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第四話 主、取調べる。

 召喚の儀式から一夜が明けて昼頃になっただろうか。儀式を終え、眠りに就いた後、眼を覚ますとはこんな時間だった。儀式で召喚された聖獣は秘匿され人目に付かぬよう城の一角に移された。もっともあのドラゴンは流石に隠せなかったのですが。おかげで城の兵士はこの話で持ちきりで、士気も上がっているそうです。他の聖獣は召喚されたこと自体が隠されているが誰も気にしてはいません。そしてわたしが今向っているのは城内にある研究塔、儀式に用いられた非公開の道具等が保管されている事になっています。もともと籠って研究するための寝具や食糧があり空いた部屋も多いので非公開の聖獣を隠すにはうってつけです。そこにわたしは足を踏み入れている。地下にある窓のない部屋、もっとも明かりを灯し暗くなくどちらかと言えば外から見られないための場所なのでしょう。その入り口から猫が顔を出していた。


 「こっちに来てくれる。」


 そうわたしが話しかけると近づいてきた。猫の二足歩行という珍妙な姿でやってくる。けど気になるのはそこじゃない。これは一方的な契約による命令、向こうはわたしに心を開いてくれるわけでは無いし、そうなるはずが無い。









 「これはすごい、画期的だよ、つまみを引っ張るだけでこの金属がかみ合って固定できるとは。小さいけど思ったより構造も簡単そうだし少し再現できるかな。しかしこんなものを身に着けているとはね。向こうでは普通なのか。はたまた、こいつが特別なのか。う~ん、気になるねぇ。」


 どうやらローナ姉さんは例の聖獣から得た何かに夢中なようだ。寝台を見るとその所有者が寝ていた。


 どう見ても人にしか見えない。


 だがその胸元には水晶真珠クリアパールが埋め込まれており昨晩の儀式で召喚されたことは明らかです。そうなると天界にも人が住んでいることになるが、そもそも天界から呼ばれたのかも怪しい。彼の素性を知ろうにも召喚早々ドラゴンに踏みつけられ気を失ったままだから・・。


 「あの。彼の傷、いつ治るんでしょうか。」


 




 「いやぁ、実は傷一つなかったんだよねぇ。見てみれば。」


 どういうことだろうか、かけられた布を引き上げるとそこには傷一つない肌。


 





 それがよくわかる真っ裸の男性が寝ていた。


 すかさず布をかけ直す。どうやらローナ姉さんは彼の身に着けていた物を全てひん剥いていたようです。もう、なんで言ってくれないんですか、と思いつつ睨みつけるがどうやら物色した物に夢中でした。わたしも気になるので近づく事にします。


 「彼が何者か解りましたか。」


 「いやねぇ、そいつの持っているものいろいろ調べてみたんだけどねぇ、明らかに異質だよ。持ってる道具の中には仕組みはおろか材質すら分からないものもあるからねぇ。」


 「それって危ないものではないですよね。」


 「そうでも無いのよねぇ、いくつかはどんな物か理解できたもの。」


 そう言って何やら黒い棒を手に取った、短く指程の太さで所々に金属の装飾がされていた。それをローナ姉さんはそれを両手でつかみ引っ張った。すると棒の先が取れ中から鋭い金属が現れた。


 「・・・危なくないですよね。」


 「そんなに驚かなくてもねぇ、こいつは万年筆だよ。鞘で覆って持ち歩けるようにしてある。しかもどうやら中にインクを多く蓄えてていつでも使える。少し仕組みが気になるけど、少なくともそいつは文字が書けるだろうし、おそらく常に文字を書けるように務める立場にいたはずだ。こっちには小さな紙束もあるしね。ここに書かれているのはそいつの文字だろう。しかし、この紙中々上質だな。やはり向こうの技術は高いのだろうな。」


 「そうですか。でも文字が違うならたぶん言葉も通じませんよね。」


 あくまでこちらが行う命令は言葉を介して行ってはいるが強制的に洗脳しているのに等しく意思の疎通は行えない。いやでも確かあのドラゴンとは意思の疎通が行えていたような。


 「そこに関しては問題ないのよねぇ、ちゃんと下準備・・・調整準備・・・・もしてるからねぇ。」






 コンコン


 戸を叩く音がする。

 この建物に入れるのは極一部の人間だけだ。この城の王とその三人娘と、


 「ローナ様、フェリシア様、お茶とお菓子をお持ちしました。」


 わたし達の世話役のマルグリット、彼女はそこに横になっている聖獣の主でもある。しかしわたしの分まであるとは、来るところを見られたのでしょうか。


「ああ、ありがとね。こいつについては調べてみたけどたぶんこの世の者じゃない、聖獣だろうけど人でもあるだろうね。それにしてもこいつの所持物はどれも驚きだね、この留め具とか実用化できそうじゃないかしらねぇ。」


 そう言って何やら布を突き出してきた。どうやら彼の衣服のようだそこの留め具は特徴的で何ともギザギザしていた。しかし、どう使うのだろうかあれやこれや引っ張れどもどうにもならない。


 「そこのつまみをこっちに引くのですよ。何にせよ男性の衣服のそんな部分をいじくるのははしたないかと。」


 そう言われ気恥ずかしくなりわたしはその衣服を返した。


 「おやおや、さっきは散々いじくってたくせにねぇ。」


 「あれはローナ様が命令したんじゃないですか。こいつの身に着けてるものを壊さず全部外せって。」


 彼を素っ裸にしたのはマルグリットのようだ。顔を赤らめつつ反論している姿はなんだか微笑ましい。だがそれよりも興味深い事がある






  のそり、と音が聞こえた。


  視界の端に動きがあった。


  彼が起きていた。

  

 相変わらず執筆が速まらない。でもやめません。

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