034
職員室の廊下で、私が出会ったのはヘルフだ。
ヘルフは、『ベルトランド』の妖精。
かわいらしい妖精は、幼い顔を見せていた。
緑色のワンピースに、透明な羽根。
「あんた、今までどこに行っていたのよ!」
「飛ばされたのよ、場所が悪い場所にいたし」
ヘルフと私は、初めて会話をした。
私のヘルフは、勝先輩のヘルフよりも少し幼く我が儘にも見えた。
「で、困っているんでしょ?」
「困っているわよ、何も説明がないし」
「しょうがないでしょ、飛ぶのに慣れていなかったんだから」
ヘルフは、反省するつもりは一切ない。
だけど、私は痴話げんかをしている暇はなかった。
「ねえ、今の状況がヒドイんだけど」
「何がヒドイのよ?」
「一人になったし、部室まで磯がいないといけないけど…先に行っている人いるし」
だけど、ヘルフは私の目の前に富んだまま現れた。
ヘルフの大きさは、意外と大きい。
私とあまり変わらない大きさのヘルフは、じーっと私を見ていた。
ヘルフの目の色が、よく見ると黄色く光っていた。
「な、なによ?」
「大体、理解した。要は『今は』でしょ。
それであなたは今すぐに『キラプトル城』に行きたい。
つまりは、そういうことでしょ」
「なんでわかるの?」私は吸い込まれたヘルフの目に、すこしだけ心が奪われた。
「ヘルフに分からないことは、なーんにもない。
それに、あんたはフラれたんでしょ。大好きな男に、親友に娶られて」
「それは関係ない!」
ヘルフに言われて、私は我に返って怒った。
ヘルフはそれでも、私のそばをフワフワと飛んでいた。
「ヘルフは、あんたの気持ちはわかるわよ。
こう見えてもヘルフ、恋愛経験が豊富だし。
ヘルフも昔、男を取られたことがあるから」
「え、そうなの?」
「ヘルフは、あんたよりも恋愛マスターよ。
運がよかったわね、ヘルフがあんたの担当で」
胸を張っていた、私のヘルフ。
妖精でも、いろいろな性格があるようだ。
「だったら、あんたどうするのよ?」
「あなたも、すでにいう言葉が決まっているんでしょ。
それを直接ぶつければいい。簡単じゃない」
「そうはいっても、不安なの」
私の心の中は、まだ迷いがあった。
水主に裏切られたことと、香流も祥万が好きだったこと。
そんな二人も好きな祥万に、話していいのだろうか。
「何を不安がっているのよ」
「でも…」
「あんたぐらいの年齢なら、失敗を恐れては仕方ないでしょ。
失敗するのは当たり前だし、いっぱい失敗しなさい」
「ヘルフ」口は悪いけど、なんだか彼女の言葉に勇気が出た。
心が前向きになった私は、やはり祥万に会いたい。
祥万に会って、私ははっきりと言わないといけない。
「だとしたら私は、祥万に会わないといけないの。
誰よりも、早く会いに行かないといけない。
でも、どうやって先を進む水主に追いつけるのか…教えてほしい」
私は、ヘルフに対して激しく言い放っていた。
ヘルフは、再び私の体をじろじろと見ていて。




