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小さな私の物語  作者: 葉月 優奈
四話:小さな女子高生の結末
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キラプトル城の奥で、溶岩の川をつなぐつり橋。

私の彼は、あり得ない場所に立っていた。

パソコン画面ではキラプトルと合体したようだけど、目の前にいる人間は違う。


黒のブレザー上下に、さわやかイケメン。

茶髪の短い髪は、甘いマスクで鼻も高い。

きれいな目をした男性は、とにかく女性を虜にしてしまう。


祥万の姿が、人間の形で出てきていた。

視聴覚室のパソコンで見た、祥万の声と同じ。

見た目も祥万の姿で、にこやかな顔はいつもの彼と同じだ。


「4人のプレイヤーの中で、まさか静が来るとは思わなかったよ」

「もう、やめてよ!祥万!」

私は叫んだが、祥万は穏やかな笑顔で私を出迎えた。


「君は、僕のゲームをどう思う?」

「何が言いたいの?」

「僕は、このゲームを完成させたいんだ。

このゲームは、まだまだ足りないところがあるのだから」

「完成?」

「ああ、完成だよ。

野球一筋だった僕は、ある日このゲームと出会った。

初めは、暇つぶしだった。

元々ゲームは得意というわけではないけど、ベルトランドをやっていると心が落ち着くんだ。

なんというか、強力打線を抑えるよりも今は楽しいかもしれない。

君も、野球のルールがよくわからないだろ」

「うん。野球もゲームも、よくルールがわからない」

「今の世の中は、複雑化しているんだ。

複雑だから、馬鹿が理解できずに暴走する。

そんな中でも、このゲームはいい。

とてもシンプルで、単純にスタートからゴールまで行けばクリアだ」

「確かにシンプルだった、私がここに来たのもあなたに会うため」

「だったら、楽しかったんじゃないか?」

「楽しくはない。あたしは、必死だったから」

首を横に振って私は、真っ向から否定した。

祥万はそれでもハイテンションになりながら、笑っていた。


「そんなことはない。僕は楽しかったよ」

「祥万だけ楽しくても、しょうがないでしょ。

これは、誰の何のためのゲームなの?」

「ゲームに理由なんかいるのか?

楽しければ、それでいいんじゃないのか?」

「ほかの人を巻き込んで、それはおかしいでしょ」

私の正論は、祥万に届かない。

祥万の心には、私の言葉は全く響いていない。


「いいかい。どんな良作も、最初から評価されたわけじゃないんだ。

クソゲーとして、酷評された中で……それでも生き残ったゲームが良ゲーなんだよ。

だから僕のこのゲームも、いつか評価される時が来る」

「よくわかったわ、祥万」

私は、首を横に振っていた。

祥万は、それでも目を細めて私をじっと見ていた。


「戦いが終わってから、はっきり言おうと思ったけど。

今から言うわよ。私はあなたが嫌いになった。

あなたのことを、これ以上好きになれない」

とうとう言い放った。

私の気持ち、パソコン室から見た彼に対する心変わり。

だけど、それを聞いた祥万はうつ向いたまま黙ってしまう。


「だからこれ以上、危険なゲームをやめさせて。

小さくなった人を、全員元に戻して」

「嫌いならそれでもいい、僕も君に全力を尽くせるから。

君を殺しても、心が痛まなくなるだろうから」

祥万が、怪しく笑う。

同時に、指を鳴らした。


鳴らした瞬間、祥万より少し大きな黄色い恐竜……キラプトルが姿を見せた。

キラプトルの登場の瞬間に、祥万の姿が吸い込まれていく。

祥万の体が、完全に消えてキラプトルの目が怪しく光っていた。



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