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小さな私の物語  作者: 葉月 優奈
四話:小さな女子高生の結末
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水主の言葉は、あの時を思い出す。

砂利道、部室はもう目前だ。

だが、私たちを乗せて走ってくれたシュトラオスはもういない。

その一方で、勝と香流はシュトラオスで一気に部室を狙って激走していた。


(現状は、どうしても不利)

今の置かれた状況は、かなり厳しい。

プレハブは遠くに見えるけど、同じぐらいの距離赤のシュトラオスがいた。

その速さは走る私よりも、ずっと早い。


「ねえ、静。今まで、ありがとうね」

「なによ、今更」

「あなたは、ずっとあたしの好きな人のことを調べてくれたんでしょ。

あたしがいろんなダメな人を好きになって……でも静が支えてくれた。

私は失恋しても、静がいたから人を好きになれたんだよ」

水主の言葉に、私は不意に照れてしまう。


「いいのよ、私たち幼なじみでしょ。

それより、私こそごめん。

あなたのことを、ずっと疑ってしまって。

祥万のことを、好きだと勝手に勘違いして、嫉妬して私は超ダサイ……よね」

「彼のゲームは好きだけど、彼のことは何とも思わない。

なんというか、退屈な人だなって静と付き合っているのを見てそう思えたから」

水主の言葉を聞いた瞬間、私は思わず腹を抱えて笑った。


「そ、そうだね。あははっ」

「何がおかしいの?」

「いや、おかしかったから。

やっぱり私とあなたは、本物の幼なじみよね。

私には、やっぱりあなたしかいない。水主、大好きよ」

「あたりまでしょ。

だから、静はちゃんと話してきなさいよ。

あなたの彼氏でしょうが」

「うん、わかった」

「あーあ、ラスダンの『キラプトル城』を攻略したかったな」

水主は、少しだけ残念な顔を見せた。

私は背中を向けて、部室のあるプレハブを見ていた。


「大丈夫よ。私がクリアしたら、みやげ話をたくさん聞かせるから」

「それはいい。静がゲームを作って」

「えー、そんなのは無理よ」

私が拒否する中、赤のシュトラオスが迫ってきた。

かなり近づいて、はっきりと見えていた。


「行って!」

最後に水主が告げて、私は頷いてそのままプレハブの方に走り出した。

それから、背中を向けたまま振り返らずにプレハブの方に走っていった。



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