035
職員室の廊下、教師の往来があった。
若い男子教師が、引き戸を開けて廊下を歩く。
ドスンドスンと、巨人のような足音で私たちに気づくことなく廊下を歩く。
巨人の教師から、少し離れた場所で私はヘルフと一緒にいた。
ヘルフは、私のそばをぐるぐると回っていた。
私に対して、何かを観察しているようだ。
数秒後、ヘルフはポンと手を叩いていた。
「大丈夫、何とかなる」
「随分と適当じゃない?」
「いんや、ヘルフの見立てに間違いない。
だって、ヘルフが担当しているんだから」
「本当に?」
私は目の前にいるヘルフに、疑惑の視線を送った。
「ねえ、タケノコを食べた?」
「うん、食べたけど」
「それならば、力を引き出したりしていない?」
「なんか、あのタケノコに秘密があるの?」
「あるけど」
ヘルフは、じーっと私を見ていた。
「あなたはどれぐらい前に、食べたの?」
「うーんと、時間は…」
職員室でジャンプをして、中を覗く。
中には時計が置かれていて、時刻は10:35を示していた。
「そういえば、10:26に視聴覚室に入ったから9分…意外とかかっていないのね」
「へえー。タケノコを食べたんなら、そろそろ効果が出るんじゃない?」
「効果が、何もなかったのよ」
「まあ、そう焦らないの」
「大体、あのタケノコを食べたらどうなるの?」
「すべてが、ひっくり返るかもね。
あんたが食べたのは、そんな不思議なスーパータケノコだから」
「何よ、それ……」
悪態をついた私だけど、次の瞬間胸の中が熱くなった。
それは胸の筋肉が張り裂けそうに、体に重さを感じられた。
いろんな重力を、はっきりと感じられた。
「なによ、これ?」
「どうやら、効果が出たようだね」
「効果って?」
「それは、効果が出てのお楽しみ」
体が、はちきれんばかりの変化を見せた。
同時に、私の体から無数の光が現れた。
そんな私を見て、ヘルフは笑っているように見えた。
「さあ、出るよ。スーパータケノコの威力が」
ヘルフは。両手を握って私をじっと見ていた。
私の体から、いくつもの光が出てきた。
そして、私はすぐに意識がなくなっていた。




