと冷めていく過程で味がしみますから火を止めて冷めるのを待つとしましょう。寒くなってきたので煮物が作りやすい季節になったなぁ。
もう一つ基本のお話。料理の「さ・し・す・せ・そ」とは砂糖、塩・お酢・醤油・味噌の事で、この順番で入れましょうという法則です。
これは分子の大きさによるしみこみやすさとか、加熱しすぎると風味が飛んでしまう物は後回しとか、色々な理由からこの順番になっているのです。
昔テレビ番組でやっていた実験では、レシピ通りに大人と子供が煮物を作る実験をしたら、段取りのいい大人の作った煮物より、段取りの悪い子供の作った煮物の方が味がしみていて美味しいという結果がでました。
これは調味料は、一つ一つしみこんでいくので、入れる時間に間があいていた方がよい。だから段取り悪く時間がかかった子供の煮物の方が美味しいようです。
というわけで煮物はあせらず、ゆっくりと調味料を順番に入れていきましょうというお話。
さてモツ煮を肴に相方と晩酌をしたわけですが、今日の話の肴はもちろん伯父の話。
「モツの臭み消しみたいに、個性の強いおじさんの良い対処法はないかしら?」
「刺すとか?」
「殺してどうする! そうじゃなくて、そっちの親族の心証を悪くしない方法」
「そこは投げっぱなしジャーマン」
「スルーでいいの? 大丈夫?」
「たぶんどん引きされると思うけどいいんじゃね?」
「人の親族だと思って笑いのネタにしてるでしょう」
「うん」
そこ思いっきり大笑いしながら頷くな!
とまあ私の相方はひねてて、ユーモアがあって、ちょっと性格悪いです。




