052
祥万は、ベルトランドのゲームをしていた。
知らない私よりも、ずっとゲームに詳しい。
当然のことながら、ラスボス『キラプトル』の弱点も知っていた。
だとすれば、その行動をしなければこちらに打つ手がない。
「なによ、それ!それじゃあ、ゲームにならないじゃない!」
私はキラプトルのブレスを、再びジャンプした。
ジャンプしても、足元は不安定なつり橋。
着地はギリギリで、バランスを保っていた。
「勝つのに、わざわざ負けるような行動はとらないよね」
「でも、それじゃあ……」
これは、ゲームだけど、ゲームにならない。
キラプトルは、私の唯一の勝ち筋を完全に潰してきた。
私は戸惑っていても、ブレスを吐いてきた。
私はジャンプでよけて、ブレスを避けていた。
着地もつり橋の板の上で、何とか成功。
おそらくこのブレスも、私が当たれば一巻の終わりだ。
私は慎重に、ジャンプを繰り返していた。
(だけど、このままじゃあ完全な消耗戦)
橋は、一本橋。
大きなキラプトルの隣を、通る隙間はどこにもない。
つり橋を壊すには、絶対に奥から壊さないといけない。
ぐらぐらと揺れて今にも落ちそうな橋だけど、恐竜は構わずに巨大な体で道を塞ぐ。
私の体力だけが、じりじりと消費されていく。
(どうやって、この橋を通るのよ)
再び、ブレスを吐かれて私はジャンプした。
ジャンプをして、着地をしてもその先がない。
私には水主のようなハンマーもないし、香流のような火の玉もない。
今更だけど、私がここに来るべきじゃなかったのではと思えてしまう。
「どうした、反応が鈍くなったぞ」
「うるさいわね、祥万。はあっ、はあっ」
緊張感が、ずっと続く。精神的にも、かなり辛い。
ジャンプで逃げるだけで、疲労の色がにじむ。
何度目か既にわからないキラプトルが、ブレスを吐いて私はジャンプをした。
だが、着地に失敗した。
「あっ」思わず、つり橋の足場から落ちていく。
ジャンプから揺れていたつり橋のために、着地位置がずれた。
それと同時に、私の体がつり橋から落ちていく。
私は、慌てて右手を伸ばした。
落下する私は、必死につり橋の方に手を伸ばすだけだった。




