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小さな私の物語  作者: 葉月 優奈
三話:小さな女子高生の戦い
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水主の恋は、中学まで続いた。

隙になった人数は21人、でも告白した人間は一人もいない。


それでも、私は水主のためにいろいろと恋の協力をした。

彼女は、出会う男に惚れやすい一面があったからだ。


でも、中学二年の夏休みのあとから急に恋はしなくなった。

惚れるということも、なぜかなくなっていた。

恋に奥手な水主が、久しぶりに好きになった人間はくしくも私の彼氏だ。

そして、水主がパソコン画面に映っていた。


「なんで水主なの?」

私は、パソコン画面を見て呆然としていた。

そばにいた香流が、私のそばで心配そうな顔を見せていた。


「静…」

「祥万は、水主が好きなの?」

「静の知り合いだよな?彼女はいいぞ。

僕の思った通りの人間だよ。素晴らしい」

キラプトルの姿で、水主を絶賛した。

私は、右手を力強く握って画面のキラプトルを睨んでいた。


「どうしてよ、私じゃダメなの?」

「ダメだね、静。

それに比べて、吉瀬さんは素晴らしいよ。

僕が見てきた中で最も理想通りの人間だよ。素晴らしい」

「いい加減にして!」

私が、祥万の声を遮った。


「彼女はすでに、僕のところに向かっている。

君らにはさっきも言った通り、彼女にも同じ話をしている。

良悟、君の考えは僕にこのゲームをやめさせたいようだけど…君は僕には会えないよ」

「ふざけるな、お前を俺は許したわけじゃないぞ!」

祥万に怒っているのは、勝先輩だ。

でも、キラプトルには余裕があった。

声はするけど、目の前にいるわけでもない。

パソコン画面で、彼は私たちを楽しんで見ているようだった。


「早くしないと、君らは永遠に大きくなれないかもね。

なにせ、彼女の目的は君たちと違うのだから」

「どういう意味よ?」

「それは、君が直接聞いてみるといいよ。

静、君は退屈なんだよ」

最後に、祥万は私に対して冷たい言葉を投げかけた。

それと同時にパソコン画面が、暗転した。


再び画面が明るくなると、外を走っている水主が映し出されていた。

私たち同様に小さくなった水主が、必死に走っていた。



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