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ここは、サッカー場のあたり。
つまりは、周囲はサッカー部の拠点だろうか。
私たちの学校のサッカー部は、現在かなり強い。
全国大会に出たりするほどの、強豪になっていた。
大きな私は、彼女を黙認することができない。
でも、小さくなったことで見えないものが見えた。
私の背後には、一人の少女が走っていた。
その少女は、顔を赤くして必死に走っていた。
栗色のサイドポニーが揺れている少女を見て、私は確信した。
「水主っ、あなたね!」
「はあっ、はあっ、静じゃない」
私がいきなり現れて、先を越していく。
大きな体で、水主の前に一気に出てきた。
走るのをやめた水主は、息を切らしていた。
「小さいわね、水主」
「静、あなたが大きくなって踏みつぶされないか怖かったわよ」
水主は、相変わらずおどけて見せた。
それでも、水主の姿を見るなり私の感情は爆発した。
すぐさま、疲れた水主に詰め寄っていく・
「水主、あなたはどういうつもりなの?」
「何が?」
「とぼけないでよ、水主!
あんたは、私と祥万が付き合っているのにも関わらず祥万と会っていたんでしょ!」
「ああ、あれね。そう、あたしは乾先輩のファンだから」
水主は迷うことなく、私に言い放った。
私は右手を握って、水主の前に立っていた。
今にも叩きそうな気持を、ぐっと抑えて彼女の前に向かい合う。
「どうして、あなたは小さくなったの?」
「乾先輩に誘われたのよ。ほら、あたしはファンだし」
「ファンは嘘でしょ。あなたは、祥万と付き合っているのを知っているし」
「付き合っている?あたしが?」
水主は、不思議な顔で私をじっと見ていた。
それでも私は、はっきりと言い放った。
「祥万は言ったのよ、私は退屈だって。
水主は、素晴らしい彼女だって」
「えー、付き合っているつもりはないけど」
「だったら、なんであなたはここにいるの?」
「だから乾先輩に誘われたのよ。
あたしが、乾先輩の大ファンだから」
それでも水主ははっきりと、私に対して言い放っていた。
言い放ちながらも、彼女はスカートのポケットから何かを取り出した。
それは、彼女の体に合わせたような小さなスマホが出てきていた。




