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小さな私の物語  作者: 葉月 優奈
四話:小さな女子高生の結末
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「ブレーキっ!」

勝先輩は、手綱を強く引っ張った。

赤のシュトラオスは、そのまま急ブレーキがかかって減速した。

香流たちが減速している間に、私たちは進む。

そのまま、スピードを上げて一気に抜き去った。


初めて野球部コンビから、リードを奪う。

私の紫のシュトラオスを苦々しく見ていた香流は、火の玉を放つ。

動きが止まった赤のシュトラオスから、しっかりコントロールされた火の玉が飛んできた。

だけど私は、手綱を使ってシュトラオスを動かす。


火の玉を何とかよけながら、それでもスピードは落ちない。


「どうしてよ、あんた達はなんで乾君に……気に入られているの?」

香流の嘆き。

香流もまた、祥万のことが好きだ。

でも私という彼女ができて、祥万は水主も気に入っていた。

そのことが、身近にいた香流にとっては許せなかったのだろう。


「どうして、どうして」

それでも、火の玉を次々と放ってきた。

香流は執念深く、勝もまた諦めていない。


「諦めるのは、まだ早いな」

再び、手綱を握った勝。

彼もまだ、しつこく追いかけてきた。

それでも、紫シュトラオスの速さから徐々に引き離していく。


「だったら、あの一手を使うしかない」

「あの一手?」

「彼女たちを殺してしまうかもしれないけど、いいか?」

勝は、香流に低い声であることを提案した。


物騒な会話をしていること知らない私は、紫のシュトラオスを走らせていく。

そして、遠くにかすかに見えていた。


野球場のホームベース側。

観客席バックネット側のすぐそばに、一軒のプレハブ小屋が見えた。

そこには、祥万が言っていた最後のダンジョン『キラプトル城』のある部室だ。


(やっと着いた、あとは……)

距離は、確実に離れた。

紫のシュトラオスは、赤のシュトラオスよりも早い。

だけど、水主はずっと後ろに気を付けていた。


「マズイ、相手は『わざ』を使ってくる」

水主は、私の後ろで叫んでいた。



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