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第五話 主、口述する。

 目を覚ましたか。と、ローナは冷静に事を捉えた。そもそも彼女がこの建物に籠っていたのは彼が目を覚ますのを待つためでもあるからだ。彼の持ち物から武器のような物は見当たらず武芸に通じているとは思わない。だがドラゴンに踏みつけられても傷一つないのだ、おそらく何か仕掛けがあるはずだ。おそらく聖獣特有の異質さ・・・だと考えられる。今のところ彼と敵で無いにしろ友好的ではない。幸いにしてマルグリットが居るので強制的に従えることもできるが突拍子も無く襲い掛かられては堪ったものではないので少し構えて・・・相手を見据える。



 だが、彼は周りを一瞥いちべつした後、そのまままた寝てしまった。


 寝ぼけていたのだろうか、いくらなんでも不用心じゃないのか。いや、そもそも儀式で呼び出されたことが理解できてるならばこの行動も不思議ではない。少なくとも寝台の上に寝かせてくる待遇があるならひとまず安心するのかもしれない。しかしせっかく起きたのに二度寝とは、残念なががらこちらが許さない。


 「マルグリット、彼を叩き起こしてちょうだい。」


 安静にして置くのでは無かったのですか、と尋ねつつも彼を揺すり始めた。しかし起きる気配が無い。仕方なく今度は頬を軽く叩く、が反応は無い。流石に暴力的に起こすつもりは無いらしく少し考えて、水桶に手ぬぐいを浸し軽く絞った後、顔の上にゆっくりと置いた。


「・・・っ、こはっ、えほっ、うぇほっ、うぇ~、・・。」


 おそらく水が鼻から入ったのだろう、かなりむせ返っている。もう少ししっかり絞れとマルグリットに忠告しておく、自分はあんな起こされ方は御免だ。と、目を離してる隙に寝台から落下していた。頭を押さえ転がっている限り打ちどころが悪かったのであろう。しかし、体が頑丈・・・・だったのではなかったのだろうか。なんにせよ調べなければならない。手を叩きこちらに注意を向ける。彼がこちらを向いたのを確認するとこちらも見返して言葉を放つ。


 「目覚めの悪いところすまないけど、話を聞いてもらうわよ。」


 言葉は通用するとは思わない。すでに文字が違う事がわかっているので明白だ。しかし、契約の結ばれている関係上でこちらの命令は相手に概念として伝わり強制させる。さらに彼とは直接の主従関係を結んでいないが契約儀式そのものを共有しているため、概念は伝わるが強制能力は無いのだ。ゆえにこの言葉の意味は届いているはずである。


 「本当はこっちが聞きたいことが山ほどあるんだけどねぇ。まぁ、そっちの言葉は分からないから仕方ないんだけどね。とにかく、私達わたしたちは君の主となっているのよ。正確にはそっちのマルグリットなんだけどね。それで本題なんだけど、しばらく君にはこの建物の中で暮らしてもらうわ。あ、食料とか生活必需品はこっちが準備するから心配無用よ。そ、の、か、わ、り、外には出ないでね、窓から顔をだすのも、外の人にあなたを見られると大変なのよねぇ。わかったら首を縦にふってちょうだい。」


 だが彼は頷かない、痛みに悶えるでもなくただ困惑した目でこちらを見ている。そして何か声を出した。それは肯定でもなく否定でもない疑問の声だ。しかし、その言葉の意味は届かない。


 「・・・悩んでいても仕方ないよ。こっちは君に手伝ってほしい事があるからね。窮屈な生活は短い間だけだからさぁ。ねぇ、ちょっと、二人もなんか言いなよ。」


 「え・・、えっと、その・・・、お、お願いします協力していただけませんか。」


 フェリシアはすこし緊張してそう言った。


 「わたしからもお願いします。」


 マルグリットもそれに次いで言った。

 彼は少し悩んだ表情を見せた後、立ち上がり、何か決意した表情でこちらを見た。そして、首を縦に振った。


 ずいぶん忘れていました。次はもう少しはやくしたいものです。

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