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小さな私の物語  作者: 葉月 優奈
四話:小さな女子高生の結末
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着地のバランスが崩れ、私は落下した。

それでも、手を伸ばして私はつり橋の縄を何とかつかんだ。

一命をとりとめたけど、私の体力は限界だ。


ジャンプだけで、ブレスから逃げ回っていただけだ。

肉体も精神も、すでに限界だ。


右手が、つり橋の縄を掴んでいた。

当然キラプトルは私の掴んだ手の、すぐそばに来ていた。


(腕が、痛い)

はっきりと感じた、腕の痛み。

このゲームのキャラになったことで、身体能力が向上していた。

そういうステータス上昇があるとはいえ、やっているのは生身の人間。

右腕一本で体を支えるのは、かなりきつい。

おまけに相当疲労した状態で、相手は普通に倒せないキラプトル。


(このままじゃあ、腕がとれちゃう)

でも、下には溶岩。手は絶対に放せない。

つり橋の下は、溶岩の熱さをはっきりと感じられた。


さらに全身から汗が、額からだらだらと流れていく。

だけど、キラプトルはつり橋の上。

キラプトルの太く黄色い足には、太い爪が見えた。


「つらいか、静」

「はあっ、はあっ」キラプトルの声に、返事を返すこともできない。

呼吸が荒く、耐えるだけ精一杯だ。


「ならば、すぐに楽に強いてやるよ。僕の彼女だった君のために」

手でつかんだ私に対し、恐竜が足を振り上げた。

でも、私の目は死んでいない。


キラプトルの上げた足を見た瞬間に、私は左手を伸ばす。

伸ばした左手は、つり橋の一つ前の縄を掴む。


つかんだ瞬間に、つり橋の前に進んでいく。


(腕が痛くてもいい、前に進む)

僅かに手が滑れば、落下して溶岩で焼かれて死ぬだろう。

キラプトルの力も、おそらく私よりはるかに上。


だとすれば、キラプトルの足元から抜けるしかない。

これは、私に見えた唯一無二の勝ち筋。

これが、間に合わなければ、間違いなく私は死ぬ。

腕を前に出して推進力だけで、私は前を目指していた。


橋の上の状況は、キラプトルが追いかけてきた。

ドスンドスンと巨体を動かして。私を追いかけた。

踏んだつり橋が、大きく揺れた。

ぐらぐらと揺れた私は、それでも左手でしっかり縄を握っていた。


(絶対に、先にたどり着く)

叫びながらも私は、次の右手を伸ばしていた。

キラプトルも、それをさせまいと大きな足を振り下ろして私を落とそうとした。

つり橋が大きく揺れた。だけど、私は怖くなかった。


汗まみれの顔で、それでも目の前には大きなハサミがはっきりと見えてきた。

見える大きなハサミを目標に、私はさらに腕を伸ばす。


(絶対に逃げる)

手を伸ばして、再び縄をつかんでいく。


そのまま、私はつり橋の下から縄をつかんで前に進んでいった。

唯一の勝利条件、つり橋を落とすそのためだけに。



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