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宝箱を開けて、2分後私の居場所は野球場近くの砂利道にいた。
野球場の周りは、砂利道。
学校の敷地の一番外れにあるこの野球場は、学校の敷地でありながら一般にも開放されていた。
小さな野球場だけど、普通に試合ができる規模の球場。
私が乗っていたのは、紫色のダチョウ。
手綱を握った私は、後ろに水主を乗せて走らせていた。
「でもさすがは静ね。持っているわ。
一発で、いい当たりを引いたから」
「当たり?」
「シュトラオスは、五種類あって紫は一番足が速いのよ」
「へえ、そうなんだ」
私は、どれが当たりなのかわからない。
だけど紫色のダチョウは、アスファルトから砂利道をどんどん進む。
小さな私が走るよりも、もっと早い。
「水主は、このラストに行きたいの?」
「まあ、キラプトルとは戦いたいわ。
それに、ゲームを作ったマスターの乾先輩には興味はあるけど」
「祥万の作るゲームは、そんなに人気なの?」
「うん、ベルトランドのフリーゲームエリアで、週刊アクセストップもとったことがあるわ」
「すごいわね」
祥万の、裏の顔だ。
私の知らない祥万の顔を、水主は知っていた。
「でも、水主。
あなたは本当に、祥万のことが好きじゃないんでしょ?」
「好きよ。ゲームクリエイターとして。
彼の作るステージは、日常を切り取った面白いゲームばかりだから」
「それなら……」
「見つけたわよ。赤いシュトラオス」
私たちの前の砂利道を、走っている赤いシュトラオスが見えた。
土煙を上げて、一目散に部室を向かう赤いシュトラオス。
だけど、私たちの紫のシュトラオスが距離を詰めてきた。
それに、赤のシュトラオスに乗っていた香流が反応した。
「これ以上来ないで。これは野球部の問題だから」
香流は私たちに向かって、嘆き叫んできた。




