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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

夢のまた夢

作者: 柘榴ハナ
掲載日:2026/02/03

流血、自殺→がっつり

いじめ、自傷→仄めかす

グロテスクではありません。

暗いです。


以上を踏まえた上でお読みください。

読んでからの文句は受け付けません。


それではいってらっしゃいませ。

夢を見た。

きっと誰も知らない、なんでもない日々。


夢から覚めた。

きっと誰もが思い描くような、幸せな日々。


夢を見た。

みんなは誰かとおしゃべりしてるけど、僕は隅っこでひとり。


夢から覚めた。

友達もたくさんいて、今日もいっぱい笑った。


夢を見た。

おしゃべりしている子たちが、僕を見て何か言ってるのが、視界の端に映った。


夢から覚めた。

1人で本を読んでいるあの子に、声をかけてみた。


夢を見た。

最近やたらとものをなくす。誰かに言ったことはない。そんなことしたら叱られる。


夢から覚めた。

声をかけたら、あっという間に仲良くなれた。


夢を見た。

僕は地面に座り込んでいて、身体中が痛かった。見上げたら、見覚えのある人たちが、口を三日月みたいに吊り上げて笑っていた。


夢から覚めた。

泣いていた男の子を、助けてあげた。


夢を見た。

泣き声も、弱音も、「助けて」なんて簡単な言葉すら、僕の口から溢れることを、僕は許せなかった。

誰かに心配かけたくない。

変な子だと思われたくない。

———誰か、わかってよ。


夢から覚めた。

左手首が、傷もないのにジクジクと痛んだ。


夢を見た。

そこは真っ暗で、僕だけが立ちすくんでいる。

心も体も、どこもかしこも軋みを上げていて、歩くことすらままならない。


夢から覚めた。

なんでも描けそうな、真っ白いキャンパスのような、何もない空間。

でも、もうそこに、描きたい「夢」はない。

ただひたすらに、純白たる虚無。


夢を見ていた。

ひとりだった僕に、声をかけてくれる女神みたいな人がいるんじゃないかって。

誰かと仲良くなれるんじゃないかって。

僕を助けてくれるヒーローがいるんじゃないかって。


夢から覚めた。

そんな人はいなかった。

そうなることなどなかった。

………誰も助けてはくれなかった。


夢を見ている。

暗闇の中で、反響する足音を聞きながら。

階段を、1段ずつ登りながら。

足音が反響しなくなった場所で、赫い太陽に目を焼かれながら。

足場を失って、重力に身を任せながら。

———これで、楽になれるんじゃないかって。

鈍い衝撃が、左半身を襲った。

不思議と痛みは感じない。

ただ、太陽とは比べ物にならないほど紅い液体が、どんどん広がっていく。

安息にも似た気持ちが、乾いた紙に滴る水滴のように、広がって、心を満たしていく。

———あぁ、ようやく終わる。夢が現実になる。


朦朧とした視界に、紅い池に横たわり、何かを求めるように震えている、右手が映った、その刹那。


夢から覚めた。

———結局、夢は夢のままだ。


あぁ、楽になんてなれそうにないや。

この手で、誰かに助けを求められたなら。

それができたら、どれほど、どれほど、どれほど………!!


………あぁ、そうじゃないな、本当は。

本当は、助けて欲しかったんじゃない。

絶望の底から、救い出して欲しかったわけじゃない。


誰でもいいから。いつでもいいから。どんな些細なことでもいいから。


「一緒にって、言って、欲しかったなぁ……」



…………物言わぬ子供を、沈みかけの太陽と静寂だけが包んでいる。




終わり

おかえりなさいませ。


この小説を読んで、何を感じましたか?

どう思いましたか?

良ければコメントにて教えて下さい。


あなたが見ている「世界」を、少しでも変える一助になれば幸いです。


手にとって下さり、ありがとうございました。

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