夢のまた夢
流血、自殺→がっつり
いじめ、自傷→仄めかす
グロテスクではありません。
暗いです。
以上を踏まえた上でお読みください。
読んでからの文句は受け付けません。
それではいってらっしゃいませ。
夢を見た。
きっと誰も知らない、なんでもない日々。
夢から覚めた。
きっと誰もが思い描くような、幸せな日々。
夢を見た。
みんなは誰かとおしゃべりしてるけど、僕は隅っこでひとり。
夢から覚めた。
友達もたくさんいて、今日もいっぱい笑った。
夢を見た。
おしゃべりしている子たちが、僕を見て何か言ってるのが、視界の端に映った。
夢から覚めた。
1人で本を読んでいるあの子に、声をかけてみた。
夢を見た。
最近やたらとものをなくす。誰かに言ったことはない。そんなことしたら叱られる。
夢から覚めた。
声をかけたら、あっという間に仲良くなれた。
夢を見た。
僕は地面に座り込んでいて、身体中が痛かった。見上げたら、見覚えのある人たちが、口を三日月みたいに吊り上げて笑っていた。
夢から覚めた。
泣いていた男の子を、助けてあげた。
夢を見た。
泣き声も、弱音も、「助けて」なんて簡単な言葉すら、僕の口から溢れることを、僕は許せなかった。
誰かに心配かけたくない。
変な子だと思われたくない。
———誰か、わかってよ。
夢から覚めた。
左手首が、傷もないのにジクジクと痛んだ。
夢を見た。
そこは真っ暗で、僕だけが立ちすくんでいる。
心も体も、どこもかしこも軋みを上げていて、歩くことすらままならない。
夢から覚めた。
なんでも描けそうな、真っ白いキャンパスのような、何もない空間。
でも、もうそこに、描きたい「夢」はない。
ただひたすらに、純白たる虚無。
夢を見ていた。
ひとりだった僕に、声をかけてくれる女神みたいな人がいるんじゃないかって。
誰かと仲良くなれるんじゃないかって。
僕を助けてくれるヒーローがいるんじゃないかって。
夢から覚めた。
そんな人はいなかった。
そうなることなどなかった。
………誰も助けてはくれなかった。
夢を見ている。
暗闇の中で、反響する足音を聞きながら。
階段を、1段ずつ登りながら。
足音が反響しなくなった場所で、赫い太陽に目を焼かれながら。
足場を失って、重力に身を任せながら。
———これで、楽になれるんじゃないかって。
鈍い衝撃が、左半身を襲った。
不思議と痛みは感じない。
ただ、太陽とは比べ物にならないほど紅い液体が、どんどん広がっていく。
安息にも似た気持ちが、乾いた紙に滴る水滴のように、広がって、心を満たしていく。
———あぁ、ようやく終わる。夢が現実になる。
朦朧とした視界に、紅い池に横たわり、何かを求めるように震えている、右手が映った、その刹那。
夢から覚めた。
———結局、夢は夢のままだ。
あぁ、楽になんてなれそうにないや。
この手で、誰かに助けを求められたなら。
それができたら、どれほど、どれほど、どれほど………!!
………あぁ、そうじゃないな、本当は。
本当は、助けて欲しかったんじゃない。
絶望の底から、救い出して欲しかったわけじゃない。
誰でもいいから。いつでもいいから。どんな些細なことでもいいから。
「一緒にって、言って、欲しかったなぁ……」
…………物言わぬ子供を、沈みかけの太陽と静寂だけが包んでいる。
終わり
おかえりなさいませ。
この小説を読んで、何を感じましたか?
どう思いましたか?
良ければコメントにて教えて下さい。
あなたが見ている「世界」を、少しでも変える一助になれば幸いです。
手にとって下さり、ありがとうございました。




